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連載
246、採用通知書が来たんだけど!
冗談だと思っていたヴィルさんの言葉は、現実となった。
家に一枚の封書が届いた。
表には『ラウロエレクトロニクス株式会社』と銘打たれている。
中を開けてみると、来春からの採用通知書。本格的な書類だった。
「……え?」
内定とすら入っていないその通知書に戸惑っていると、母さんが横から覗き込んできた。
「ここって健吾がバイトしてるところでしょ。そのままそこで社員になることになったのね。いいじゃない」
「俺、冗談かと思ってた」
「普通ね、会社は本当に欲しいと思った子以外にはここに来いなんて冗談でも言わないのよ。だって本気にされちゃって後になって困るのは会社の方じゃない。ってことは、仕事中にそういう話が出たなら、本気だったんじゃないの? 今から勉強して大学行くよりはよほどいいと思うけど。それにこれを送って来るってことは、大卒じゃなくてもいいってことでしょ」
確かに今から勉強をしたとしても入れる大学なんてなさそうなんだよな。俺、そんなに頭よくないし。
むむむ、と難しい顔をしていると、母さんが勝手に必要書類をチェックして「今度取ってくるから、ちゃんと内容確認して早めにバイト先に提出しなさいよ」と俺の背中を叩いた。
「書類くらい俺が自分で取って来るよ」と母さんに言ってから、もう一度手元の紙を見下ろす。ヴィルさん相変わらず仕事早すぎだろ。
届いた書類一式を封筒にしまって、俺はそれを部屋に持って行った。とりあえずなくさないようにしないと。
むだに引き延ばしてもあれなので、次の日に役所に行って必要書類をゲットし、内容を記入したその足でヴィルさんの所に持って行くと、ヴィルさんはアポイント無しにも拘わらず「行動が早いのはいいことだ」と言って俺を招き入れた。
そして、書類一式をざっと見ると、よし、とそれを机の引き出しにしまってしまった。
「健吾がサインしてくれて嬉しいよ。来年からは本格的に色々と動いてもらうから覚悟しとけよ。と言っても、やってもらうのは飯作りと雑用と、あとは向こうの世界でのあれこれだけどな」
「はい。って本当にこんなに簡単に決めちゃっていいんですか?」
「俺の目に狂いはない。言っただろ、俺は勘がいいって。その勘が健吾を手放すなって言ってるんだ。これに逆らったら、それこそとんでもなく痛い目を見るのは経験上知ってるから、よろしく頼む。あ、バイトも続けてくれるよな」
既に決定事項な言い方に、空笑いしか出なかった。
そんな曖昧なことで俺の採用決めちゃったんだ……。でも感知が初期スキルに現れるほど勘がいいって、実は地味にすごい気がする。表に現れない凄さっていうか。
そんなヴィルさんから出された条件が二つ。
ADO内で魔素関連の知識をつけて、ある程度は戦えるようになること。中に入って行動したり実験に付き合ったりするためらしい。
もう一つが、料理。どちらかと言うとこっちがメインらしい。短時間で作れて栄養が偏らないような料理のレパートリーを増やすのがこの一年で俺がしないといけない勉強となった。
そういう勉強なら全然嫌じゃないからいいんだけどね。頑張って皆の健康管理をするってことだよな。結構責任重大な気がするのは気のせいかな。
というわけで、進路調査書に書く内容がすでに決定してしまった俺は、早速ヴィルさんの宿題を消化しようと、ADOにログインした。
魔素関連の知識ってそんなザクっと言われても、漠然としすぎていてイマイチどうしていいかわからないんだよな。こういう時は図書館かな。ジャル・ガーさんに訊きに行ってもいいかな。とりあえずは図書館で。
と図書館に向かう。
入り口から近いカウンターには、見知った司書さんが座っていた。
