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〚第二章〛〜名無し編〜

〚29話〛「奴隷生活その1」

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 そしてまた一日が始まる。
 
 「おら!起きろ糞商品共!!」
 
 そしていつも通りの探鉱、今日も足の裏を血だらけにし石を運ぶ。
 
 意味もなく打たれる鞭は痛く、皮が向け血が滲む。
 
 炭鉱者の意地悪による、足元への岩落下は、足の骨にヒビを入れる。
 
 …どうやら今日は、あの奴隷生活初日に話しかけて来た年端も行かない少女のようで、無駄に豪華な馬車から、少女の叫び声や鳴き声が聞こえてくる。
 
 「イヤっ!!やめてっっ、お願い!!!」
 
 「へんっ、少し黙ってろ!!へへへっ今挿れてやるぁぐふへ、」
 
 「ひっ…い、嫌だよぅ!!お願いっ!何でもするからっ…やめてーーーーっっ!!!!イッ…痛い痛い痛い痛い痛いっ!!!」
 
 「……」
 
 馬車から少し離れているのに…遮蔽物がないせいかしっかり聞こえてくる。
 
 パチュンッパチュンッと嫌な音が響く。
 
 「あっ……!あぁ…!!嫌ぁ…!!」
 
 「はぁ…」
 
 仕事仕事。
 
 
 
 
 そして昼が過ぎ夜。
 
 ご飯の量は、僕が陽彩だった頃のご飯より多くパンもスープも冷たいが腹は膨れた。
 
 
 
 就寝。
 
 寒いのは村のときでもう慣れてしまっていた…。
 
 だけどまた嫌な音がここまで響く。
 
 流石にこの煩さでは眠れなかった。
 
 「お願い…もう許して…」
 
 今日はスレンダーな長髪の女の人のようだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 そして朝が来る。
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