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王子への罰
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国王ファーバーは玉座にて瞑目していた。
傍には大臣、デュッセル、ファデレンなど……多くの重鎮が集っている。
長き沈黙が続いている。
御前には、顔を蒼白にしたユリスが跪いていた。
これよりユリスへの処断が言い渡されるのだ。
三日三晩、諸侯を交えて話し合いが行われ……もちろん被害者のフェアシュヴィンデ家や、ウンターガング家を管轄する侯爵も参加した。
「──ユリス。お前への処断を述べる。大臣」
「はっ!」
ファーバーの合図を受け、大臣が書状を持って進み出る。
今回の一件はあまりに大事になり過ぎた。
国内だけならまだしも、不幸なことに教皇が訪れている最中の出来事。
揉み消すことはできない。
「ユリス・ヘアルスト・ヒンメル第二王子! 本日、この時をもって貴殿を王家から廃嫡とする! 貴殿が引き起こした争いは重く、民の安寧を揺るがすものとなった。今回の失態のみならず、平時の素行不良、及び政務の能力を鑑みて王族には相応しくないとの判断が下された」
予想どおりといった処分だ。
この取り決めには誰もが納得だった。
ユリスの性格を知らない者からすれば、廃嫡はやりすぎではないかと声も上がるだろうが……このまま王家に置いておくだけでも害がある。
ただ一人、ユリス自身は納得していない様子で。
「お、お待ちください! 反省しています、していますが……」
「言い訳は無用! お前は修道士にでもなり、せめて人格を育むことだな」
ファーバーの喝が入り、ユリスは口をつぐむ。
父がこれほど怒っているのは見たことがない。
彼と同じくして、アマリスもまた貴族たる権利を失った。
一家は爵位を剥奪され、領地は王国へと返還。
またウンターガング領も管轄する侯爵のもとに帰属し、今回の謝罪としてフェアシュヴィンデ家に数多の利権が認められることとなった。
そして、数日後のこと。
***
「ちょっと、どういうこと!?」
「どういうことも何も、謝罪しに行くんだよ!」
元男爵令嬢アマリス。
そして廃太子ユリスは王都の雑踏で言い争っていた。
ユリスはアマリスの手を強引に引っ張る。
その手をアマリスは強引に払いのけた。
「シャンフレック・フェアシュヴィンデに謝罪ですって!? 死んでも嫌よ!」
「お前も爵位復権とはいかずとも、良い環境で働けるかもしれないんだ! 俺は死んでも修道士なんて嫌だぞ! お前だって、こんな薄汚い酒場で働くのは嫌だろう?」
「そ、それは嫌だけど……」
あれからアマリスは父に命令され、王都の酒場で働かされている。
家の財産も差し押さえられたのでとりあえず金が必要だったのだ。
ウンターガング家と内通して賊を手配したので、むしろ廃嫡だけで済んだのは温情がある方だろう。
ユリスには未だ企みがあった。
シャンフレックに泣きつけばどうにかしてもらえるのでは、と。
元婚約者ならばどうにかしてくれるかもしれない。
だが一人では心細いので、アマリスを誘った次第だ。
「そもそも、王子じゃないアンタに何で命令されなきゃいけないの!? でも、そうね……いいわ。私はシャンフレック・フェアシュヴィンデに謝罪はしないけど、様子見でついて行ってあげる」
「なんなんだよ、その上から目線は。後悔しても知らないからな」
今や二人の立場は対等。
平民だ。
ユリスは何とか高貴な暮らしを手放すまいと、あれから色々と試してみた。
だが兄に泣きついても、父に懇願しても、馴染みの貴族を尋ねても……結果は失敗に終わる。もはや候補はシャンフレックしか残っていない。
アマリスは酒場の仕事を放棄し、ユリスと共にフェアシュヴィンデ家へ向かった。
傍には大臣、デュッセル、ファデレンなど……多くの重鎮が集っている。
長き沈黙が続いている。
御前には、顔を蒼白にしたユリスが跪いていた。
これよりユリスへの処断が言い渡されるのだ。
三日三晩、諸侯を交えて話し合いが行われ……もちろん被害者のフェアシュヴィンデ家や、ウンターガング家を管轄する侯爵も参加した。
「──ユリス。お前への処断を述べる。大臣」
「はっ!」
ファーバーの合図を受け、大臣が書状を持って進み出る。
今回の一件はあまりに大事になり過ぎた。
国内だけならまだしも、不幸なことに教皇が訪れている最中の出来事。
揉み消すことはできない。
「ユリス・ヘアルスト・ヒンメル第二王子! 本日、この時をもって貴殿を王家から廃嫡とする! 貴殿が引き起こした争いは重く、民の安寧を揺るがすものとなった。今回の失態のみならず、平時の素行不良、及び政務の能力を鑑みて王族には相応しくないとの判断が下された」
予想どおりといった処分だ。
この取り決めには誰もが納得だった。
ユリスの性格を知らない者からすれば、廃嫡はやりすぎではないかと声も上がるだろうが……このまま王家に置いておくだけでも害がある。
ただ一人、ユリス自身は納得していない様子で。
「お、お待ちください! 反省しています、していますが……」
「言い訳は無用! お前は修道士にでもなり、せめて人格を育むことだな」
ファーバーの喝が入り、ユリスは口をつぐむ。
父がこれほど怒っているのは見たことがない。
彼と同じくして、アマリスもまた貴族たる権利を失った。
一家は爵位を剥奪され、領地は王国へと返還。
またウンターガング領も管轄する侯爵のもとに帰属し、今回の謝罪としてフェアシュヴィンデ家に数多の利権が認められることとなった。
そして、数日後のこと。
***
「ちょっと、どういうこと!?」
「どういうことも何も、謝罪しに行くんだよ!」
元男爵令嬢アマリス。
そして廃太子ユリスは王都の雑踏で言い争っていた。
ユリスはアマリスの手を強引に引っ張る。
その手をアマリスは強引に払いのけた。
「シャンフレック・フェアシュヴィンデに謝罪ですって!? 死んでも嫌よ!」
「お前も爵位復権とはいかずとも、良い環境で働けるかもしれないんだ! 俺は死んでも修道士なんて嫌だぞ! お前だって、こんな薄汚い酒場で働くのは嫌だろう?」
「そ、それは嫌だけど……」
あれからアマリスは父に命令され、王都の酒場で働かされている。
家の財産も差し押さえられたのでとりあえず金が必要だったのだ。
ウンターガング家と内通して賊を手配したので、むしろ廃嫡だけで済んだのは温情がある方だろう。
ユリスには未だ企みがあった。
シャンフレックに泣きつけばどうにかしてもらえるのでは、と。
元婚約者ならばどうにかしてくれるかもしれない。
だが一人では心細いので、アマリスを誘った次第だ。
「そもそも、王子じゃないアンタに何で命令されなきゃいけないの!? でも、そうね……いいわ。私はシャンフレック・フェアシュヴィンデに謝罪はしないけど、様子見でついて行ってあげる」
「なんなんだよ、その上から目線は。後悔しても知らないからな」
今や二人の立場は対等。
平民だ。
ユリスは何とか高貴な暮らしを手放すまいと、あれから色々と試してみた。
だが兄に泣きついても、父に懇願しても、馴染みの貴族を尋ねても……結果は失敗に終わる。もはや候補はシャンフレックしか残っていない。
アマリスは酒場の仕事を放棄し、ユリスと共にフェアシュヴィンデ家へ向かった。
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