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御子誕生編
離宮に集合
兄様と共に妃殿下の休んでいる離宮に向かう。
ヴォルフラム陛下がついていてくれるので、それほど心配はしてないけど……嘘。絶賛心配中。
だって自分のと妃殿下の二人分の魔力を食っちゃう御子だよ。どれだけ魔力が多いの。
御子はお腹の中で母親とつながっているから、ミラ妃殿下が魔力をバンバン回復すればそれは御子の回復にもなるけれど。
俺だって一気に魔力を回復した時は兄様の血を口に含んだ時だったし、今回は急すぎて、きっと陛下もどこかを傷つけて妃殿下を回復したかもしれない。リコル先生も待機してくれているからまあ、大丈夫だろうけれど。
それよりもツヴァイト閣下とブルーノ君の顔を見たときの安心感ときたら……!
体調悪いときのブルーノ君はその存在だけでもう精神安定剤なのでは? と思う。
妃殿下は座って話をできる程度には回復したらしくて、ブルーノ君たちが旅の汚れを落として来たら、一緒にご飯を食べつつ話をしようということになったんだって。
離宮の方で仕事をしていた兄様は、俺がハラハラしていたのをしっかりとわかっていたので、俺を安心させるようにいつもの柔らかい笑みで微笑んだ。
「妃殿下は大丈夫だよ。陛下が一緒にいるからね」
「はい。ただ、どこか傷ついていたらと思うと……」
「傷? あ、ああ……そういう……」
俺の言葉に、兄様は一瞬きょとんとしたとても可愛らしい顔をした後、手で口元を覆って目を閉じた。
「やばいな、アルバ可愛い……うん、可愛すぎる……」
あの方法を教えたら、アルバはどんな反応をするか……という兄様の呟きを拾ってしまい、首を傾げた。
「あの方法って……?」
聞き返すと、兄様は少しだけ慌てたように頬を赤くして顔の前で「何でもないよ……っ」と手を振った。
うーん今日の兄様の反応が可愛すぎて、色々な不安が吹き飛んでしまった。でもこんな兄様の様子を見ている限り、妃殿下はもう体調は回復したってことでいいのかな。
離宮に着くと、俺と兄様はいつも通してもらう応接室に通された。
そこにアドリアン君がやってきて、次にリコル先生がやってきた。
「オルシス、アルバ、あいつらは無事帰ってきたか?」
「お二人ともお疲れ様です。妃殿下は落ち着きましたよ。あとで顔を出すそうです」
二人ともそれぞれにそう口を開くと、兄様と俺が座っていたテーブルの一人掛けのソファにそれぞれ座った。
アドリアン君が腰を下ろすところを視るのは久しぶりなので、何やら不思議な感じがする。
「アドリアン君、ジャスミン様は一緒ではないんですね」
「ジャスミンなら、ミリィ嬢のところに向かったぞ。ツヴァイトが解放されるまで別室で待ってもらうことになるからと言ったら、喜び勇んで『ぜひミリィ先輩に新妻の心得をお聞きしなくては!』とこぶしを握っていたからな」
「なんですかそれ」
キリッとした顔つきのジャスミン様を思い浮かべて、思わず笑いそうになってしまう。いかにも女騎士という風貌のジャスミン様は、俺から見るととてもかっこいい女性の一人だ。かっこいい女性の第一人者はミラ妃殿下なんだけれど。それを本人に言ったら怖いので心の中でだけ思っている。
「陛下と妃殿下についていて、あのお二人のように仲睦まじい夫婦になりたいんだと、この間俺に喧嘩腰で伝えてきたぞ」
「喧嘩腰って……」
アドリアン君はそんなジャスミン様の態度をなんとも思っていないようだった。
「アドリアン君、ジャスミン君のあの態度は、喧嘩腰なのではなくて、気合が入りすぎているだけだと思いますよ」
やんわりとリコル先生が釘をさす。もしかしたら現場を見たのかな。
「彼女があなたを見る目は、とてもきらきらとしていて、あなたが彼女に一歩近づけば絶対に仲睦まじい夫婦になると思うのですよ」
「一歩近づく……? いやでも、すでに俺達は夫婦なわけですし、俺はそんな彼女を好ましいと思っていますし」
「それを口に出して言っているのですか? 彼女は、一方的にあなたを慕っていると思っているようですよ」
んん? ここで恋愛相談が始まってしまった?
