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御子誕生編
誤解はすぐ解けた?
薄めた果汁を呑み終え、ぐずりもなくなったステファノ殿下を優しくポンポンしながら、兄様は淡々と状況を説明してくれた。
「ブルーノが何か毒物を飲んでしまった時、ステファノ殿下の周りには、ブルーノしかいなかった」
「完全看護の体制のはずですよね」
「そう……そのはずだった」
殿下がご機嫌そうに兄様の指を握る。
「本当はね、絶対にそんなことはないんだよ。殿下の看病と、相互監視の意味合いも込めて、必ず三人は同時にいるように徹底していた。けれど、あの時はブルーノしかいなかった。どうしてかはまだわからない。そしてブルーノもその状況を訝しんだんだと思う。そんな中、ブルーノが急激な体調不良に襲われたとして、殿下を一人にして部屋を出るわけにはいかないよね」
兄様の抱き方が上手なのか、ステファノ殿下は兄様の指を握りながらうとうととし始めている。
ヴォルフラム陛下にそっくりなその髪と顔つきは、今はとても穏やかだった。
「きっとブルーノだったら、毒物を飲んだら気付く。気付いたなら、余計にその場に殿下を一人にはしておけない。そしてブルーノが消えたところで……」
「誰かがブルーノ君が殿下を連れ去ったと口にすれば……」
「うやむやなまま、邪魔な者を排除できてしまう」
「さっさと牢屋にぶち込みましょう。なんなら青の結晶をそいつらに摂取させてもいい。どれほど苦しいのか身をもって味わってもらいましょう。そして、ラオネン病の発作のような苦しみも」
まだ、そんな人たちが王宮にいたのか。それとも、義父や兄様のような権力に頓着しない人の方が稀なのか。
ブルーノ君のおかげで、今はもうラオネン病は死病じゃないのに。
その第一人者を犯人に仕立て上げようとするなんて。
やり方として最悪だ。そして……
「安直すぎる」
「そうだね。現に、アルバからの伝言魔法ひとつで、ブルーノの無実は証明された」
くすっと兄様が綺麗に嗤った。
ああ、その顔は、魔王の顔だ。こんな時に不謹慎だけれど、兄様の暗い笑みはまるで英雄のように思えた。
見惚れそうになるのをごまかすように、コホンと咳をする。
「あの時は気が動転していて、兄様に助けを求めることしか頭になくて、どのような伝言を飛ばしたのかすら定かじゃないです……」
目を伏せると、おでこにチュッと唇がくっつけられた。
兄様が殿下を潰さないようにしながら俺の方に身を寄せて、おでこにキスしたんだ。
ハッと顔を上げると、兄様は目元を緩めた。
「『ブルーノ君が殿下と共に研究所に跳んできました! 兄様、ブルーノ君が毒飲まされた! 王宮で毒とかふざけんな! うちのブルーノ君に危害加える奴出てこい! 覚悟は出来てるんだろうなあ!』ってそれはもう聞いてる皆が目を真ん丸にする勢いで」
俺の伝言魔法の内容を真似た兄様は、くっくっと肩を震わせた。
「普段のアルバを知ってる人たちばかりだったから、よほどの緊急事態だと一斉に臨戦態勢になったよ」
どうやら、俺はよほどおとなしい人だと思われてたらしい。そのおかげで余計に事態が切羽詰まったものだと認識されたんだって。ちょっと複雑だけど、そんなことでブルーノ君の嫌疑が晴れるのなら万々歳だよ。
「その場で伝言魔法の魔力を解放したから、周りにいた者たち全員に聞こえてね。それで、離宮の育児室を調べたらリコル先生が怪しい者を捕まえていてさ。陛下が、ブルーノは自分の異変に気付いて咄嗟に一番安全な場所に殿下を避難させたと断言してくださって」
「リコル先生、陛下……」
二人の判断に、ホッと息を吐く。
自分の子がいなくなって騒然としているときにでもそんなことを言ってくれる陛下を、俺は尊敬の念を新たにした。
魔王から通常の笑みに戻った兄様は、それでね、と続けた。
その表情から、兄様も陛下を信頼して慕ってるんだってことが窺えた。
「実は、『ブルーノが一人になる機会をうかがっていたから、何か企んでいるのでは』と休憩室で一人の護衛が言い出したのをリコル先生が聞いていて、ブルーノがそんなことをするはずがないとその言いだした者を注意深く見ていたら、ブルーノとともにいたその者が一人で廊下を歩いているのを見かけて何かあったのかと」
「なるほど……それはそれは笑えない話ですね」
ぎりぃ、と奥歯を噛み締めると、兄様が大丈夫、と目を細めた。
