この異世界には水が少ない ~砂漠化した世界で成り上がりサバイバル~

無名

文字の大きさ
2 / 85
第一章 伝説の水魔法使い

2 旅の準備

しおりを挟む
 俺はこの村で奴隷扱いされている。馬小屋の仕事以外にも、汚い仕事をたくさんさせられている。トイレ掃除からクソの処理まで、一日中こき使われている。俺のような奴らはこの村にはあと数人いるが、あまり顔を合わせる機会はない。理由は分からないが、作業している場所が違うのだろう。

 村の水が無くなるということで、連日村長が村の名士と会議をしているが、解決策は出ていない。村を捨てるにも、水が無ければ隣町に着く前に死ぬ。貯水タンクにいくらか水が残っているみたいだが、それもいずれはなくなる。

 俺は死に行く村と心中する気はない。さっさと出て行く。世話をしていた家畜たちには悪いが、俺はポニーのオルフェーブルと一緒に、この村を出る。今の俺では、家畜全てを救える魔力が無い。

 すでに旅をするための準備は整えている。ナイフや水筒。靴や代えの衣類。それらを入れる鞄。他にも、調理器具や缶詰なども隠れて用意していた。多少の金も用意してある。俺が奴隷の仕事をしながら、少しずつ用意した品だ。

 俺は馬小屋に半地下を作り、そこに旅の準備品を集めていた。ほとんどガラクタのような中古品だが、俺には大切な品だ。物が少ないこの村では、ボロボロのナイフ一つとっても、俺には貴重品だ。奴隷の俺では、触ることすら許されないからな。

 俺は仕事を終えると、飯をもらいに村長の家に行くのだが、今日はパンとスープすら与えられず、干した芋を一個だけもらった。

「今は緊急事態なんだ。それで我慢しな」

 村長の奥さんが、俺に芋を放ってよこした。これだけなのか? と言いたくなるが、口答えするとろくなことが無い。俺は黙って芋を拾った。

 
 馬小屋に帰り、芋を食べると、俺は水魔法で水を出して、体を洗った。

 もちろん、他の人間に見つからないように、馬小屋の奥で体を洗う。大きな桶を用意して、その中で体を洗ったのだ。体を洗った残り水は、汚いだろうが馬たちに与えた。量は少ないが、大量に水を飲む馬には必要だろう。

「君たちにまで水を与える余裕が無いんだ。ごめん」

 俺の作り出せる水の量は、一日に20リットルほどだ。自分とポニーのオルフェで精いっぱいの量になる。

 毎日訓練しているので、日に日に出せる量は上がっているが、今は20リットルくらいが限界だ。それ以外にも、尿を水に浄化したりする魔法も使えるが、自分の尿しか飲む気はしない。馬たちが出した尿を貯めているわけでもないし、今の俺にはこれが限界だった。

 着ていた服を洗濯し、代えの服を着る。代えの服と言っても、ポロボロのシャツ一枚と、ボロボロのズボンだ。

「あいつらに使う水は、一滴もない」

 俺を今までこき使ってきた村の人間に、良いやつは一人もいなかった。もしかしたらいるのかもしれないが、俺の周りにはクズばかりが集まっていた。もはや、この村にとどまる理由はない。魔物が巣食う森だろうと、行くしかない。

 俺は集めた道具を鞄にまとめた。オルフェに担がせるための専用の鞍もあるが、それは俺の物じゃない。ここを出る時に盗むしかない。

 他にもいろいろと馬小屋から盗んでいくが、退職金代わりだ。それくらい大目に見てほしい。

 俺は隠していた馬用の干し草を用意し、オルフェにたくさん食わせる。明日の朝にはここを出るからだ。

「魔石も盗む必要があるな。村長の家に忍び込んで、ありったけ魔石を持ってくるか」

 火の魔石や氷の魔石が、旅には必要だ。特に火の魔石がなくては、いちいち火口と火打ち石を用意しなければならない。

「10歳の体でどこまでいけるか、俺自身楽しみだ」

 俺は前世の日本を思い出し、ポニーのオルフェと一緒に寝た。 



しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

成瀬一
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...