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478、捜索メンバー出発
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「マックの所じゃおそろいの指輪をするんだってヴィデロに聞いて、それいいなって思ってさ、俺もフランに指輪を渡したんだ。守護石付きのやつ。何あるかわからねえこのご時世、やっぱ心配だしな」
ロイさんはそう言って手甲付きの左手を挙げた。
「フランもなんかすげえ喜んでくれたんだ。そろそろ腹もはち切れそうで毎日見てるだけのこっちもハラハラだぜ」
「あ、そっか。いつ頃生まれるの?」
「あと二月くらいとか言ってたかな」
「見たいなあ……でも生まれたばっかりで外に連れて歩くのって無理だよなあ……」
ロイさんが恐る恐る赤ちゃんを抱いてるところとか、一度見てみたいなあ、なんて思ってたけど、ここってプレイヤーが歩く場所と街の人たちが住んでる場所ってハッキリと一線を画してるから小さな子とかも全然いないんだよな。
「マックは赤ん坊も好きなのか?」
「うん。めちゃくちゃ可愛いもん。でも赤ちゃんを抱っこしたことって一度もないんだ。そういう機会がなくて」
「そっか」
ロイさんはじっと俺の顔を見ながら、何かを考えているみたいだった。
そして、「じゃあ」と口を開く。
「産まれたらうちに遊びに来ねえ? ついでに何か飯でも差し入れてくれると嬉しい。きっとフランも体力落ちてるだろうから」
「もちろん!」
ロイさんの提案に一も二もなく乗った俺は、絶対沢山日持ちする物を持って行こうと心に誓った。
「そうか、保存効くように時間停止と空間拡張したカバンに食べ物を大量に入れて持って行くっていうのも手か。そしたら産後しばらくはゆっくりできるだろうし。そっかそっか。そうしよう」
ふへへへと変な笑いを零しながら呟いていると、ロイさんがそれを聞いてしまったらしく、「……ほどほどにな?」と引きつった顔をしていた。
「それにしても森に行ったやつら遅いな」
「そろそろ帰ってきてもいい頃だな」
ロイさんと門番さんが空を見上げて顔を見合わせた。
心臓がドキッとする。何かあったのかな。
「ロイ、ちょっと鐘鳴らせ。数人出た方がよくねえか?」
「……だな」
入口に近い方に立っていたロイさんが鐘を鳴らすと、中からすぐにブロッサムさんが出てきた。
「どうした、なんかあったか」
「森の見回りがまだ帰ってこないから心配になってな」
ロイさんの言葉に、ブロッサムさんも空を見上げた。
そして、「わかった」と一言つぶやいて、中に戻って行った。
何やってんだよ、と呟いた門番さんはサッと姿勢を正して「ようこそトレへ」と通りがかるプレイヤーに声を掛けた。
プレイヤーも「お疲れさん、門番さん」なんて気さくに声をかけていた。
「お前たち森に行ったか?」
「ああ。今森でレベル上げしてきたところだ」
「ちょっと訊いてもいいか? 森の中は、いつも通りだったか?」
「ああ。特に変わったことはなかったよ」
「そうか。お疲れさん。ありがとな」
「じゃ」
通り過ぎるプレイヤーに手を振ってから、門番さんが首を捻る。
「いつもと変わりねえのに遅いってのは余計におかしいな」
「いつも時間きっちりなの?」
「きっちりってわけじゃねえけど、大体は似たような時間に戻ってくるぜ。進む道は決められてるからな。何かあれば音が響く警笛が鳴ったり狼煙が上がったりするんだけど、それもねえしな」
「タタンも一緒に行ってるんだろ。ヴィデロとタタンがいれば大抵の魔物は瞬殺じゃないかよ」
「だよなあ」
タタンさんも一緒だったんだ。それで遅いのは何かトラブルがあったってことなんじゃないのかな。
俺、森に行ってみようかな。でもルート知らない。
「ヴィデロさんが回ってる道、教えてくれない?」
「マック一人で行くのか?」
「なんかあった場合に対処できるかわからねえから、一人で行くのはやめとけよ。今日のルートは一番魔物が強いルートだからな」