目が合うと、いつもの挨拶をしてくれる。
「あの、魔素関連の本ってどの棚にありますか?」
「魔素関連ですか。ここを奥に向かって進んで二番目の左側の扉を開けると、その部屋全体が魔素関連になります。魔素のどういったことが知りたいのかがわかれば棚もお知らせできるのですが」
「実は何を調べていいのかいまいちわからないんです。なので、あとは自分で行ってみます。ありがとうございます」
「お力になれず申し訳ありません」
ぺこりと頭を下げる司書さんは、相変わらず出来る人という感じだった。
指定された部屋のドアを開けて中に入ると、こじんまりとした部屋の壁一面と、高さのある本棚が三列にびっしりと本が並んでいた。
魔素関連、流石に半端ない。
とりあえず、片っ端から読んでいくことにする。これで速読スキルも上がること間違いなし。ふんすと鼻息を荒くしてここから! と決めた棚の一番下の一番端の本を手に取った。それにしても本棚の上の方、足台があっても届く気がしないよ。
ログインから数時間。
ひたすら本を読み続けた俺は、速読スキルレベルを2上げつつ順調に本を消化していった。でも案外書いてあるのは似たようなことなんだよなあ。大気に魔素があるとか、体内魔素の循環法とか、魔素を使った魔法の記録とか。面白いんだけどね。だんだんとコツを掴めてきた俺は、目次を見て内容が同じような感じならそれを飛ばし、次の本に向かうというずるい方法をとることにした。でも棚一つ分の半分くらいしか読み終わってないんだけど。一年あるから気長に行ったほうがいいのはわかるんだけどね。目標が出来るとついつい夢中になるんだよ。
足台を使って背伸びをして、手を伸ばして本を取り出す。そろそろ上の方が取り出しにくくなってきたな、と溜め息をつきつつ数冊本を抜いて、パラパラと中身を見る。
これも下の方にあったのと同じような内容だな、とぱたんと一冊閉じて、また背伸びをして必死で開いているところに突っ込む。
二冊目も同じようにして、棚に戻そうとすると、元から立ててあった本の上に被せて入れちゃったのか、なかなか棚に戻らなかった。力任せに入れると本がくしゃくしゃになりそうだな、ともう一度その本を取り出すと、重なっていた本とその列に立てられていた本まで引き摺られるようにして、俺の上にドサドサドサ、と降ってきた。
「うわ!」
バランスを崩して、足台から落ちた俺は、本に埋もれるようにして「いてて」と呻いた。
音と悲鳴を聞きつけた司書さんが慌てて俺を本の間から助け出してくれた。その後司書さんはすっかり空いてしまった棚を見上げて、俺にそっと「いつでもご用命くださればお手伝いいたしますので、無理はなさらずに」と囁いて、素早く落ちている本を拾って棚に収めていった。
「すいません、本を落としちゃって」
「大丈夫です。それよりお怪我はありませんでしたか?」
「どこもなんとも」
と司書さんに答えて、目に入る深緑の石。
床から石を拾うと、俺はそれが填められていたはずの胸元のアクセサリーを見下ろした。
青い羽根のアクセサリーは、石が取れてぽっかりと空洞が出来ていた。
「え、嘘、今ので取れちゃった……?」
呆然と手の中の石を見下ろしていると、司書さんが落ちている本を拾いながら、少しだけ申し訳なさそうな顔をした。
「申し訳ございません。当館でそのような破損事故が起こるとは。ここは私が片づけますので、お客様はすぐにそれを直しに行かれてはどうでしょうか」
まだまだ床には本が散乱している。すぐに、と言ってくれてるけど、流石にこのままにして行っちゃったらもう俺ここの利用できなくなっちゃうよ。
なくさないように石をインベントリに入れて、俺も本を拾い始めた。本当はすぐに直しに行きたいんだけど! 今度こそ自分の不注意で壊しちゃったのに、この惨状を放置したまま直してもらいに行くことは、流石にできなかった。