「サリエンテ家の研究所ならブルーノもステファノ殿下も安心だろうと陛下がおっしゃってくださったから疑われようもなかったよ。そして何も知らないはずのアルバの伝言魔法があのタイミングだったからブルーノがはめられて毒を摂取させられたと大騒ぎになったんだ。本当にタイミングが良かった。アルバは本当に最高だよ」
俺の拙い伝言魔法でブルーノ君の名誉と命、そしてステファノ殿下の命と陛下の信頼が守られたのなら、本当によかった。教えてくれたジュール君に手を合わせたいくらい。
「けれどね、ブルーノを貶めようとした犯人は、いまだ特定出来ていないんだ。捕まえた者を推薦したのは宮廷医のジョルジュ医師で、一応彼にも宮廷にいてもらってはいるけれど、陛下も僕も医師ではないと思ってる」
兄様の手が持ちあがり、その手に氷の蝶がふわりと出来上がる。
それが俺の前に跳んできて、指に触れた瞬間兄様の言葉が響いた。
『ジョルジュ医師は、ステファノ殿下をとても慈しんで愛しんで病ともまっすぐ向き合っておられたから。……ステファノ殿下の病のことを疎んでいるは、思った以上に多いんだ。こちらに友好的な者ですら、ステファノ殿下の先を懸念しているんだよ。まだまだ皆のラオネン病への認識は死病だということからほぼ変わっていない。そして、そんな死病持ちだったら、いっそのこと……と思っている者も、残念ながら多数いるんだよ。まだ陛下たちは若いから、王子をもう一人産んでもらえばいいって』
きっと、ステファノ殿下に聞かせないようにしてくれたんだろう。
兄様の蝶が、兄様の声で僕の脳裏に語り掛けてくる。
俺たちは最初から治るものだってわかってたから大丈夫って強く思えるけど、そうだよね。特効薬を発表してからまだ二年経ってないんだよね。完治例もまだ数件。信頼できるようになるのはまだまだ先だ。
こればっかりは時間と実績がないと難しいやつか。
そんな中で生まれたラオネン病の王子殿下なんて、陛下たちの一番の弱点と思われてもおかしくない。
でも、そこでブルーノ君を陥れて殿下と共に排除しようとするなんて、頭がおかしいとしか思えない。
レガーレの研究をやめさせたいのかな。そんなことをしたら、治るはずのラオネン病が、治せなくなるのに。それとも、それを狙っていたり……? いやいや、国内のラオネン病の子たちは、ブルーノ君とツヴァイト閣下が治験と称して治していったはずなんだけども。しかも治験だから、無料で。そこらへん知らないのかな。それとも、これからうちが富むのが嫌なのか。
——これは、うちに喧嘩を売ってる?
「ブルーノが何か毒物を飲んでしまった時、ステファノ殿下の周りには、ブルーノしかいなかった」
「完全看護の体制のはずですよね」
「そう……そのはずだった」
殿下がご機嫌そうに兄様の指を握る。
「本当はね、絶対にそんなことはないんだよ。殿下の看病と、相互監視の意味合いも込めて、必ず三人は同時にいるように徹底していた。けれど、あの時はブルーノしかいなかった。どうしてかはまだわからない。そしてブルーノもその状況を訝しんだんだと思う。そんな中、ブルーノが急激な体調不良に襲われたとして、殿下を一人にして部屋を出るわけにはいかないよね」
兄様の抱き方が上手なのか、ステファノ殿下は兄様の指を握りながらうとうととし始めている。
ヴォルフラム陛下にそっくりなその髪と顔つきは、今はとても穏やかだった。
「きっとブルーノだったら、毒物を飲んだら気付く。気付いたなら、余計にその場に殿下を一人にはしておけない。そしてブルーノが消えたところで……」
「誰かがブルーノ君が殿下を連れ去ったと口にすれば……」
「うやむやなまま、邪魔な者を排除できてしまう」
「さっさと牢屋にぶち込みましょう。なんなら青の結晶をそいつらに摂取させてもいい。どれほど苦しいのか身をもって味わってもらいましょう。そして、ラオネン病の発作のような苦しみも」
まだ、そんな人たちが王宮にいたのか。それとも、義父や兄様のような権力に頓着しない人の方が稀なのか。
ブルーノ君のおかげで、今はもうラオネン病は死病じゃないのに。
その第一人者を犯人に仕立て上げようとするなんて。
やり方として最悪だ。そして……
「安直すぎる」
「そうだね。現に、アルバからの伝言魔法ひとつで、ブルーノの無実は証明された」
くすっと兄様が綺麗に嗤った。
ああ、その顔は、魔王の顔だ。こんな時に不謹慎だけれど、兄様の暗い笑みはまるで英雄のように思えた。
見惚れそうになるのをごまかすように、コホンと咳をする。
「あの時は気が動転していて、兄様に助けを求めることしか頭になくて、どのような伝言を飛ばしたのかすら定かじゃないです……」
目を伏せると、おでこにチュッと唇がくっつけられた。
