上 下
18 / 227
〚第一章〛〜祈り村編〜

〚15話〛「お肉!」

しおりを挟む

 あれから3年が経ち僕は9歳……。
 柚希さんの話によるとあと僕に残された時間は1年。
 
 結局僕は自殺しなかった…、そこまで辛い状況じゃ無かったからかも知れない。
 小屋の裏には木が腐っている箇所があり、そこの板を外せば外に出られた。
 
 ただ村人達が交代で小屋を見に来る、…逃げれたかも知れない…でも、これは僕に染みついた癖だ。
 何故か逃げれなかった…逃げようとすると脳裏に父親の顔が蘇るのだ。
 
 …まあそれよりも、村人達が来るのはご飯を与えに、それは掟の詳細に書いてあるから従っているだけで、小屋に来るなり腐ったようなお粥を泥にぶち撒けていく。
 
 最低限は何か食べないといけないが、流石に泥の中の腐ったお粥なんて食べた方が悪いだろう。
 
 なので村人達の来ないすきに森に食べれそうなキノコや草、木の実などを食べていた。
 殆どキノコを食べると毒キノコで、幻覚を見たり眠くなったり全身が痺れたり、息が殆ど出来なくなったりするが、お腹は満たせたし、沢山生えていたので、滅多に見つからない木の実や食べれそうな草が見つからないときはキノコを食べていた。
 
 キノコも見つからない時はその辺の青臭い草を食べていた。
 柚希さんに、心配させたく無かったので、僕の側に居ないようにとお願いした。
 ちょっと…酷いことを言ったけど、僕の事を見ている時、苦しそうな表情をしてたから。
 
 ………まあいつも陰から見て来るんだけど。
 
 
 
 
 
 今日は村の方がやけに騒がしかった。
 夜だというのに村の方が明るいし。
 
 僕には関係ないか、そう思いながら手作業を進めた。
 
 今やってるのは杭作り…槍…?かな?取り敢えず狩りに使う道具を作っていた。
 ナイフが無いので、ベッドに使っている腐ってない木の板、ベッドの側面に拾ってきた乾いた木の棒を削り、少しずつ尖らせていく。
 
 多少尖っている程度でいい、動物の胴体を貫けるなんて思っていない、碌な食べ物が無いので…まあ前世も無かったけど、筋肉がつかない…じゃなくて、力が無かった、胴体を貫く力が。
 なので努力すれば付く力、俊敏性を使って狩ることにした。
 俊敏性を鍛えて、動物の目を貫く。
 多分脳に届くはず…うん。
 
 流石に動物の後ろの穴を…ねえ…。
 無理なので目で。
 
 何で動物を狩るかというと、どうせあと一年の命だ、お肉が食べたい…という僕のワガママだった。
 
 今日もお肉の為に、頑張ろう。
 
 今日も僕はせっせと木の枝を削っていた。
しおりを挟む

処理中です...