二人掛かりだったおかげかすぐに片付いたので、俺はもう一度司書さんに謝ってから、その場で魔法陣を描いた。
すぐにクワットロの呪術屋の前に跳ぶ。
見慣れたすごく趣のある建物のドアベルと鳴らしてドアを開けると、中にはレガロさんがいた。
笑顔で「ようこそお越しくださいました」と俺を迎えてくれる。
「これ、さっき本の下敷きになって壊しちゃったんですけど、直せますか?」
挨拶もそこそこに本題に入ると、レガロさんはそれを見てスッと目を細めた。
石を俺の手から摘まみ上げ、屈みこんで胸元を覗き込み、そっと穴に填める。
そして親指の腹でひと撫でして「久遠の場所となれ」と呟いた。
石の中をスッと光が通り過ぎ、アクセサリーは綺麗に直った。
「もうこれで外れることはありませんよ。石もその場所を気に入っております。大事になさってくださいね」
「ありがとうございます!」
穏やかに微笑むレガロさんに思いっきり頭を下げると、レガロさんは「私の仕事ですから、お気になさらず」と返してくれた。
直しのお代を払うと、レガロさんは奥のテーブルにお茶を用意しますので、と俺を誘ってくれた。でも今日は本に夢中になってて、もうすぐログアウト時間なんだよなあ。
「大丈夫ですよ。そう長くは掛かりませんから」
思考を読んだように口もとをほころばせるレガロさんに白旗を上げた俺は、誘われるままに奥のテーブルに歩を進めた。
お茶を出されて、お礼を言っていると、店のドアがトントンと叩かれる。
「おや、今夜は千客万来ですね。ですが、どうも招かれざるお客様のようです」
レガロさんはそう言うと、そっと足元にあった観葉植物の植木鉢を手で持ちあげ、天井から下がっている細い鎖にはまる様にぶら下げた。丁度俺の顔部分に来るような位置だった。これでドアからの視線を遮ることが出来るようだった。
そして「マック君は静かにここでお茶を楽しんでいて下さいね」と言い置いたレガロさんが入り口に向かった。
家に一枚の封書が届いた。
表には『ラウロエレクトロニクス株式会社』と銘打たれている。
中を開けてみると、来春からの採用通知書。本格的な書類だった。
「……え?」
内定とすら入っていないその通知書に戸惑っていると、母さんが横から覗き込んできた。
「ここって健吾がバイトしてるところでしょ。そのままそこで社員になることになったのね。いいじゃない」
「俺、冗談かと思ってた」
「普通ね、会社は本当に欲しいと思った子以外にはここに来いなんて冗談でも言わないのよ。だって本気にされちゃって後になって困るのは会社の方じゃない。ってことは、仕事中にそういう話が出たなら、本気だったんじゃないの? 今から勉強して大学行くよりはよほどいいと思うけど。それにこれを送って来るってことは、大卒じゃなくてもいいってことでしょ」
確かに今から勉強をしたとしても入れる大学なんてなさそうなんだよな。俺、そんなに頭よくないし。
むむむ、と難しい顔をしていると、母さんが勝手に必要書類をチェックして「今度取ってくるから、ちゃんと内容確認して早めにバイト先に提出しなさいよ」と俺の背中を叩いた。
「書類くらい俺が自分で取って来るよ」と母さんに言ってから、もう一度手元の紙を見下ろす。ヴィルさん相変わらず仕事早すぎだろ。
届いた書類一式を封筒にしまって、俺はそれを部屋に持って行った。とりあえずなくさないようにしないと。
むだに引き延ばしてもあれなので、次の日に役所に行って必要書類をゲットし、内容を記入したその足でヴィルさんの所に持って行くと、ヴィルさんはアポイント無しにも拘わらず「行動が早いのはいいことだ」と言って俺を招き入れた。
そして、書類一式をざっと見ると、よし、とそれを机の引き出しにしまってしまった。
