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三章 ミラルドの村
No.52 依頼
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「…は?」
「聞き間違い…ですよね」
そんなはずはない。
そもそも…
「意味がわからない…」
突然、魔王の討伐など言われたとしても、あくまでエース達は一端の冒険者。
なのに何故…
「…予言書だ」
「ん?」
「サイリア家の地下の最下層、そこに置かれていた文献だ。そこに書かれていたのはこう。『創造術の使い手、兼ねてより彼方から参らん。そして神は告げる。自身を殺せと。選ばれし者、魔の王を討ち滅ぼす』」
「「?」」
「まるで意味がわからんぞ?」
「…」
少なくとも、エースには心当たりがあった。
白黒の部屋で神とやらに言われたセリフ。
最後の言葉はよく聞こえなかったがあれはまさか…
脳内で状況をシュミレーションする。
あそこは謂わばエースの精神世界。エース自身によっていくらでも状況は変わる。部屋の内面も外装も。
…外装があるのかは分からんが。
「私を…殺して見せなさい?」
「何? …それ」
「俺が神とやらから聞いた声だ…」
「腐龍のときの?」
「いや…あれとは別人だ」
「じゃああれは誰?」
「…わからん。少なくともそれも道中で分かるんじゃないのか? …俺はこの世界よりかは向こうがいい」
「そう…だね……」
「? 最後なんて言ったんです?」
「「何でもないです!」」
元からこの世界の住人であるミレーヌに別の世界の話をしたとしてもチンプンカンプンだろう。
にしてもこの三人で勝てんのか?
封印の地も分からないのだろ…
そもそも魔王は今どこに?
***
「仲間か…?」
「えぇ。こいつらでは頼りないわけではないのですがやはり心細いので…」
「そう言うと分かっていた。だからこのリュミエスを連れてきたのだろう」
アヴァがリュミエスの肩をポンポンと叩く。
「サイリア家メイド長リュミエス・ラインハルトです。エース様達の旅にご同行させていただきます……」
「ハァ…よろしくお願いします?」
「実感湧かないな…新しい仲間なんて」
「な、仲間などではありません……! 私はあなた方の監視役です……!」
「何を言っているリュミエス!? お前が望んだ旅路だろう!?」
アヴァが汗をかいておどおどしている。
「い、いえ? そそそそんなことは言ってませんよ……!」
「落ち着けよちょっと…アッシュはどう思う?」
「格好がエロい」
真顔でそんなことを言うので思いっ切り頭をひっぱたいた。
「お前メイド趣味か?」
「いやなんとなく言っただけ」
そろそろこいついい加減にしろとお灸を据える為に今度は頭に手刀を叩き込んだ。
「あのー失礼なんだけど…一応実力を見せてもらえないかな? 戦闘スタイルとかを知っとかないと魔物が出たとき動きに支障をきたすから」
ミレーヌが誇らしげにコクコクと頷いている。
「はい……分かりました……地下広間に案内してください」
***
「広…」
「おぉー」
案内されるがままに到着した部屋の床は赤のカーペットに統一されており、壁は大理石のような白く光るものになっている。見渡す限りの赤と白。思わず目が眩みそうだ。
「こんな部屋使っていいのか?」
「構わないよ。空き部屋だからね」
「それでは始めましょう。エース様……」
リュミエスは両手に黒い薄手の手袋をはめる。
これから手術でも始める気か? という発言はある程度は控えておこう。雰囲気からして舐めてかかると一撃で決着がつく。
「おうよ。悪いが全力出すぜ?」
「……光栄です」
「リュミエス頑張れ~! 行け~」
ミレーヌは部屋の隅でちょこんと膝を立てて座り、応援している。どうやら彼女はリュミエスの味方のようだ。
まぁ総計で二ヶ月ちょいしか過ごしてない仲間と長年一緒に過ごしたメイドなら家族同然のそっちを取るだろう。
…家族ね。
『家族? あなたにその記憶が?』
何!? お前は!?