「でも、ただ待ってるだけってのは無理」
「でももう夜だからな」
夜だからって躊躇ってるわけにはいかない、と飛び出そうとしたところで、腕を掴まれた。
振り返ると、ブロッサムさんが軽装で立っていた。
「待て、マック。心配なのはわかるから、俺らと一緒に行くぞ」
「いいの!?」
「一人で跳び出されるよりはましだ。馬で行くから、マックの馬も用意してやる」
ブロッサムさんのありがたい申し出に、俺は動きを止めた。
絶対に身に付けようと思っていたスキル、実はまだ身に付けてなかったんだ……。
「俺、単独で馬に乗れない……」
小さくなった俺に、ブロッサムさんは険しい顔をフッとほころばせた。
俺はハニーの背中に乗せてもらって森を突っ走っている。
目の前にはブロスさんの背中。必死で転がり落ちないようにくっついている。
ブロスさんも捜索隊メンバーとして出てきて、ハニーと共に捜索に参加していた。
というわけで、ブロッサムさん、ブロスさん、マルクスさんというとても馴染みのメンバーが捜索隊と称して森を突っ走った。
非番で手が空いている人がこういうことをするらしく、まだまだ騎士団も人数が足りないんだなと溜め息を呑み込んだ。
王様がどんな夢を見たのか、王様と騎士団長たちがどんな話し合いをしたのか、俺は全く知らない。っていうか一介のプレイヤーがそんな話を聞くのはどうかと思う。
ただ、改善された方向で行くんだろうなっていうのはわかる。
ヴィデロさんも門番のことに関しては俺に何も言わないから、どうなってるのか本当にわからないんだもん。
ブロスさんの背中に必死でしがみつきながら、俺は感知をひたすら使い続けた。
たまにプレイヤーが森の散策をしているくらいで、何もないし、魔物も放置する勢いで馬を走らせているので、戦闘も今の所回避できている。追ってくる足の速い魔物は、俺が『感覚機能破壊薬』を投げると大抵追えなくなるのでそれで撃退している。とにかく見回りの隊と合流するのが先決だということだ。
口を開いた途端に舌を噛みそうなので、声をあげることも出来ない。
感知に引っかかる大きな魔物も見当たらないので、そのまま走る。
「いねえな」
山裾の魔物が強くなるラインを越えて馬を走らせても、森の見回りとは合流出来なかった。
ヴィデロさん、どこにいるんだろう。
気持ちだけが逸る。
画面横のマップを必死で見ていると、さらに先の方で、NPCを示す表示が数点固まっているのが目に入った。中には、プレイヤーの表示まであり、全部で8人分の表示が出ていた。
「ここから向こう側に人がいる!」
声を上げてマップの示す方を指さすと、後ろから馬を走らせていたマルクスさんが「おいマック!」と叫んだ。
「そっちには道はねえよ! 山に登ることになっちまう!」
「でも、こっちに皆がいるんだってば!」
俺が指さしたのは、岩場が連なる山の斜面の、さらに上だった。
岩は傾斜がすごくて、登ろうと思ってもそんな簡単には登れそうもない。
どうやってこの先まで行ったんだろう。
「一旦止まるぞ。マック、本当にあいつらこの先にいるのか?」
「うん。こっちに8人が固まってる」
「見回りは4人だろ。他の4人は異邦人か?」
「そうみたいなんだけど、ほとんど動いていないから、もしかして移動できないのかも」
俺がそう教えると、ブロッサムさんはちっと舌打ちした。
「なんでそんなことになってるんだよ……」
「とにかく行ってみるか?」
「俺、こんなところ登れる気がしない」
ボルダリングとか出来ないし、見たところ足場になるような場所もほぼない。
皆で周りを見回して、登れそうな場所がないか探すことにした。
山裾を少しの間上を見上げながら歩く。魔物は俺のマップに示されるからそこまで警戒することはないんだけど、登れる場所だけは見ないとわからないから。
「ここら辺は登れるかもな」
少しだけでこぼこした岩と岩の重なった場所を見上げて、マルクスさんが岩に手を掛ける。
