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〚第五章〛〜不幸な少女の”日常”編〜
〚158話〛「皆で仲良く」
しおりを挟む「ふふっ」
「どうしたの?」
「これからは一緒に居られると思うと嬉しくて」
「…僕もだよ」
《僕》という一人称はいつからか変えられなくなっていた。《私》という一人称は犯される…殺されるというイメージがあるからなのか、それとも弱い…《僕》で積み上げた強さが《私》にすることで無くなってしまうからか。
ナナの一人称は私。もしかしたら壊れた僕が、お母さんと過ごした《私》を使いたくない、穢したくないのかも知れない。
「…………お姉ちゃん」
リーネの方を見ると、リーネはゆっくりと目を覚ました。
「…リーネ、…良かった」
「…ぁ…お姉ちゃん!!」
リーネは起き上がると僕に抱きついて来た。
「…」
僕は静かにリーネの頭を撫でる。
「良かったね…シアル」
「うん」
僕達は暫く抱き合っていた、お互いを懐かしむように。
「私…の舌が」
リーネが自分の舌が戻ったことに気付いたようで驚いた。
それは治癒魔法の効力がスキルで上がったからだ。ヴェレナは治癒魔法を何千回と繰り返し使いあるスキルを会得していた。
「なんか回復魔法の効力が上がって…」
「凄いよね…シアルって」
「うん…、…………えっと……助けてくれて…ありがとう…お姉ちゃん」
「生きて居てくれて……良かった」
本当に…リーネまで失ったら…………。
「それで………隣の女の子は……」
リーネが少しだけ不安そうな声で尋ねる。
「…話すと長いけど……」
「うん…」
僕は話した、転生を繰り返している事、紅葉が前世の幼馴染だと言うこと、そこでは詩亜瑠という名前だと言うことを。
「そう…だったんだ」
眠そうな…目の下に隈が出来ているリーネを見て。
「もう少し休もう…リーネ、続きは起きてからで」
「……………ちょっと…怖くて。起きたらまだあの部屋何じゃないかって」
「僕も一緒に寝るから…、紅葉も寝よ」
「うん…」
「ありがとう」
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