不幸な少女の”日常”探し

〚第四章〛〜絶望の底編〜

〚136話〛「お返し」

　全力で横っ飛びし、避けようとする。けれど脚に当たる気がする。そんな思いに無意識に脚を無くし、着地と共に脚を作り直していた。
　
　そして、
　
　ﾊﾟｧｧｯｯｯﾝ！
　
　そんな爆裂音と共に僕は吹き飛ばされ壁に激突した。
　
　「かはっ……！」
　
　肺の空気が全て抜け、一瞬息ができなくなる。
　そして、顔を上げて僕は……自分の無力さ、怠惰さを呪った。
　
　視界に広がる天井を覆い尽くさんばかりの無数の光。回避が間に合わない受け切れない、強くなる……そう、思っていたのに。
　
　気付けば僕は【終潰】に頼ってばかりで、自分で戦おうと思わなくて、そうしてここに来てツケが回ってきた。
　
　必死に、全力で逃げ切ろうと回避や盾で受けたり……逃げる‥？
　
　また逃げるのか？面倒だから？僕じゃ戦えないから？
　
　そうして一体なんになる、次に活かせるのか？次を戦えなくなるだろ。
　
　戦うんだ、お母さんに会うんだろ、妹にお父さんに。
　
　ならコイツを、殺せるだけ強くなるんだ。
　
　
　
　
　ｷｨｨｨｨｯｯﾝ!!
　
　
　
　
　凄まじい金属音が響き、僕は盾で、純白の光を弾いていた。
　今まではあまりの威力で盾を貫いてきたのに。
　
　でも、これで光を受ける事ができる。…いやもしかして……もとから弾けるだけの力はあったのでは無いか？
　
　魔導ミスリルは意思を強く受ける。僕が弱気だったから、貫かれると思っていたから。
　
　なら………
　
　僕は突っ込んだ。迫り来る無数の光を気にもせず。そして光が接触する瞬間…。
　光をレイピアで切り裂く。何度も高速で。
　
　そして切り裂くたびに一閃が奔る。銀色の一閃。
　そうして辿り着いた聖観音の足の目の前で全自然霊で剣を振るう。
　
　奮った剣は、観音の血飛沫と共に肉を切り裂いた。その瞬間上から、閃光が奔っる。
　急いで上を見上げると、観音が口を大きく開け、漆黒と純白の入り混じった光を溜めていた。
　
　そして約一秒。一瞬で僕はその光に飲み込まれた。
　
　光の中はとても冷たく、熱かった。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　もう一度だ。
　
　光の中で全身がドロドロになっても、意識だけは無くさないように。そして光が終わったと同時に魔導ミスリルを足場に、一気に、未だ口を開けたままの顔まで駆け上がる。
　
　そしてお返しとばかりに両目を切り裂いた。