すると、ボロっと手を掛けた岩が崩れ落ちた。
「うっわ脆いな。登れねえじゃん」
「ここから先は脆い岩っぽいな。もう一度戻って今度は向こう側を探してみるか」
手綱を握らなくても、三頭の馬たちは俺たちの後をついてくる。
一度馬から降りた場所から今度は反対側に、登れそうな場所を探して歩いていると、いきなり馬が嘶いた。
「どうしたハニー」
ブロスさんが足を止める。
魔物はいないよな、とマップを見つつマルクスさんと「あの絡まった蔦で上まで行けないかな」「行けるかもな、やってみるか」なんて話しながら足を進めると、もう一度ハニーが嘶いた。
次の瞬間、いきなり視界が変わる。
暗いけれど、ちゃんと開けていた視界が、いきなり閉塞的な視界に変わった。
そして、足場が崩れた。
咄嗟にマルクスさんが俺の手を掴んでくれたけど、2人でまるで滑り台を滑るように下に下に滑り降りてしまっていて、あまり意味がなかった。
何が起きたのか全くわからない。
いきなりの急展開にパニックになりそうになりながらも、マルクスさんの手の感触が何とか俺を踏ん張らせてくれていた。
もしかして何かの罠かな。それをヴィデロさんたちも踏んで、今動けない状態になっているとか。それだったら、このままいけばヴィデロさんの所に行けるかもしれない。そうだったらある意味ラッキーなのに。
「くっそ……このまま壁とかに激突したら絶対無事じゃ済まねえな……。母なる大地よ、ちっとばかしその身を動かし、地面をちょびっと持ち上げてくれ。『隆起アップリフト』!」
マルクスさんがおかしな詠唱をすると、なだらかだった地面がいきなりボコボコと凹凸を作り始めた。
そして、それに引っかかる様にして、俺たちの滑る速度が一気に緩やかになる。
何とか止まった俺たちは、足を隆起した地面に引っ掛けるようにして立ち上がった。
「何とか無事止まったな」
「助かったね。でもマルクスさん。さっきの詠唱何あれ」
「あれは俺の簡単詠唱だ。あんな風にアレンジして、出力を調節しねえとすぐに魔力がなくなっちまうからな」
「すごいのかすごくないのかわからないおかしな詠唱だったね……」
でも面白いから今度ユイに使ってもらおうと心に決めた俺だった。
ロイさんはそう言って手甲付きの左手を挙げた。
「フランもなんかすげえ喜んでくれたんだ。そろそろ腹もはち切れそうで毎日見てるだけのこっちもハラハラだぜ」
「あ、そっか。いつ頃生まれるの?」
「あと二月くらいとか言ってたかな」
「見たいなあ……でも生まれたばっかりで外に連れて歩くのって無理だよなあ……」
ロイさんが恐る恐る赤ちゃんを抱いてるところとか、一度見てみたいなあ、なんて思ってたけど、ここってプレイヤーが歩く場所と街の人たちが住んでる場所ってハッキリと一線を画してるから小さな子とかも全然いないんだよな。
「マックは赤ん坊も好きなのか?」
「うん。めちゃくちゃ可愛いもん。でも赤ちゃんを抱っこしたことって一度もないんだ。そういう機会がなくて」
「そっか」
ロイさんはじっと俺の顔を見ながら、何かを考えているみたいだった。
そして、「じゃあ」と口を開く。
「産まれたらうちに遊びに来ねえ? ついでに何か飯でも差し入れてくれると嬉しい。きっとフランも体力落ちてるだろうから」
「もちろん!」
ロイさんの提案に一も二もなく乗った俺は、絶対沢山日持ちする物を持って行こうと心に誓った。
「そうか、保存効くように時間停止と空間拡張したカバンに食べ物を大量に入れて持って行くっていうのも手か。そしたら産後しばらくはゆっくりできるだろうし。そっかそっか。そうしよう」
ふへへへと変な笑いを零しながら呟いていると、ロイさんがそれを聞いてしまったらしく、「……ほどほどにな?」と引きつった顔をしていた。
「それにしても森に行ったやつら遅いな」
「そろそろ帰ってきてもいい頃だな」
ロイさんと門番さんが空を見上げて顔を見合わせた。
心臓がドキッとする。何かあったのかな。
「ロイ、ちょっと鐘鳴らせ。数人出た方がよくねえか?」
