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2話 既知との遭遇
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次の日の朝、昨日結構食糧を集めたから今日は少し遠出して修行のほうを重点的に行おうと思い、近所の森とは逆方向のベイツ森林に向かう。心配をかけてしまうので母さんとニア姉さんには内緒である。
ベイツ森林はそこそこのレベルの魔物が棲んでいる。クマももちろん危険なのだがベイツ森林にはもっと獰猛な魔物や、魔力を有し使用してくる魔物さえもいる。しかし、とても危険かと言われるとそうでもなく、森林奥地に入らなければ戦闘訓練を始めて一年くらいの実力で倒せる程度である。そのため初心者の実力試しとして使われることもある。僕もその実力試しとして来ようとしたのだが、
「やっぱカズヤさんがいれば余裕っすね!」
「おうよ、俺がいるからこんな森大丈夫だぜ!」
一人でくるつもりだったが二人ほどついて来てしまった。
自信満々な笑みをうかべて声が大きい兄貴分面をしたほうがカズヤ、俺より一つ年上の十六歳だ。神託の内容は炎関連だったと言われた気がする。炎魔法を打つのに少しタメがいるうえ軌道もわかりやすく避けられやすいことが欠点だが威力はそこそこある。
弟分のほうはスピン、いつもカズヤにおどおどしながら着いていく気弱そうな少年だ。まだ十五歳になっておらず神託は分からない。しかし、戦いぶりを見ていると直接的な損傷を与えることは苦手だが相手を足止めすることが得意な魔法や道具に長けている。
「セト早くいくぞ。なんだその不満げな顔は、俺たちにベイツ森林行くところ見られたのが全ての失敗だったな」
「脅して無理やり一緒に行くことになったことに文句が無いわけないじゃないか」
「まあそういうな、一緒に怒られる人は大いに越したことないだろ」
「余計にダメな気がするよ」
そう、村からベイツ森林に向かうとき二人に行く様子を見られてしまったのである。
『セト、お前ベイツ森林に行こうとしていたな。このことをお前の母や姉に行ったらさぞ心配するだろうなぁ』
と言われてしまい、黙っててもらう交換条件としてベイツ森林に行くことになった流れである。この二人も危ないからベイツ森林に行くことを家族に禁止されているがやはりこの年頃になると禁止されればされるほどやりたくなるものである。
「セト、お前も戦ってみろ。ほらあそこにブヨブヨしたスライムがいる」
仕方ない、と思い前に出て剣に手をかける。何かを食べている最中でありこちらには気づいていない様子である。タイミングをはかって飛び出そうとしたとき、
「魔法じゃなくていいのか、あいつに物理攻撃はそこまで通らないぞ」
カズヤが声を出したことでスライムがこちらに気づいてしまった。『知ってるわ!』と悪態をつきながら剣に電気をまとわせて切りかかる。スライムを切るとぶよっとした嫌な感触が伝わるがこれでスライムの体内に直接魔法を流し込む。
「ウオー!! ウォ、ウォウ…」
まあ、スライムならば簡単に行けるな。
「なんだ、知っていたのか。一撃で倒すとは思わなかったがな」
こいつ邪魔したくせに上から目線かよ、そうは思いながら口に出すと面倒くさそうなので黙っておく。
そんな感じでベイツ森林を進んでいき、いい時間がたったころスピンが話し始めた。
「結構進んだ気がしますよ。しかもいい時間だしそろそろ戻りません?」
「まだ俺たちは全然力を出し切ってないぞ。もっと奥地に行ってやろうぜ」
「ええ⁉ いくらベイツ森林といってもさすがに奥地はまずいよう」
「お前ビビってんの、だっせー」
「いやいや違いますよカズヤさん、セトの気持ちを代弁したまでですよ」
なんか勝手に腹立つこと言われたが確かに結構進んできた気がする、そろそろ引き返すべきかと思っていると、少女の悲鳴と何か大きな音が聞こえてきた。
「悲鳴とヤバい音しましたって。やはり帰りましょうカズヤさん」
「この馬鹿、逆にいくしかないだろ」
「襲われてそうだし早くいくぞ」
いやがるスピンを無理やり連れて急いで悲鳴がしたほうに駆けて行くと、二本首で四本足の獣が白いローブの少女を木に追い詰めている。少女のほうは疲れ切っているのか恐怖からかもう木にへたり込んで立てない様子であり、少女はその端麗な顔を恐怖でゆがませている。少女は震える声でなんとか魔法を出そうとしているようだが恐怖でか魔力の流れを制御できていない。
「おい、あれはなんだ」
「わ、わかりませんよ」
あれはおそらくオルトロスという魔獣かもしれない。何かで見た気がする。しかし、実際に見ると双頭の化け物というだけでかなり異質で正直怖い。でも、やらなければあの子が危ない!