「健吾がサインしてくれて嬉しいよ。来年からは本格的に色々と動いてもらうから覚悟しとけよ。と言っても、やってもらうのは飯作りと雑用と、あとは向こうの世界でのあれこれだけどな」
「はい。って本当にこんなに簡単に決めちゃっていいんですか?」
「俺の目に狂いはない。言っただろ、俺は勘がいいって。その勘が健吾を手放すなって言ってるんだ。これに逆らったら、それこそとんでもなく痛い目を見るのは経験上知ってるから、よろしく頼む。あ、バイトも続けてくれるよな」
既に決定事項な言い方に、空笑いしか出なかった。
そんな曖昧なことで俺の採用決めちゃったんだ……。でも感知が初期スキルに現れるほど勘がいいって、実は地味にすごい気がする。表に現れない凄さっていうか。
そんなヴィルさんから出された条件が二つ。
ADO内で魔素関連の知識をつけて、ある程度は戦えるようになること。中に入って行動したり実験に付き合ったりするためらしい。
もう一つが、料理。どちらかと言うとこっちがメインらしい。短時間で作れて栄養が偏らないような料理のレパートリーを増やすのがこの一年で俺がしないといけない勉強となった。
そういう勉強なら全然嫌じゃないからいいんだけどね。頑張って皆の健康管理をするってことだよな。結構責任重大な気がするのは気のせいかな。
というわけで、進路調査書に書く内容がすでに決定してしまった俺は、早速ヴィルさんの宿題を消化しようと、ADOにログインした。
魔素関連の知識ってそんなザクっと言われても、漠然としすぎていてイマイチどうしていいかわからないんだよな。こういう時は図書館かな。ジャル・ガーさんに訊きに行ってもいいかな。とりあえずは図書館で。
と図書館に向かう。
入り口から近いカウンターには、見知った司書さんが座っていた。
目が合うと、いつもの挨拶をしてくれる。
「あの、魔素関連の本ってどの棚にありますか?」
「魔素関連ですか。ここを奥に向かって進んで二番目の左側の扉を開けると、その部屋全体が魔素関連になります。魔素のどういったことが知りたいのかがわかれば棚もお知らせできるのですが」
「実は何を調べていいのかいまいちわからないんです。なので、あとは自分で行ってみます。ありがとうございます」
「お力になれず申し訳ありません」
ぺこりと頭を下げる司書さんは、相変わらず出来る人という感じだった。
指定された部屋のドアを開けて中に入ると、こじんまりとした部屋の壁一面と、高さのある本棚が三列にびっしりと本が並んでいた。
魔素関連、流石に半端ない。
とりあえず、片っ端から読んでいくことにする。これで速読スキルも上がること間違いなし。ふんすと鼻息を荒くしてここから! と決めた棚の一番下の一番端の本を手に取った。それにしても本棚の上の方、足台があっても届く気がしないよ。
ログインから数時間。
ひたすら本を読み続けた俺は、速読スキルレベルを2上げつつ順調に本を消化していった。でも案外書いてあるのは似たようなことなんだよなあ。大気に魔素があるとか、体内魔素の循環法とか、魔素を使った魔法の記録とか。面白いんだけどね。だんだんとコツを掴めてきた俺は、目次を見て内容が同じような感じならそれを飛ばし、次の本に向かうというずるい方法をとることにした。でも棚一つ分の半分くらいしか読み終わってないんだけど。一年あるから気長に行ったほうがいいのはわかるんだけどね。目標が出来るとついつい夢中になるんだよ。
足台を使って背伸びをして、手を伸ばして本を取り出す。そろそろ上の方が取り出しにくくなってきたな、と溜め息をつきつつ数冊本を抜いて、パラパラと中身を見る。
これも下の方にあったのと同じような内容だな、とぱたんと一冊閉じて、また背伸びをして必死で開いているところに突っ込む。