「……だな」
入口に近い方に立っていたロイさんが鐘を鳴らすと、中からすぐにブロッサムさんが出てきた。
「どうした、なんかあったか」
「森の見回りがまだ帰ってこないから心配になってな」
ロイさんの言葉に、ブロッサムさんも空を見上げた。
そして、「わかった」と一言つぶやいて、中に戻って行った。
何やってんだよ、と呟いた門番さんはサッと姿勢を正して「ようこそトレへ」と通りがかるプレイヤーに声を掛けた。
プレイヤーも「お疲れさん、門番さん」なんて気さくに声をかけていた。
「お前たち森に行ったか?」
「ああ。今森でレベル上げしてきたところだ」
「ちょっと訊いてもいいか? 森の中は、いつも通りだったか?」
「ああ。特に変わったことはなかったよ」
「そうか。お疲れさん。ありがとな」
「じゃ」
通り過ぎるプレイヤーに手を振ってから、門番さんが首を捻る。
「いつもと変わりねえのに遅いってのは余計におかしいな」
「いつも時間きっちりなの?」
「きっちりってわけじゃねえけど、大体は似たような時間に戻ってくるぜ。進む道は決められてるからな。何かあれば音が響く警笛が鳴ったり狼煙が上がったりするんだけど、それもねえしな」
「タタンも一緒に行ってるんだろ。ヴィデロとタタンがいれば大抵の魔物は瞬殺じゃないかよ」
「だよなあ」
タタンさんも一緒だったんだ。それで遅いのは何かトラブルがあったってことなんじゃないのかな。
俺、森に行ってみようかな。でもルート知らない。
「ヴィデロさんが回ってる道、教えてくれない?」
「マック一人で行くのか?」
「なんかあった場合に対処できるかわからねえから、一人で行くのはやめとけよ。今日のルートは一番魔物が強いルートだからな」
「でも、ただ待ってるだけってのは無理」
「でももう夜だからな」
夜だからって躊躇ってるわけにはいかない、と飛び出そうとしたところで、腕を掴まれた。
振り返ると、ブロッサムさんが軽装で立っていた。
「待て、マック。心配なのはわかるから、俺らと一緒に行くぞ」
「いいの!?」
「一人で跳び出されるよりはましだ。馬で行くから、マックの馬も用意してやる」
ブロッサムさんのありがたい申し出に、俺は動きを止めた。
絶対に身に付けようと思っていたスキル、実はまだ身に付けてなかったんだ……。
「俺、単独で馬に乗れない……」
小さくなった俺に、ブロッサムさんは険しい顔をフッとほころばせた。
俺はハニーの背中に乗せてもらって森を突っ走っている。
目の前にはブロスさんの背中。必死で転がり落ちないようにくっついている。
ブロスさんも捜索隊メンバーとして出てきて、ハニーと共に捜索に参加していた。
というわけで、ブロッサムさん、ブロスさん、マルクスさんというとても馴染みのメンバーが捜索隊と称して森を突っ走った。
非番で手が空いている人がこういうことをするらしく、まだまだ騎士団も人数が足りないんだなと溜め息を呑み込んだ。
王様がどんな夢を見たのか、王様と騎士団長たちがどんな話し合いをしたのか、俺は全く知らない。っていうか一介のプレイヤーがそんな話を聞くのはどうかと思う。
ただ、改善された方向で行くんだろうなっていうのはわかる。
ヴィデロさんも門番のことに関しては俺に何も言わないから、どうなってるのか本当にわからないんだもん。
ブロスさんの背中に必死でしがみつきながら、俺は感知をひたすら使い続けた。
たまにプレイヤーが森の散策をしているくらいで、何もないし、魔物も放置する勢いで馬を走らせているので、戦闘も今の所回避できている。追ってくる足の速い魔物は、俺が『感覚機能破壊薬』を投げると大抵追えなくなるのでそれで撃退している。とにかく見回りの隊と合流するのが先決だということだ。
口を開いた途端に舌を噛みそうなので、声をあげることも出来ない。
感知に引っかかる大きな魔物も見当たらないので、そのまま走る。
「いねえな」
山裾の魔物が強くなるラインを越えて馬を走らせても、森の見回りとは合流出来なかった。