アドリアン君、夫婦仲そんなに良くないのかな。見る限り、似た者夫婦で似合うと思うんだけれど。
「そういうことはあまり口に出すことではないでしょう」
アドリアン君はそう言って、そっとリコル先生から目を逸らした。耳がほんのり赤い。照れてるのかな。すでに夫婦なのに。そういうことを口に出さないと拗れるのに。
と言おうと思ったら、リコル先生が全く、と溜息を吐いた。
「アドリアン君は目の前のお二人を見習って、ちゃんと気持ちを口に出したほうがいいですよ。アルバ君もオルシス君も相手に対する想いをしっかりと相手に伝わるように口に出しているからこそ、お互いのことをしっかりと信頼していられるのですよ。自分の気持ちなど、口に出さずにわかってもらっているなんて思いこむのはよくないです」
俺達が引き合いに出された!
言ってることはまさに俺が注意しようとしたことだけど!
「兄様にこの気持ちを余すことなく伝えるのはやぶさかではないですけど! 僕としてはこれでも抑えた方で、それでもできるなら一日中兄様を褒め称え頑張りを讃頌し兄様の素晴らしさを兄様に知ってほしいから口に出していただけのことで、別に特別なことはないんですよ」
それに、と続けようとした瞬間兄様の手に口を塞がれてしまった。
そして、俺の口を塞いだまま、女神も霞むほどの笑みをその顔に浮かべた。
「アルバ、愛してるよ」
撃沈。
俺がどれだけ言葉を重ねようとも、兄様のこの一言にすべて持ってかれてしまった。さすが兄様。かっこいいが過ぎる……!
「僕も……」
という言葉は、兄様の手の中に吸い込まれるように意味のない音と化した。掌がくすぐったかったのか、くすっと兄様が笑う。
「ほら」
リコル先生が真顔で俺達を指さした。
それを見たアドリアン君が、頭を掻いて、少しだけ顔を赤くして、半眼で「……善処する」と呟いた。その言葉はできればやるよ、という意味合いと一緒ですよね。遠回しなお断りの文句かな。
ー・-・-・-・-・-
途中から重複してしまっていました!
ご指摘とてもありがたいです!!!!
ありがとうございます><
直しました!
ヴォルフラム陛下がついていてくれるので、それほど心配はしてないけど……嘘。絶賛心配中。
だって自分のと妃殿下の二人分の魔力を食っちゃう御子だよ。どれだけ魔力が多いの。
御子はお腹の中で母親とつながっているから、ミラ妃殿下が魔力をバンバン回復すればそれは御子の回復にもなるけれど。
俺だって一気に魔力を回復した時は兄様の血を口に含んだ時だったし、今回は急すぎて、きっと陛下もどこかを傷つけて妃殿下を回復したかもしれない。リコル先生も待機してくれているからまあ、大丈夫だろうけれど。
それよりもツヴァイト閣下とブルーノ君の顔を見たときの安心感ときたら……!
体調悪いときのブルーノ君はその存在だけでもう精神安定剤なのでは? と思う。
妃殿下は座って話をできる程度には回復したらしくて、ブルーノ君たちが旅の汚れを落として来たら、一緒にご飯を食べつつ話をしようということになったんだって。
離宮の方で仕事をしていた兄様は、俺がハラハラしていたのをしっかりとわかっていたので、俺を安心させるようにいつもの柔らかい笑みで微笑んだ。
「妃殿下は大丈夫だよ。陛下が一緒にいるからね」
「はい。ただ、どこか傷ついていたらと思うと……」
「傷? あ、ああ……そういう……」
俺の言葉に、兄様は一瞬きょとんとしたとても可愛らしい顔をした後、手で口元を覆って目を閉じた。
「やばいな、アルバ可愛い……うん、可愛すぎる……」
あの方法を教えたら、アルバはどんな反応をするか……という兄様の呟きを拾ってしまい、首を傾げた。
「あの方法って……?」
聞き返すと、兄様は少しだけ慌てたように頬を赤くして顔の前で「何でもないよ……っ」と手を振った。
うーん今日の兄様の反応が可愛すぎて、色々な不安が吹き飛んでしまった。でもこんな兄様の様子を見ている限り、妃殿下はもう体調は回復したってことでいいのかな。
離宮に着くと、俺と兄様はいつも通してもらう応接室に通された。
そこにアドリアン君がやってきて、次にリコル先生がやってきた。