「こちらに気を逸らさせるぞ」
「はあ⁉ まじで言ってるのか⁉」
そういうと同時にオルトロスに向け電撃を発射させる。予想だにしていなかったのかオルトロスに直撃が成功する。来た! と思ったがすぐに体勢を立て直しこちらに向かってきた。
「やばいこっちに来ちゃったよ!」
グルルゥ
オルトロスのとびかかりによりカズヤとスピンと分断されてしまった。オルトロスはカズヤとスピンには興味を示さず自分に体を向ける。俺は今がチャンスだとカズヤとスピンに攻撃しろという意を込めて目線を向ける。
するとカズヤは後ろを向いて
「今から、大人を呼んでくるから!」
そう言って走り去ってしまった。
「え? え? カズヤさん!?」
あいつ俺たちを置いていきやがったな。しかし現状のほうがもっとまずいぞ、オルトロスが完全に俺をターゲットにしている。オルトロスがこんなベイツ森林にいていい魔獣ではない。どうすれば安全に対処できるのだろうか、倒せなくてもいい、ここから無事にあの子を連れて逃げ出せればいいんだ。ただ、
あの神託が発動するのだけは絶対に避けなければ!!
―――あとがき―――
本作品を読んでくださり、ありがとうございます!
フォローや評価、コメントなどいただけると今後の励みになりますのでよろしくお願いいたします!
ベイツ森林はそこそこのレベルの魔物が棲んでいる。クマももちろん危険なのだがベイツ森林にはもっと獰猛な魔物や、魔力を有し使用してくる魔物さえもいる。しかし、とても危険かと言われるとそうでもなく、森林奥地に入らなければ戦闘訓練を始めて一年くらいの実力で倒せる程度である。そのため初心者の実力試しとして使われることもある。僕もその実力試しとして来ようとしたのだが、
「やっぱカズヤさんがいれば余裕っすね!」
「おうよ、俺がいるからこんな森大丈夫だぜ!」
一人でくるつもりだったが二人ほどついて来てしまった。
自信満々な笑みをうかべて声が大きい兄貴分面をしたほうがカズヤ、俺より一つ年上の十六歳だ。神託の内容は炎関連だったと言われた気がする。炎魔法を打つのに少しタメがいるうえ軌道もわかりやすく避けられやすいことが欠点だが威力はそこそこある。
弟分のほうはスピン、いつもカズヤにおどおどしながら着いていく気弱そうな少年だ。まだ十五歳になっておらず神託は分からない。しかし、戦いぶりを見ていると直接的な損傷を与えることは苦手だが相手を足止めすることが得意な魔法や道具に長けている。
「セト早くいくぞ。なんだその不満げな顔は、俺たちにベイツ森林行くところ見られたのが全ての失敗だったな」
「脅して無理やり一緒に行くことになったことに文句が無いわけないじゃないか」
「まあそういうな、一緒に怒られる人は大いに越したことないだろ」
「余計にダメな気がするよ」
そう、村からベイツ森林に向かうとき二人に行く様子を見られてしまったのである。
『セト、お前ベイツ森林に行こうとしていたな。このことをお前の母や姉に行ったらさぞ心配するだろうなぁ』
と言われてしまい、黙っててもらう交換条件としてベイツ森林に行くことになった流れである。この二人も危ないからベイツ森林に行くことを家族に禁止されているがやはりこの年頃になると禁止されればされるほどやりたくなるものである。
「セト、お前も戦ってみろ。ほらあそこにブヨブヨしたスライムがいる」
