スミス・ロード -辺境の鍛冶屋ー

シンゴぱぱ

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第二章 湖の村日常編

11.開拓開始。

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仮眠を取った後、二人は形の出来た斧の部分の刃を研ぐ準備をする。

 刃の部分だけでも研ぐのは可能だが、柄を差し込みそこから角度や使い勝手を見て研いでいく。

 出来上がった、一から作った斧を感慨深く見るティタ。

「明日は鋸を何本か作ろう。そして鉈は何本か作っているから、一度整備してそれからだな」

 晩御飯は肉を焼いて味付けに塩コショウを振っただけの簡単なもので酒も少しで早々に寝る。

 明日も朝が早い。

 ミカゲに用意してもらった簡易的な寝所で横になるとすぐに深い眠りに落ちた。


 鋸や鉈は斧よりも薄く、ある程度の鋼を熱して伸ばすだけで、形が出来た。

 ミカゲもティタもそこそこの鍛冶技能があり、製作に要する時間もかなり短縮して作れるようだ。

 鉈の刃の部分を研ぎ、鋸も目立てをしていく。

 突き出すように切る鋸は依然ティタも使ったことがあるが、今回は手前に引く薄い刃圧の手鋸だ。

 細工にも適しており、使い勝手もよさそうだ。

 完成した自分の作品を早く使いたい。

 誰もが思う事だが、ティタもその一人で、ミカゲも準備が整ったので、次の日の早朝から森に入り、それぞれ使用してみて最終調整しようということになった。

 王の門から数分北の方に移動すると、獣道の様な北の集落に向かう道がある。
 そこを拡張しながら道を作る様になった。

 鍛冶作業でこもっている間、警邏がてらガッハが入り口付近のお掃除もしていたらしく、軽々するほどの雰囲気も無かったので、ある程度森の中に入り、少し開けた所を拡張していく。

 先発隊はミカゲ、ティタ、ルマリア、そしてティタの部下達数名だ。

 元々用意している鉈や斧等で、部下たちは早速作業を開始する。

 先日造った斧や手鋸はミカゲやティタ本人がその使用感をまずは確かめる。

 斧も良い感じで木に入り込むし、鉈も小枝や枝打ちに使い勝手もよい。

 運搬用に木材の枝を鉈では落としにくかったり加工する時に手鋸の感触を確かめる事にし、満足いく出来だったので、先ずは木材伐採に取り掛かる。

 皆いい感じで木を切っていく。

 根は後ほどある程度堀り、引き抜く予定だ。

 魔物の動きも有る可能性を考え、先ずは木を切り視界を確保する。

 半日程度でも元々力のある者達なので、かなりの距離を進むことが出来た。

 これを交代で何日か進めれば、次の拠点まで順調に進めることが出来そうだ。

 特に問題なく伐採は進んでいく。

 木を切る音などで魔物も警戒しているのか全く出くわさない。

 それはそれでよいことと、それでも警戒しながら伐採は続く。

 二日、三日で拠点を作り、進めていき、約二週間程度で森を抜けた。

 広い草原が広がる大地、蜃気楼の向こう側に青い地平線が拡がる。

「海の蒸気で蜃気楼が出てるな。ここから数日はかかるが、そこに海に面する北の集落がある。」


 道の拡張はほぼ出来たので、後は根や枝などをある程度落とし、運搬して乾燥させ木材として加工するための若干の枝打ちなどしてとすることは山済みだ。
 とはいっても、人手もあるし、急ぐものでもない。

 そこそこに切り落とした木材を運び終え、根を堀り、道らしくなったとこで重機を入れ、完成したから森に狩りに入ることにした。

 結局伐採の音で魔物も警戒し、魔牛や馬なども移動した様である。

 根もなかなかしぶといのはしぶといが、根を枯らし抜けやすくする精霊魔法など使用できるアルテやステイシアによって順調に進めていけた。

 気づけば、道も良い感じに残りは重機を入れるだけとなった。

「ルワースが重機を持ってきてくれるから、俺達の役目はここ迄だな」

「楽しかった」

 率直な感想がティタの口から洩れる。

「そうだな、道が固まるまでとりあえず次の作業だ」

 ミカゲとティタは切り上げ、森の捜索をする準備をするために大櫓に行く。

 ビアンにも提示された魔牛と馬の確保をするための作成会議といった処か。

 ミカゲに聞いた、魔牛の肉もなかなかの美味らしい。

 ティタもミカゲ同様、かなりの食に傾倒している一人だった。

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