二冊目も同じようにして、棚に戻そうとすると、元から立ててあった本の上に被せて入れちゃったのか、なかなか棚に戻らなかった。力任せに入れると本がくしゃくしゃになりそうだな、ともう一度その本を取り出すと、重なっていた本とその列に立てられていた本まで引き摺られるようにして、俺の上にドサドサドサ、と降ってきた。
「うわ!」
バランスを崩して、足台から落ちた俺は、本に埋もれるようにして「いてて」と呻いた。
音と悲鳴を聞きつけた司書さんが慌てて俺を本の間から助け出してくれた。その後司書さんはすっかり空いてしまった棚を見上げて、俺にそっと「いつでもご用命くださればお手伝いいたしますので、無理はなさらずに」と囁いて、素早く落ちている本を拾って棚に収めていった。
「すいません、本を落としちゃって」
「大丈夫です。それよりお怪我はありませんでしたか?」
「どこもなんとも」
と司書さんに答えて、目に入る深緑の石。
床から石を拾うと、俺はそれが填められていたはずの胸元のアクセサリーを見下ろした。
青い羽根のアクセサリーは、石が取れてぽっかりと空洞が出来ていた。
「え、嘘、今ので取れちゃった……?」
呆然と手の中の石を見下ろしていると、司書さんが落ちている本を拾いながら、少しだけ申し訳なさそうな顔をした。
「申し訳ございません。当館でそのような破損事故が起こるとは。ここは私が片づけますので、お客様はすぐにそれを直しに行かれてはどうでしょうか」
まだまだ床には本が散乱している。すぐに、と言ってくれてるけど、流石にこのままにして行っちゃったらもう俺ここの利用できなくなっちゃうよ。
なくさないように石をインベントリに入れて、俺も本を拾い始めた。本当はすぐに直しに行きたいんだけど! 今度こそ自分の不注意で壊しちゃったのに、この惨状を放置したまま直してもらいに行くことは、流石にできなかった。
二人掛かりだったおかげかすぐに片付いたので、俺はもう一度司書さんに謝ってから、その場で魔法陣を描いた。
すぐにクワットロの呪術屋の前に跳ぶ。
見慣れたすごく趣のある建物のドアベルと鳴らしてドアを開けると、中にはレガロさんがいた。
笑顔で「ようこそお越しくださいました」と俺を迎えてくれる。
「これ、さっき本の下敷きになって壊しちゃったんですけど、直せますか?」
挨拶もそこそこに本題に入ると、レガロさんはそれを見てスッと目を細めた。
石を俺の手から摘まみ上げ、屈みこんで胸元を覗き込み、そっと穴に填める。
そして親指の腹でひと撫でして「久遠の場所となれ」と呟いた。
石の中をスッと光が通り過ぎ、アクセサリーは綺麗に直った。
「もうこれで外れることはありませんよ。石もその場所を気に入っております。大事になさってくださいね」
「ありがとうございます!」
穏やかに微笑むレガロさんに思いっきり頭を下げると、レガロさんは「私の仕事ですから、お気になさらず」と返してくれた。
直しのお代を払うと、レガロさんは奥のテーブルにお茶を用意しますので、と俺を誘ってくれた。でも今日は本に夢中になってて、もうすぐログアウト時間なんだよなあ。
「大丈夫ですよ。そう長くは掛かりませんから」
思考を読んだように口もとをほころばせるレガロさんに白旗を上げた俺は、誘われるままに奥のテーブルに歩を進めた。
お茶を出されて、お礼を言っていると、店のドアがトントンと叩かれる。
「おや、今夜は千客万来ですね。ですが、どうも招かれざるお客様のようです」
レガロさんはそう言うと、そっと足元にあった観葉植物の植木鉢を手で持ちあげ、天井から下がっている細い鎖にはまる様にぶら下げた。丁度俺の顔部分に来るような位置だった。これでドアからの視線を遮ることが出来るようだった。
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