転生者は創造神～レクリエイター～

1 奴隷として生まれた赤ん坊

　私、立花瞳亜たちばなめあは、元日本人である。

　というのも、今はどこぞの世界に生まれて、「エルフ」という種族みたいだからだ。

　エルフは人間の奴隷。これは生まれた時からの運命らしく、どうにもできない。私の母も奴隷なので、子供の私も奴隷だ。私は女として生まれたから、性奴隷確定らしい。

「ルーナちゃん。ごめんね。あなたも10歳になったら売られちゃうわ。本当にごめんね」

　母は泣きながら私に母乳を与えてくれる。母の名前は「エレノア」という。ものすごくおっぱいの大きい人で、顔も美人だ。これで6人もの子供を産んだらしい。乳首が真っ黒になっちゃってるのは、その為のようだ。

「ルーナちゃん。あなたは本当に泣かない子ね。偉いわよ」

　私はルーナという名前だ。日本人であったころは、瞳亜めあという名前だった。このメアという名前は気に入っているので、ルーナになっても使うつもりだ。

　今、私は牢屋の中で母に母乳をもらっている。「あぅあぅ」言いながら、お乳をもらっている。母の黒ずんだ乳首に吸い付き、唯一の栄養源を摂取しているのだ。

　奴隷は牢屋で寝泊まりするのが基本だ。冷たいレンガに囲まれ、ランプは一つだけ。糞尿も壺にしなければならないし、服も洗えない。ものすごい衛生環境が悪い。

　こんなところで子育てとは気が狂っているが、奴隷の子は仕方ない。生まれてから一年は、母親の元で母乳で育てられるからだ。

　私はこの世界に生まれてから、レンガに囲まれた牢屋と、優しい母がすべてだった。

　故に、生まれてからすぐに自我を取り戻し、言葉を覚えられたのは僥倖だった。

　まだ赤ん坊で思考能力は低いが、私は母の話を聞いて思った。

　このままではいかん。

　あかんのである！！

　母と引き離されたら、二度と会えなくなる可能性が高い。私の唯一の味方がいなくなれば、ジ・エンドだ。周りが敵だらけの中、赤ん坊がこの牢屋から抜け出すのは至難の業だ。

　私はたった一つの希望を持っている。

　それは、転生する時に神様の部屋から盗んできた、一つの能力。これで神様から追われる身になったけど、知ったことか。私をこんな世界に落とそうとしている奴から、力をもらって何が悪い。

　そうだ。私は、神の力を使える。

　今は赤ん坊で力も弱いが、ここから抜け出すことくらいは出来るはずだ。自我を取り戻してからはずっと力の練習をしていたし、今が決起の時である！

　立ち上がれ、民衆！　立ち上がれ！　私！

　行くぞ、これが私の力だ！　レクリエイション！！再創造

　牢屋に一瞬光が輝き、乳を放り出していた母は驚いた。

　私と母を繋ぐぶっとい鉄の鎖が、お花に変わったからだ。

　母、その光景を見て、キョトンとしていた。