ヴィデロさん、どこにいるんだろう。
気持ちだけが逸る。
画面横のマップを必死で見ていると、さらに先の方で、NPCを示す表示が数点固まっているのが目に入った。中には、プレイヤーの表示まであり、全部で8人分の表示が出ていた。
「ここから向こう側に人がいる!」
声を上げてマップの示す方を指さすと、後ろから馬を走らせていたマルクスさんが「おいマック!」と叫んだ。
「そっちには道はねえよ! 山に登ることになっちまう!」
「でも、こっちに皆がいるんだってば!」
俺が指さしたのは、岩場が連なる山の斜面の、さらに上だった。
岩は傾斜がすごくて、登ろうと思ってもそんな簡単には登れそうもない。
どうやってこの先まで行ったんだろう。
「一旦止まるぞ。マック、本当にあいつらこの先にいるのか?」
「うん。こっちに8人が固まってる」
「見回りは4人だろ。他の4人は異邦人か?」
「そうみたいなんだけど、ほとんど動いていないから、もしかして移動できないのかも」
俺がそう教えると、ブロッサムさんはちっと舌打ちした。
「なんでそんなことになってるんだよ……」
「とにかく行ってみるか?」
「俺、こんなところ登れる気がしない」
ボルダリングとか出来ないし、見たところ足場になるような場所もほぼない。
皆で周りを見回して、登れそうな場所がないか探すことにした。
山裾を少しの間上を見上げながら歩く。魔物は俺のマップに示されるからそこまで警戒することはないんだけど、登れる場所だけは見ないとわからないから。
「ここら辺は登れるかもな」
少しだけでこぼこした岩と岩の重なった場所を見上げて、マルクスさんが岩に手を掛ける。
すると、ボロっと手を掛けた岩が崩れ落ちた。
「うっわ脆いな。登れねえじゃん」
「ここから先は脆い岩っぽいな。もう一度戻って今度は向こう側を探してみるか」
手綱を握らなくても、三頭の馬たちは俺たちの後をついてくる。
一度馬から降りた場所から今度は反対側に、登れそうな場所を探して歩いていると、いきなり馬が嘶いた。
「どうしたハニー」
ブロスさんが足を止める。
魔物はいないよな、とマップを見つつマルクスさんと「あの絡まった蔦で上まで行けないかな」「行けるかもな、やってみるか」なんて話しながら足を進めると、もう一度ハニーが嘶いた。
次の瞬間、いきなり視界が変わる。
暗いけれど、ちゃんと開けていた視界が、いきなり閉塞的な視界に変わった。
そして、足場が崩れた。
咄嗟にマルクスさんが俺の手を掴んでくれたけど、2人でまるで滑り台を滑るように下に下に滑り降りてしまっていて、あまり意味がなかった。
何が起きたのか全くわからない。
いきなりの急展開にパニックになりそうになりながらも、マルクスさんの手の感触が何とか俺を踏ん張らせてくれていた。
もしかして何かの罠かな。それをヴィデロさんたちも踏んで、今動けない状態になっているとか。それだったら、このままいけばヴィデロさんの所に行けるかもしれない。そうだったらある意味ラッキーなのに。
「くっそ……このまま壁とかに激突したら絶対無事じゃ済まねえな……。母なる大地よ、ちっとばかしその身を動かし、地面をちょびっと持ち上げてくれ。『隆起アップリフト』!」
マルクスさんがおかしな詠唱をすると、なだらかだった地面がいきなりボコボコと凹凸を作り始めた。
そして、それに引っかかる様にして、俺たちの滑る速度が一気に緩やかになる。
何とか止まった俺たちは、足を隆起した地面に引っ掛けるようにして立ち上がった。
「何とか無事止まったな」
「助かったね。でもマルクスさん。さっきの詠唱何あれ」
「あれは俺の簡単詠唱だ。あんな風にアレンジして、出力を調節しねえとすぐに魔力がなくなっちまうからな」
「すごいのかすごくないのかわからないおかしな詠唱だったね……」
でも面白いから今度ユイに使ってもらおうと心に決めた俺だった。
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