『大したものでは無いですよ。それに……あなたは向こう側にもっと大事な人がいたのでは無いですか?』
やめろ……俺の中から出ていけ。
話すな。
やメロ。
俺ハ…■った■だ。もう…守■資格な■ない。
ヤダ。モウ失ウノハ嫌ダ。
クルナ。出ていってくれ。俺は俺ハ俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺…ハ
これ以上何も…失いたく■いんだ。
もう俺から何も……俺の前から何も………消さないで。
「あれ? なんだ? め…まい……が!アガガガガッッ~」
「エース!?」
「エースさん!?」
「一体…何が?」
「邪悪な……いや、それとも違う。聖なる…純粋な気? とにかく無力化するしかなさそうです」
「ギシュュュュュユ アガッ アシュ…アシュ? アリ。アリ…ス? チガチガチガ違う。アリ…アリ………サ?アリ……サ? アリサ……?」
「聞き間違い…ですよね」
そんなはずはない。
そもそも…
「意味がわからない…」
突然、魔王の討伐など言われたとしても、あくまでエース達は一端の冒険者。
なのに何故…
「…予言書だ」
「ん?」
「サイリア家の地下の最下層、そこに置かれていた文献だ。そこに書かれていたのはこう。『創造術の使い手、兼ねてより彼方から参らん。そして神は告げる。自身を殺せと。選ばれし者、魔の王を討ち滅ぼす』」
「「?」」
「まるで意味がわからんぞ?」
「…」
少なくとも、エースには心当たりがあった。
白黒の部屋で神とやらに言われたセリフ。
最後の言葉はよく聞こえなかったがあれはまさか…
脳内で状況をシュミレーションする。
あそこは謂わばエースの精神世界。エース自身によっていくらでも状況は変わる。部屋の内面も外装も。
…外装があるのかは分からんが。
「私を…殺して見せなさい?」
「何? …それ」
「俺が神とやらから聞いた声だ…」
「腐龍のときの?」
「いや…あれとは別人だ」
「じゃああれは誰?」
「…わからん。少なくともそれも道中で分かるんじゃないのか? …俺はこの世界よりかは向こうがいい」
「そう…だね……」
「? 最後なんて言ったんです?」
「「何でもないです!」」
元からこの世界の住人であるミレーヌに別の世界の話をしたとしてもチンプンカンプンだろう。
にしてもこの三人で勝てんのか?
封印の地も分からないのだろ…
そもそも魔王は今どこに?
***
「仲間か…?」
「えぇ。こいつらでは頼りないわけではないのですがやはり心細いので…」
「そう言うと分かっていた。だからこのリュミエスを連れてきたのだろう」
アヴァがリュミエスの肩をポンポンと叩く。
「サイリア家メイド長リュミエス・ラインハルトです。エース様達の旅にご同行させていただきます……」
「ハァ…よろしくお願いします?」
「実感湧かないな…新しい仲間なんて」
「な、仲間などではありません……! 私はあなた方の監視役です……!」
「何を言っているリュミエス!? お前が望んだ旅路だろう!?」
アヴァが汗をかいておどおどしている。
「い、いえ? そそそそんなことは言ってませんよ……!」
「落ち着けよちょっと…アッシュはどう思う?」
「格好がエロい」
真顔でそんなことを言うので思いっ切り頭をひっぱたいた。
「お前メイド趣味か?」
「いやなんとなく言っただけ」
そろそろこいついい加減にしろとお灸を据える為に今度は頭に手刀を叩き込んだ。
「あのー失礼なんだけど…一応実力を見せてもらえないかな? 戦闘スタイルとかを知っとかないと魔物が出たとき動きに支障をきたすから」
ミレーヌが誇らしげにコクコクと頷いている。
「はい……分かりました……地下広間に案内してください」
***
「広…」
「おぉー」
案内されるがままに到着した部屋の床は赤のカーペットに統一されており、壁は大理石のような白く光るものになっている。見渡す限りの赤と白。思わず目が眩みそうだ。
「こんな部屋使っていいのか?」
「構わないよ。空き部屋だからね」
「それでは始めましょう。エース様……」
リュミエスは両手に黒い薄手の手袋をはめる。
これから手術でも始める気か? という発言はある程度は控えておこう。雰囲気からして舐めてかかると一撃で決着がつく。
「おうよ。悪いが全力出すぜ?」
「……光栄です」
「リュミエス頑張れ~! 行け~」
ミレーヌは部屋の隅でちょこんと膝を立てて座り、応援している。どうやら彼女はリュミエスの味方のようだ。
まぁ総計で二ヶ月ちょいしか過ごしてない仲間と長年一緒に過ごしたメイドなら家族同然のそっちを取るだろう。
…家族ね。
『家族? あなたにその記憶が?』
何!? お前は!?
『大したものでは無いですよ。それに……あなたは向こう側にもっと大事な人がいたのでは無いですか?』
やめろ……俺の中から出ていけ。
話すな。
やメロ。
俺ハ…■った■だ。もう…守■資格な■ない。
ヤダ。モウ失ウノハ嫌ダ。
クルナ。出ていってくれ。俺は俺ハ俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺俺…ハ
これ以上何も…失いたく■いんだ。
もう俺から何も……俺の前から何も………消さないで。
「あれ? なんだ? め…まい……が!アガガガガッッ~」
「エース!?」
「エースさん!?」
「一体…何が?」
「邪悪な……いや、それとも違う。聖なる…純粋な気? とにかく無力化するしかなさそうです」
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