「オルシス、アルバ、あいつらは無事帰ってきたか?」
「お二人ともお疲れ様です。妃殿下は落ち着きましたよ。あとで顔を出すそうです」
二人ともそれぞれにそう口を開くと、兄様と俺が座っていたテーブルの一人掛けのソファにそれぞれ座った。
アドリアン君が腰を下ろすところを視るのは久しぶりなので、何やら不思議な感じがする。
「アドリアン君、ジャスミン様は一緒ではないんですね」
「ジャスミンなら、ミリィ嬢のところに向かったぞ。ツヴァイトが解放されるまで別室で待ってもらうことになるからと言ったら、喜び勇んで『ぜひミリィ先輩に新妻の心得をお聞きしなくては!』とこぶしを握っていたからな」
「なんですかそれ」
キリッとした顔つきのジャスミン様を思い浮かべて、思わず笑いそうになってしまう。いかにも女騎士という風貌のジャスミン様は、俺から見るととてもかっこいい女性の一人だ。かっこいい女性の第一人者はミラ妃殿下なんだけれど。それを本人に言ったら怖いので心の中でだけ思っている。
「陛下と妃殿下についていて、あのお二人のように仲睦まじい夫婦になりたいんだと、この間俺に喧嘩腰で伝えてきたぞ」
「喧嘩腰って……」
アドリアン君はそんなジャスミン様の態度をなんとも思っていないようだった。
「アドリアン君、ジャスミン君のあの態度は、喧嘩腰なのではなくて、気合が入りすぎているだけだと思いますよ」
やんわりとリコル先生が釘をさす。もしかしたら現場を見たのかな。
「彼女があなたを見る目は、とてもきらきらとしていて、あなたが彼女に一歩近づけば絶対に仲睦まじい夫婦になると思うのですよ」
「一歩近づく……? いやでも、すでに俺達は夫婦なわけですし、俺はそんな彼女を好ましいと思っていますし」
「それを口に出して言っているのですか? 彼女は、一方的にあなたを慕っていると思っているようですよ」
んん? ここで恋愛相談が始まってしまった?
アドリアン君、夫婦仲そんなに良くないのかな。見る限り、似た者夫婦で似合うと思うんだけれど。
「そういうことはあまり口に出すことではないでしょう」
アドリアン君はそう言って、そっとリコル先生から目を逸らした。耳がほんのり赤い。照れてるのかな。すでに夫婦なのに。そういうことを口に出さないと拗れるのに。
と言おうと思ったら、リコル先生が全く、と溜息を吐いた。
「アドリアン君は目の前のお二人を見習って、ちゃんと気持ちを口に出したほうがいいですよ。アルバ君もオルシス君も相手に対する想いをしっかりと相手に伝わるように口に出しているからこそ、お互いのことをしっかりと信頼していられるのですよ。自分の気持ちなど、口に出さずにわかってもらっているなんて思いこむのはよくないです」
俺達が引き合いに出された!
言ってることはまさに俺が注意しようとしたことだけど!
「兄様にこの気持ちを余すことなく伝えるのはやぶさかではないですけど! 僕としてはこれでも抑えた方で、それでもできるなら一日中兄様を褒め称え頑張りを讃頌し兄様の素晴らしさを兄様に知ってほしいから口に出していただけのことで、別に特別なことはないんですよ」
それに、と続けようとした瞬間兄様の手に口を塞がれてしまった。
そして、俺の口を塞いだまま、女神も霞むほどの笑みをその顔に浮かべた。
「アルバ、愛してるよ」
撃沈。
俺がどれだけ言葉を重ねようとも、兄様のこの一言にすべて持ってかれてしまった。さすが兄様。かっこいいが過ぎる……!
「僕も……」
という言葉は、兄様の手の中に吸い込まれるように意味のない音と化した。掌がくすぐったかったのか、くすっと兄様が笑う。
「ほら」
リコル先生が真顔で俺達を指さした。
それを見たアドリアン君が、頭を掻いて、少しだけ顔を赤くして、半眼で「……善処する」と呟いた。その言葉はできればやるよ、という意味合いと一緒ですよね。遠回しなお断りの文句かな。
ー・-・-・-・-・-
途中から重複してしまっていました!
ご指摘とてもありがたいです!!!!
ありがとうございます><
直しました!
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