女体化してしまった俺と親友の恋

無名

文字の大きさ
14 / 25

14 学校での生活 放課後編

しおりを挟む
 学校での生活が朝から始まり、多少の問題はあったものの、普通に放課後になった。

 もともと、玲を怖がっているクラスメイトは、不用意に玲や武尊に近づかない。話しかける時も、本当に必要があるときだけだ。それゆえ、女体化してきているとはいえ、玲に話しかける生徒はほとんどいない。

 玲は、何事もなく一日が終わり、平和に終わったと思っていた。思っていたが、やっぱりそう簡単にはいかなかった。

 今までが今までだったのだ。気に入らなければ喧嘩をしていた玲が、平和に過ごせるはずがないのだ。

「おい斉藤。ツラ貸せ」

 数人の男子生徒が、玲に話しかけてくる。下駄箱でローファーに履き替える時を狙って、取り囲むように話しかけてきたのだ。彼らは、玲を毛嫌いしている不良グループだ。退院明けで、玲が弱っていることを知ったのだ。

「いや、今日は忙しいから無理」

 玲は普通に断った。

「はぁ!? ふざけんなよ!」

 不良グループの一人が、玲の胸元を掴む。

「いてぇな。離せよ。用があるって言ったろ?」

「てめぇの用なんか知るか。お前にいきなり殴られたこと、忘れてねぇぞ」

「いや、確かお前、前に女子生徒を殴ろうとしてた奴だろ? 理由は分からんが、女を殴る奴は、俺は嫌いだ。だからお前を殴った気がする」

「俺の女が、お前に関係あるのかよ! 勝手に殴ってきやがったのはてめぇだろ! ふざけんじゃねぇ!」

 玲は思う。お前がふざけるなと。女を殴ったことは一度もない。カツアゲなどは一回もしていないし、いじめをしたこともない。お前たちの方が、よっぽどクズだ。お前たちが突っかかってくるから、いつも喧嘩してボコボコにしてやったのだ。なぜお前たちの言うことを聞かなければならないのか。

「いや、今日は合気道の教室があるんだ。だから無理だ」

 玲は普通に断るが、ヒートアップしている不良グループには通用しない。

「いいからツラ貸せ!」

 不良グループが玲を無理やり連れて行こうとするが、そこへ武尊が現れた。

「玲。お前はちょっと目を離したすきに、すぐに絡まれるな」

 武尊はトイレで用を足していた。帰り際に少しだけ玲と離れていただけだった。そのちょっと離れた隙に、玲は不良グループに絡まれたのだ。

「武尊!! ぐっ……」

 不良グループが全員だまる。武尊の身長は2メートル近く。そばにいるだけで威圧感がある。上から見下ろされるだけで、すごいプレッシャーがかかる。

「おいお前。玲を掴んでいる手を離せ」

「ちっ」

 玲の胸ぐらを掴んでいた男子生徒が、ゆっくり手を放す。何度も舌打ちをしている。

「怪我をしたくなかったら、絡んでくるな」

 武尊は玲の肩を掴むと、「帰るぞ」と言って、下駄箱から出ていこうとする。だが、頭に来た不良の一人が、短い鉄パイプを持って、後ろから襲いかかった。

「死ぬのはてめぇだ!」

 武尊は襲ってくるのが分かっていたのか、玲の肩を抱いたまま、蹴りを放った。鉄パイプを持った男は、武尊の蹴りが腹に直撃。武尊との体重差もかなりあったことから、3メートル以上吹っ飛んでいく。まさに、馬にでも蹴られたような吹っ飛び方だ。

 吹っ飛んだ先にゴミ箱があり、不良はゴミにまみれてぶっ倒れた。

「おいおい。相変わらず容赦ねぇな武尊は」

 玲がゴミにまみれた不良を見ていると、「ご愁傷様」と手を合わせる。とんでもないパワーで人が吹っ飛んで行った。

「いいから、俺から離れるな。帰るぞ」

 武尊は玲の肩を抱く。まさか二人はデキているのか? というような雰囲気だ。

「え? 帰るのか? やっつけねぇのか?」

「やっつける? 馬鹿言うな。前みたいになりたくはねぇだろ」

 人を守りながら喧嘩するのは、通常の何倍も大変だ。一人で喧嘩するのならまだいいが、後ろに誰かがいるのは、予想以上に大変だ。それが分かっている武尊は、取り囲まれるのだけは避けたかった。玲が取り囲まれた状態で喧嘩するのは、非常にまずい。

「帰るぞ」

 後ろから、不良グループが指をくわえてみているが、何もできない。いくら玲が弱っていると言っても、武尊が近くにいたのでは逆にやられるか、その間に教師が来てしまう。喧嘩しているのがばれたら、最悪停学だ。

「くそったれ。弱っているうちに、かならずボコボコにするぞ」

 恨めしい言葉を吐く不良たちだったが、結局何もできなかった。

 玲は武尊に肩を抱かれて校門を出ていく。男に肩を抱かれるのは変な気分だったが、乙女化してきている玲は、まんざらでもない表情をしていた。

「なんだ玲。俺の顔に何かついているのか?」

「いや、何もついてねぇよ」

 玲は武尊の顔を見て、ニコニコと微笑んだ。
 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

リアルフェイスマスク

廣瀬純七
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

処理中です...