12 / 12
12 グレン、暁に消える
しおりを挟む
ロバと大根を連れて、グレンというオークの戦士についていく。ララと仲が良さそうに話しているので、知り合いで間違いない。これから行く魔族の集落の知り合いのようだ。
母とグレンの会話を少し聞いて思ったが、どうやら魔族というのは知性ある魔物のことを指すようだ。一応純血の悪魔(魔族)はいるようだが、それらをひっくるめて魔族というみたいだった。
オークは魔族というより亜人という部類に入るそうだが、魔族扱いでも問題ないとのことだ。
私は母に抱かれているのだが、その母をオークのグレンが抱っこしている。お姫様抱っこだ。これから抱く大切な女だからか、母は宝物のように扱われている。
「グレン。あんまり激しくするなよ。彼女は畜舎から逃げきたばかりだそうだ。体力が普通よりもない」
「そうか。ならば俺がうまいものをたくさん食わせてやろう。こう見えても料理は得意だ」
ぶひん。
ドヤ顔で鼻を鳴らす。フゴフゴといつも鼻を引くつかせており、私の匂いもしきりに嗅いで来る。赤ん坊の匂いを嗅いでもいい匂いなどしないのだが、彼はニコニコしている。
「子供は可愛いなぁ。俺も子供が欲しいなぁ」
「あら? グレンさんは子供がいないの?」
「いないな。知っているか分からないが、ここら辺のエルフは全部人間の奴隷だ。どこかにエルフだけの国があるようなのだが、未だに見つけられん」
「エルフの国なんてまだあるの?」
「あぁ。あるらしい。オークにとって、エルフは最高の伴侶になるから、美人なエルフは宝物だ」
「え? どういうこと?」
私も、グレンの言っていることがよくわからない。
「知らんのか? オークは男しか生まれない上に、人間との間には子供ができづらいのだ。一番生まれやすいのはゴブリンのメスとだが、奴らは女と思えん。見た目は、化け物だ。オークはな、エルフと番になるのが一番良いのだ。強い子供が生まれやすい」
「へぇ。そうだったの。だから昔のご主人様は私を大切にしてくれたのね」
母の昔の主人はオークだった。その時代は母も裕福な暮らしをしていたのだろう。
「この地方ではぐれエルフは貴重だ。俺はララに子供を産んでくれといつも頼んでいるのだが、断られていてな」
「当たり前だ! オークは嫌いではないが、性の対象にはならん!」
ララは同族が良いらしい。正常な判断だ。
「そうなのね。なら、一杯ご奉仕しなきゃね!」
母は片目を閉じてウインクをする。子供の前でそれはやめてほしい。
「ふははは! 頼むぞエレノア!」
◆◆◆
無事に魔族の集落に到着し、グレンが手配してくれた通行証で、村に入ることができた。
ロバとエレファントタートルの乾燥肉も、きっちりと売ることに成功した。数か月は食うに困らない金ができた。ララにも二割ほど手間賃を与え、お互いWIN-WINの関係だ。
「これで借金を返せる。残りはグレンの借金だけだな」
「ララは何人に借金していたの?」
「最高六人だ。畜舎から逃げてきた時は金もなくて、魔族の集落で何も買えなかったんだ。だから金を借りて生計を立てていたんだ」
「そうだったの。苦労していたのね」
「残りはグレンだが、奴には相当借金しているからな。どうやって返そうか」
「ララも体を売れば? 一緒にエッチなことすればグレンも喜ぶんじゃない?」
「無理だ! エレノアには悪いが、私は遠慮する」
「そう。残念ね」
エレノアはぺろりと舌なめずり。何かエレノアから強力な魔力が立ち上っている。
その後、集落内にあるグレンの掘っ立て小屋に赴き、一夜を過ごすことになった。私とララはその日に限り、宿をとって過ごすことになった。大根たちには念のため、母の見張りに着けた。何かあったら知らせるようにだ。大根たちはビシッと敬礼をして、グレンの後をついていった。
「それじゃぁ、明日会いましょう」
母はニコニコして私とララを宿に送り出す。
「グハハハ。ついに俺もエルフとやる時が来たか。姫騎士ではないのが残念だが、まぁいい。くっ殺せというセリフを聞きながらセックスするのが夢だったのだが、贅沢は言っていられんな! はははは!」
