左半身でしか魔術を使えない異世界

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失われた記録

七大罪の英雄譚② 国

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「話してくれよ。その依頼を」

「分かった《暴食》。今回の依頼は…からだ」

「「「「国ィ!?」」」」
《怠惰》、《暴食》、《色欲》、《傲慢》は口をあんぐりと開け、その場から動けなくなってしまう。
当然といえば当然だろう。
彼等は謂わばテロ組織であり、ただの為に殺し続けるのだ。
世界の為とか崇高な理由、理想ではなく、『罪を滅ぼす』自身のために。そんな自分たちが国から依頼されるなど…いやそもそも七大罪は依頼で動く何でも屋では無い。
余程大変な事態なのか?
「何があるかは分からん…罠かも知れんぞ?」
《強欲》が低いトーンで話す。
その眼差しは少しの殺意を帯びたものだった。
何か察した訳では無い。ただ、二百年という永い時を過ごしてきたのだから、お互いのことはよく理解している。
…嫌でもね。
「確かに…それは《強欲》の言う通りだネ。私は降りル。何があるかは分からないからネ」

「…その先にお前が望むものがあるとすれば?」

「…ッ」
《憤怒》の発言で《嫉妬》は口を噤む。
「死者の蘇生法……ある筈なイ。私は……」

「受ければいいだろ。ヤバい奴が出たら蹴散らせばいいだけだ」

「え~…僕と《色欲》は戦闘向け能力は持ってないよ? その辺りは?」

「お前は援護に徹していろ。その為の治癒能力だろう?」

「ッチ」

「なぜ舌打ちした」

「やりたくないから」

「…《憤怒》。強硬策を講じていいか?」

「仕方ないね…全く困ったものだ」


憑依・強欲の悪魔アンシェントマンモン
《強欲》の肉体が紫色のオーラに包まれていく。
「ちょ!? それ使えばここ壊れるよ~!? 仕方ないな…」
憑依・怠惰の悪魔アンシェントベルフェゴール
《強欲》の身体とは相対的に《怠惰》の肉体は明るい緑色のオーラに包まれる。
これが彼らの言うの正体で、犯した罪により悪魔に選ばれた者。
この世界では悪魔は邪霊に分類され、七大罪の悪魔は最上位の悪魔に類する。
通常能力の使用は、悪魔の権能の行使。
憑依の能力は再来、降臨、依り代。
《我、欲より産まれし産物、人類種の体現なり》
《我、自制心より産まれし産物、心の体現なり》

「ソ■にいる■■怠惰なの■?」

「ソウダ。我が名ベ■フェ■ール。キサマハ■ンモ■か?」

「うわぁ…めんどい事になりやがった…」

「《色欲》。能力行使の用意をしておけ。合図と共に発動しろ」

「了解ですわ」
急に女口調に変わったな。いやそれどころじゃない。あぁ~この建物誰が修復すると思ってる。
と《暴食》は心の中で愚痴る。
機能強奪ファンクションスナッチ
「お前■脳■機能。もら■ウケル」

不可視の圧力壁ロス・エイド・リフレイン
「魔術す■防ぐ盾。更に応用す■とだ■」
所々、人間としての言語を話していないため、戦闘している二名以外は何を言っているのかわからなかった。
膨張する圧力壁ロス・ペイン・リフレイン
辛うじて悪魔の言語による詠唱を聞き取った《憤怒》は《色欲》にアイコンタクト。
あれは空気による圧力で、内部から爆散させる高威力技だ。万一にも建物が崩壊すれば拠点の喪失を意味する。
「頼む!」
妖艶な色欲エンカンタドル


***
「寝てたのか…情けねぇ……」

「ふぁ~…おはよ」

「《怠惰》ちゃ~ん無事?」

「ちょ!? 《色欲》! 変なとこ触らないで!?  う、うわぁぁぁ! 誰か助け…」

「羨ま」
《暴食》の頭を《強欲》がひっぱたく。
「てめぇはカジノ街辺りで女とイチャコラしてろこの馬鹿」

「は?」

「あ?」
このままでは先程の二の舞になると判断したのか、《憤怒》は《色欲》ともみくちゃになっている《怠惰》にアイコンタクト。《怠惰》は『え? 僕!?』と言わんばかりの顔をしたが能力を行使。
怠惰なる華園ベル・エスフィル・ガーデン
「眠」

「《怠惰》の…権能……か」
両方ともまた眠りに落ちる。


***
また別の場所。
暗闇の中で何者かは叫ぶ。
「なるほど。七大罪か…素晴らしいな。是非とも我がモノ武器にしたいな」

「如何さなれました? …それでどうします?貴方が直々に出向くので?」

「当然だろう。武器精製には正確無比な記憶が必要だ。そうでなければ能力の保存も出来ない。それに…今回は記憶でなく剣そのものに奴等を……魔剣に…」

封じよう我が手に。待っていろ人間共。俺が………滅ぼしてやる』





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