仕方ない、と思い前に出て剣に手をかける。何かを食べている最中でありこちらには気づいていない様子である。タイミングをはかって飛び出そうとしたとき、
「魔法じゃなくていいのか、あいつに物理攻撃はそこまで通らないぞ」
カズヤが声を出したことでスライムがこちらに気づいてしまった。『知ってるわ!』と悪態をつきながら剣に電気をまとわせて切りかかる。スライムを切るとぶよっとした嫌な感触が伝わるがこれでスライムの体内に直接魔法を流し込む。
「ウオー!! ウォ、ウォウ…」
まあ、スライムならば簡単に行けるな。
「なんだ、知っていたのか。一撃で倒すとは思わなかったがな」
こいつ邪魔したくせに上から目線かよ、そうは思いながら口に出すと面倒くさそうなので黙っておく。
そんな感じでベイツ森林を進んでいき、いい時間がたったころスピンが話し始めた。
「結構進んだ気がしますよ。しかもいい時間だしそろそろ戻りません?」
「まだ俺たちは全然力を出し切ってないぞ。もっと奥地に行ってやろうぜ」
「ええ⁉ いくらベイツ森林といってもさすがに奥地はまずいよう」
「お前ビビってんの、だっせー」
「いやいや違いますよカズヤさん、セトの気持ちを代弁したまでですよ」
なんか勝手に腹立つこと言われたが確かに結構進んできた気がする、そろそろ引き返すべきかと思っていると、少女の悲鳴と何か大きな音が聞こえてきた。
「悲鳴とヤバい音しましたって。やはり帰りましょうカズヤさん」
「この馬鹿、逆にいくしかないだろ」
「襲われてそうだし早くいくぞ」
いやがるスピンを無理やり連れて急いで悲鳴がしたほうに駆けて行くと、二本首で四本足の獣が白いローブの少女を木に追い詰めている。少女のほうは疲れ切っているのか恐怖からかもう木にへたり込んで立てない様子であり、少女はその端麗な顔を恐怖でゆがませている。少女は震える声でなんとか魔法を出そうとしているようだが恐怖でか魔力の流れを制御できていない。
「おい、あれはなんだ」
「わ、わかりませんよ」
あれはおそらくオルトロスという魔獣かもしれない。何かで見た気がする。しかし、実際に見ると双頭の化け物というだけでかなり異質で正直怖い。でも、やらなければあの子が危ない!
「こちらに気を逸らさせるぞ」
「はあ⁉ まじで言ってるのか⁉」
そういうと同時にオルトロスに向け電撃を発射させる。予想だにしていなかったのかオルトロスに直撃が成功する。来た! と思ったがすぐに体勢を立て直しこちらに向かってきた。
「やばいこっちに来ちゃったよ!」
グルルゥ
オルトロスのとびかかりによりカズヤとスピンと分断されてしまった。オルトロスはカズヤとスピンには興味を示さず自分に体を向ける。俺は今がチャンスだとカズヤとスピンに攻撃しろという意を込めて目線を向ける。
するとカズヤは後ろを向いて
「今から、大人を呼んでくるから!」
そう言って走り去ってしまった。
「え? え? カズヤさん!?」
あいつ俺たちを置いていきやがったな。しかし現状のほうがもっとまずいぞ、オルトロスが完全に俺をターゲットにしている。オルトロスがこんなベイツ森林にいていい魔獣ではない。どうすれば安全に対処できるのだろうか、倒せなくてもいい、ここから無事にあの子を連れて逃げ出せればいいんだ。ただ、
あの神託が発動するのだけは絶対に避けなければ!!
―――あとがき―――
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