そうして母はグレンのもとで一夜を明かし、夜が明けた。
◆◆◆
朝。
グレンはベッドの上で白目をむいて倒れていた。
まるでミイラのようにげっそりとやせ細り、雄々しくそそり立っていた息子は見る影もない。しょんぼりとお辞儀をして、勃起する気配もない。彼は、エレノアの性欲を甘く見ていた。
エレノアは性欲の権化だった。
「こ、この女の権能は、精力吸引と、自己回復じゃないか……。なぜこんなエルフがここにいるんだ。誰だ逃がした奴は。このエルフは、サキュバスと同じ、いやそれ以上……? や、やられた……」
生まれてからずっと奴隷で、病気や怪我もしたことのないエレノア。彼女が奴隷で100年も生きられて、常に健康だったのは、彼女の「権能」にあった。美人なエレノアは、毎日のように夜伽をさせられことがあるが、病気にならなかった。なぜなら彼女の魔法は、ライフドレイン(生命力吸収)だったのだから。
「ふはー。いい運動だったわ。ありがとうグレンさん。私、元気いっぱいよ」
「…………」
グレンはもはや言葉も出なかった。真っ白に燃え尽きていた。
◆◆◆
大根たちは、燃え尽きたグレンを見てバンザイをしていた。グレンの家にあった食料は、大根たちにすべて食いつくされ、グレンの食料は何もなくなった。
『ウマ! ウマ!』
母とグレンの会話を少し聞いて思ったが、どうやら魔族というのは知性ある魔物のことを指すようだ。一応純血の悪魔(魔族)はいるようだが、それらをひっくるめて魔族というみたいだった。
オークは魔族というより亜人という部類に入るそうだが、魔族扱いでも問題ないとのことだ。
私は母に抱かれているのだが、その母をオークのグレンが抱っこしている。お姫様抱っこだ。これから抱く大切な女だからか、母は宝物のように扱われている。
「グレン。あんまり激しくするなよ。彼女は畜舎から逃げきたばかりだそうだ。体力が普通よりもない」
「そうか。ならば俺がうまいものをたくさん食わせてやろう。こう見えても料理は得意だ」
ぶひん。
ドヤ顔で鼻を鳴らす。フゴフゴといつも鼻を引くつかせており、私の匂いもしきりに嗅いで来る。赤ん坊の匂いを嗅いでもいい匂いなどしないのだが、彼はニコニコしている。
「子供は可愛いなぁ。俺も子供が欲しいなぁ」
「あら? グレンさんは子供がいないの?」
「いないな。知っているか分からないが、ここら辺のエルフは全部人間の奴隷だ。どこかにエルフだけの国があるようなのだが、未だに見つけられん」
「エルフの国なんてまだあるの?」
「あぁ。あるらしい。オークにとって、エルフは最高の伴侶になるから、美人なエルフは宝物だ」
「え? どういうこと?」
私も、グレンの言っていることがよくわからない。
「知らんのか? オークは男しか生まれない上に、人間との間には子供ができづらいのだ。一番生まれやすいのはゴブリンのメスとだが、奴らは女と思えん。見た目は、化け物だ。オークはな、エルフと番になるのが一番良いのだ。強い子供が生まれやすい」
「へぇ。そうだったの。だから昔のご主人様は私を大切にしてくれたのね」
母の昔の主人はオークだった。その時代は母も裕福な暮らしをしていたのだろう。
「この地方ではぐれエルフは貴重だ。俺はララに子供を産んでくれといつも頼んでいるのだが、断られていてな」
「当たり前だ! オークは嫌いではないが、性の対象にはならん!」
ララは同族が良いらしい。正常な判断だ。
「そうなのね。なら、一杯ご奉仕しなきゃね!」
母は片目を閉じてウインクをする。子供の前でそれはやめてほしい。
「ふははは! 頼むぞエレノア!」
◆◆◆
無事に魔族の集落に到着し、グレンが手配してくれた通行証で、村に入ることができた。
ロバとエレファントタートルの乾燥肉も、きっちりと売ることに成功した。数か月は食うに困らない金ができた。ララにも二割ほど手間賃を与え、お互いWIN-WINの関係だ。
「これで借金を返せる。残りはグレンの借金だけだな」
「ララは何人に借金していたの?」
「最高六人だ。畜舎から逃げてきた時は金もなくて、魔族の集落で何も買えなかったんだ。だから金を借りて生計を立てていたんだ」
