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〚第五章〛〜不幸な少女の”日常”編〜

〚160話〛「買い物」

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 良かった、二人はまだ寝てる。
 
 ふと窓の上へ目をやると、外は暗くなっており、空には月が煌めいていた。
 
 「んっ……お姉…ちゃん」
 
 リーネは僕の事を呟きながら寝返りをうつ。
 それを聞いて僕はリーネの頭を優しく撫でた。
 
 「シアル……ごめ…んなさい」
 
 紅葉は辛そうな顔をして寝ていた、………僕は紅葉を優しく抱き締める。
 
 「もう……大丈夫」
 
 そう呟いて…。
 
 
 
 
 
 
 
 
 どれぐらい経っただろうか。
 空が明るくなってきた頃だろうか、朝焼けが綺麗に差し込んできた頃だろうか。
 
 紅葉が目を覚ました。
 
 「シアル……おはよう」
 
 「おはよう、紅葉」
 
 僕は紅葉をゆっくりと起こす。
 
 「あ…ありがとう、シアル」
 
 「ねえ…紅葉、祈り村での事、全然きにしなくて良いからね…僕は気にし」
 
 「駄目だよ!…私が、しっかり言ってなくて…そのせいで…」
 
 「…僕の方こそ謝らなきゃ…僕が…祭りに行ったせいで…」
 
 「ううん…!私が…一人で居ても…もう気付かれてたみたいだし」
 
 「僕は……もう大丈夫だから」
 
 「…………分かったよ」
 
 僕は紅葉をゆっくりと抱き締めた。
 
 
 
 
 
 
 
 「おはよう…!お姉ちゃん、紅葉ちゃん」
 
 「おはよう、リーネ」
 
 「紅葉で良いよ、リーネさん」
 
 「私もリーネで良いからね」
 
 「うん!よろしくね」
 
 僕は立ち上がる。
 
 「ちょっと何か買ってくるから、危ないから家から出ないようにね」
 
 「うん、分かった」
 
 「早く帰ってきてね…お姉ちゃん」
 
 「うん」
 
 僕は姿を変えるとともに転移で前に行った街へと転移した。
 
 一応買ってくるって言ったし…買うけど。
 
 容姿は幸いあまり特徴がバレていないのでヴェレナの姿でもいいが、念を入れて前の金髪の頃のヴェレナになっていた。
 
 これから何回も買いに来ることになるだろうしね。
 
 因みにお金はギルドの元僕の貯金から使った。異次元収納で。
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