兄様が殿下を潰さないようにしながら俺の方に身を寄せて、おでこにキスしたんだ。
ハッと顔を上げると、兄様は目元を緩めた。
「『ブルーノ君が殿下と共に研究所に跳んできました! 兄様、ブルーノ君が毒飲まされた! 王宮で毒とかふざけんな! うちのブルーノ君に危害加える奴出てこい! 覚悟は出来てるんだろうなあ!』ってそれはもう聞いてる皆が目を真ん丸にする勢いで」
俺の伝言魔法の内容を真似た兄様は、くっくっと肩を震わせた。
「普段のアルバを知ってる人たちばかりだったから、よほどの緊急事態だと一斉に臨戦態勢になったよ」
どうやら、俺はよほどおとなしい人だと思われてたらしい。そのおかげで余計に事態が切羽詰まったものだと認識されたんだって。ちょっと複雑だけど、そんなことでブルーノ君の嫌疑が晴れるのなら万々歳だよ。
「その場で伝言魔法の魔力を解放したから、周りにいた者たち全員に聞こえてね。それで、離宮の育児室を調べたらリコル先生が怪しい者を捕まえていてさ。陛下が、ブルーノは自分の異変に気付いて咄嗟に一番安全な場所に殿下を避難させたと断言してくださって」
「リコル先生、陛下……」
二人の判断に、ホッと息を吐く。
自分の子がいなくなって騒然としているときにでもそんなことを言ってくれる陛下を、俺は尊敬の念を新たにした。
魔王から通常の笑みに戻った兄様は、それでね、と続けた。
その表情から、兄様も陛下を信頼して慕ってるんだってことが窺えた。
「実は、『ブルーノが一人になる機会をうかがっていたから、何か企んでいるのでは』と休憩室で一人の護衛が言い出したのをリコル先生が聞いていて、ブルーノがそんなことをするはずがないとその言いだした者を注意深く見ていたら、ブルーノとともにいたその者が一人で廊下を歩いているのを見かけて何かあったのかと」
「なるほど……それはそれは笑えない話ですね」
ぎりぃ、と奥歯を噛み締めると、兄様が大丈夫、と目を細めた。
「サリエンテ家の研究所ならブルーノもステファノ殿下も安心だろうと陛下がおっしゃってくださったから疑われようもなかったよ。そして何も知らないはずのアルバの伝言魔法があのタイミングだったからブルーノがはめられて毒を摂取させられたと大騒ぎになったんだ。本当にタイミングが良かった。アルバは本当に最高だよ」
俺の拙い伝言魔法でブルーノ君の名誉と命、そしてステファノ殿下の命と陛下の信頼が守られたのなら、本当によかった。教えてくれたジュール君に手を合わせたいくらい。
「けれどね、ブルーノを貶めようとした犯人は、いまだ特定出来ていないんだ。捕まえた者を推薦したのは宮廷医のジョルジュ医師で、一応彼にも宮廷にいてもらってはいるけれど、陛下も僕も医師ではないと思ってる」
兄様の手が持ちあがり、その手に氷の蝶がふわりと出来上がる。
それが俺の前に跳んできて、指に触れた瞬間兄様の言葉が響いた。
『ジョルジュ医師は、ステファノ殿下をとても慈しんで愛しんで病ともまっすぐ向き合っておられたから。……ステファノ殿下の病のことを疎んでいるは、思った以上に多いんだ。こちらに友好的な者ですら、ステファノ殿下の先を懸念しているんだよ。まだまだ皆のラオネン病への認識は死病だということからほぼ変わっていない。そして、そんな死病持ちだったら、いっそのこと……と思っている者も、残念ながら多数いるんだよ。まだ陛下たちは若いから、王子をもう一人産んでもらえばいいって』
きっと、ステファノ殿下に聞かせないようにしてくれたんだろう。
兄様の蝶が、兄様の声で僕の脳裏に語り掛けてくる。
俺たちは最初から治るものだってわかってたから大丈夫って強く思えるけど、そうだよね。特効薬を発表してからまだ二年経ってないんだよね。完治例もまだ数件。信頼できるようになるのはまだまだ先だ。
こればっかりは時間と実績がないと難しいやつか。
そんな中で生まれたラオネン病の王子殿下なんて、陛下たちの一番の弱点と思われてもおかしくない。
でも、そこでブルーノ君を陥れて殿下と共に排除しようとするなんて、頭がおかしいとしか思えない。
レガーレの研究をやめさせたいのかな。そんなことをしたら、治るはずのラオネン病が、治せなくなるのに。それとも、それを狙っていたり……? いやいや、国内のラオネン病の子たちは、ブルーノ君とツヴァイト閣下が治験と称して治していったはずなんだけども。しかも治験だから、無料で。そこらへん知らないのかな。それとも、これからうちが富むのが嫌なのか。
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