「そうだったの。苦労していたのね」
「残りはグレンだが、奴には相当借金しているからな。どうやって返そうか」
「ララも体を売れば? 一緒にエッチなことすればグレンも喜ぶんじゃない?」
「無理だ! エレノアには悪いが、私は遠慮する」
「そう。残念ね」
エレノアはぺろりと舌なめずり。何かエレノアから強力な魔力が立ち上っている。
その後、集落内にあるグレンの掘っ立て小屋に赴き、一夜を過ごすことになった。私とララはその日に限り、宿をとって過ごすことになった。大根たちには念のため、母の見張りに着けた。何かあったら知らせるようにだ。大根たちはビシッと敬礼をして、グレンの後をついていった。
「それじゃぁ、明日会いましょう」
母はニコニコして私とララを宿に送り出す。
「グハハハ。ついに俺もエルフとやる時が来たか。姫騎士ではないのが残念だが、まぁいい。くっ殺せというセリフを聞きながらセックスするのが夢だったのだが、贅沢は言っていられんな! はははは!」
そうして母はグレンのもとで一夜を明かし、夜が明けた。
◆◆◆
朝。
グレンはベッドの上で白目をむいて倒れていた。
まるでミイラのようにげっそりとやせ細り、雄々しくそそり立っていた息子は見る影もない。しょんぼりとお辞儀をして、勃起する気配もない。彼は、エレノアの性欲を甘く見ていた。
エレノアは性欲の権化だった。
「こ、この女の権能は、精力吸引と、自己回復じゃないか……。なぜこんなエルフがここにいるんだ。誰だ逃がした奴は。このエルフは、サキュバスと同じ、いやそれ以上……? や、やられた……」
生まれてからずっと奴隷で、病気や怪我もしたことのないエレノア。彼女が奴隷で100年も生きられて、常に健康だったのは、彼女の「権能」にあった。美人なエレノアは、毎日のように夜伽をさせられことがあるが、病気にならなかった。なぜなら彼女の魔法は、ライフドレイン(生命力吸収)だったのだから。
「ふはー。いい運動だったわ。ありがとうグレンさん。私、元気いっぱいよ」
「…………」
グレンはもはや言葉も出なかった。真っ白に燃え尽きていた。
◆◆◆
大根たちは、燃え尽きたグレンを見てバンザイをしていた。グレンの家にあった食料は、大根たちにすべて食いつくされ、グレンの食料は何もなくなった。
『ウマ! ウマ!』
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(6件)
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?
あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】
世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。
「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。
・神話級ドラゴン
⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺)
・深淵の邪神
⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決)
・次元の裂け目
⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い)
「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」
本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
オークは、オークやなW
何度も感想ありがとうございます。読んでいただき、感想をもらえるのは嬉しいですね。毎日書くのが結構大変なので、出来る限り頑張ります。飽きるまででも構いませんので、それまで私の作品とお付き合いください。
オークてW
なぜオーク?!WW