死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

たまも。

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フォンルージュ家編

49-帰ってきたフォンルージュ邸※R15

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「それじゃあね、僕のルーク」


そう言って馬車の前で跪き僕の手の甲にキスをする。

よくもまあ、いけしゃあしゃあと。


「……アーノルド様もお元気で」


…早く手を離してくれないかな。屋敷に入りたい。

そう思った瞬間アーノルドが僕の手を掴んだまま立ち上がる。
そして僕の手を引っ張りあげ僕の口にキスをする。


「んむッッ!?ん、んちゅ…ぅぅ」


咄嗟のことで驚いた僕は口を閉じることが出来ず、空かさずアーノルドの舌が入ってきて、自分の舌を絡め取られる。


っ…やめろ!キスだめっ!勃っちゃうから…!勃っちゃうから!!


アーノルドのもう片方の手が僕のアナルを服の上から刺激するようにぐりぐりと触る。

それは本当にまずい。


「っんぁッッ!ちゅ…らめ、っぁ!

あーのるどッッ!」


アーノルドがようやっと離してくれる。
僕はもう息も絶え絶えになっていた。


そんな僕をアーノルドは舌なめずりをしながらニヤニヤと見ている。


こいつ…本当に性格わるい…ッ!


「じゃ、僕もう行くね」


何事も無かったかのように王子スマイルで馬車に乗り手を振ってくる。

僕は何とか笑顔をつくり内心中指を立てながら手を振り返す。


「…さよなら、アーノルド様」


出来れば永遠に。



ーーー


フォンルージュ邸の扉を開ける。


「兄上ッ!」


開けた途端に奥から走ってきたラルクに勢いよく抱きつかれ、呆然としてしまう。


「兄上…あにうえ、あにうえ…ッどこに行っていたんですか。おれを置いてどこに…ッ」


ラルクが僕に頭をグリグリと甘えるように擦り付けながら、悲痛な声で僕に訴える。

すごく悪いことをしてしまった感じがする。

…そう言えば、急に連行されたから、ラルクは僕がアーノルドの別荘に行った事を知らないのか。

父上は知っているはずだが、わざわざラルクに言うとも思えない。

震えながら僕に抱きつく姿が、まるで寂しかったと甘えてくる子犬みたいで、思わずラルクの頭を撫でてしまう。

しばらくそうして撫でて宥めていると、ピタッとラルクの動きが急に止まる。


「…兄上、勃ってる」


最悪だ。さっきアーノルドにいじられたからだ。

ラルクは首筋に顔を埋め込んだまま、スー…と僕の匂いを嗅ぐ。


「……おれの嫌いな臭いがする」


…犬かな。僕が説明する前に気付いた。


「…おれを置いてアイツのとこに行ったのか?弟を一人こんなとこに残して…?」


僕の背中に回している腕に力が篭もる。
ラルクの爪が服の上からくい込んで痛い。


「っ…断れなくて…」


何故か言い訳みたいな言葉が出てくる。
事実だ。不可抗力だ。言い訳じゃない。


「だったら、俺の誘いも断るなよ、いいよな?兄上」


何が甘えてくる子犬だ。これは凶暴な狼の間違いだ。

手首を離さないと言うように力強く掴まれ、げっそりしながらラルクにお風呂へと連行された。
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