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〚第四章〛〜絶望の底編〜

〚104話〛「会いに行きたい日々1」

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 目が覚めると悲しかった気持ちは半減し、いくらか落ち着いていた。悲しい気持ちのみだったが。
 
 その日から目の前に出来る魔導ミスリルの人形は、母親のだけ首から上が無くなっていた。
 
 そして何日も過ぎるうちに母親の顔すら思い出せなくなっていった。
 
 
 
 
 
 
 
 ””
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 …あの日。ナナが死んでから17年が経った。
 
 私は今でもナナがまだ何処かで生きているんじゃないか…森を彷徨っているのではないか…、そう考えてしまう。
 
 もう…分かっているはずなのに。あの日に。
 
 ナナの居たはずの場所に着くとまず目に付いたのが広く折れたり倒されている木々。大きくいくつも刺し傷や切り傷があるフォレストウルフの死体。地面を覆い尽くす血とウルフの死体。
 
 そして……、土砂降りで音が殆ど掻き消える筈の中、視界の端でクチャクチャと音が鳴り響いている。”それ”に目が止まった。
 
 止まってしまった。…………虚ろな目をした愛娘の顔に。
 
 全身の肉が殆ど喰い千切られ唯一残っていたのが頭。その姿を確認した瞬間、私の頭の中は真っ白になった。
 
 
 
 
 
 
 
 …………ナナ‥?
 
 
 
 
 
 
 
 
 何がどうなってるのか分からない、理解できない。意味が分からず……………………分かりたくなくて横に居た兵士の剣を奪い取ると全力で、何年ぶりの剣を本気で振り切りウルフ達を一掃する。
 
 …………そして、もう一度転がっている死体に目がゆく。
 
 間違い………ない……わ。
 
 娘の死体。間違えるはずがない娘の顔に、………それを抱きかかえ泣き続けた。
 
 
 
 それから17年、最近不思議な夢を見続けていた。
 ナナが助けを呼ぶ声が聞こえ、ひたすら暗い洞窟の様な所を彷徨ったり、時には絶望する声だったり死にたいと泣き叫ぶ声だったり、私はナナを探してひたすら彷徨う。そんな良くない夢。
 
 ナナは確か前に転生したという話をした事があった。あの娘の話が今も起こっているのなら、また生まれ変わっているかも知れない。
 
 ……会えるかもしれない。
 
 そんな期待が胸を過ぎった。
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