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第1話
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「愚かな種族よ。この森は我らの領地だ。何度言えば理解できるのだ」
いつも通りの高飛車な声が森の木々に響き渡る。
「よぉ。五日ぶりだな。俺達バカだから何回言われてもわかんねぇんだよ」
巨木の上から見下ろし、からかうように笑ってやった。高所から見ると彼の小さい身体は豆粒のようだ。
「お前達オークは討伐対象だ。悪さが過ぎるなら軍を出さねばならない。早くこの地を去れ!」
家臣一人のみを従えて勇敢に発言しているのはエルフの若者だ。エルフだから実は三百歳とか超えているのかもしれないが、オークであるライモには自分より年下の少年に見える。
「ユリ様、醜いイノシシ共に言葉など理解出来ません。相手にせず行きましょう」
ユリの家臣がユリの長い耳に囁く。小声だがライモの耳には届いた。
ライモは木から飛び降り、ドォォンと地面を震わせ二人の目の前に着地した。
「なっ!」
「ユリ様っ!」
二人の前に筋骨隆々の巨体を晒す。その風貌は短く刈られた銀髪に銀の瞳。そして巨大で吊り上がったイノシシのような鼻に、下顎からは牙が突き出ている。この容姿だけでエルフには十分威嚇になるはずだ。
エルフのユリはライモの肩位までしか身長が無く、横幅は三分の一程度で華奢だ。だが怯みつつも鋭い目をライモに向けてきた。
(そうそう、この目だ……)
ライモは内心喜んでいた。
約半年前にこの森でユリを初めて見たあの時、何かドンッと雷が落ちたような衝撃を感じた。あれが何だったのか今でもよく分からない。しかしあれ以来、ユリの姿が見たくて度々ここへ来てしまう。本当は他の森でも狩りには困らないのだが。
ユリはいつも上着の詰め襟を首の上までぴっちりと締め、長い金髪は乱れることなく一つに束ねている。薄紅色の唇を堅く結び、緑の美しい瞳は力強い。
「そうだよ。お前らの要求なんて、理解できねぇよ」
ライモは二人を見下ろすように言った。ユリの家臣が震えながら弓を構えている。
半年間でユリ達に何度も遭遇しているが、こんな至近距離まで近づいたのは初めてだった。
「ライモー! そんなちっこいの早くヤッちまってくださいよー」
「そうそう、いい加減うんざりッスよ~」
ライモの子分達がギャハハと騒ぐ。
ユリは家臣を抑えつつ、ライモを睨みつけていた。その時、ふわっと甘い香りが漂ってきた。本当に気のせいかと思うくらい微かにだが。ふとユリがその美しい顔を歪ませた。
「……お前、クサイ」
ライモはユリを睨み唸った。
「あぁ?」
ユリは鼻と口を手で覆いつつ、さらに続けた。
「け、獣臭くて敵わん。……今日は引く」
ユリは涙目で顔を赤く染め、長い耳は下を向いている。そしてユリはライモに背を向けると家臣に「行くぞ」と言い、その場から立ち去った。
「なっ……!」
唖然として固まる。
「ギャハハハ!」
「ライモが匂いだけでエルフを追い払った!」
「流石、兄貴だぜ!」
子分達は口々に笑った。
「うるせぇ! お前ら殴られてぇのか!」
ライモは子分達に怒鳴り、やり場の無い怒りをぶつけた。
いつも通りの高飛車な声が森の木々に響き渡る。
「よぉ。五日ぶりだな。俺達バカだから何回言われてもわかんねぇんだよ」
巨木の上から見下ろし、からかうように笑ってやった。高所から見ると彼の小さい身体は豆粒のようだ。
「お前達オークは討伐対象だ。悪さが過ぎるなら軍を出さねばならない。早くこの地を去れ!」
家臣一人のみを従えて勇敢に発言しているのはエルフの若者だ。エルフだから実は三百歳とか超えているのかもしれないが、オークであるライモには自分より年下の少年に見える。
「ユリ様、醜いイノシシ共に言葉など理解出来ません。相手にせず行きましょう」
ユリの家臣がユリの長い耳に囁く。小声だがライモの耳には届いた。
ライモは木から飛び降り、ドォォンと地面を震わせ二人の目の前に着地した。
「なっ!」
「ユリ様っ!」
二人の前に筋骨隆々の巨体を晒す。その風貌は短く刈られた銀髪に銀の瞳。そして巨大で吊り上がったイノシシのような鼻に、下顎からは牙が突き出ている。この容姿だけでエルフには十分威嚇になるはずだ。
エルフのユリはライモの肩位までしか身長が無く、横幅は三分の一程度で華奢だ。だが怯みつつも鋭い目をライモに向けてきた。
(そうそう、この目だ……)
ライモは内心喜んでいた。
約半年前にこの森でユリを初めて見たあの時、何かドンッと雷が落ちたような衝撃を感じた。あれが何だったのか今でもよく分からない。しかしあれ以来、ユリの姿が見たくて度々ここへ来てしまう。本当は他の森でも狩りには困らないのだが。
ユリはいつも上着の詰め襟を首の上までぴっちりと締め、長い金髪は乱れることなく一つに束ねている。薄紅色の唇を堅く結び、緑の美しい瞳は力強い。
「そうだよ。お前らの要求なんて、理解できねぇよ」
ライモは二人を見下ろすように言った。ユリの家臣が震えながら弓を構えている。
半年間でユリ達に何度も遭遇しているが、こんな至近距離まで近づいたのは初めてだった。
「ライモー! そんなちっこいの早くヤッちまってくださいよー」
「そうそう、いい加減うんざりッスよ~」
ライモの子分達がギャハハと騒ぐ。
ユリは家臣を抑えつつ、ライモを睨みつけていた。その時、ふわっと甘い香りが漂ってきた。本当に気のせいかと思うくらい微かにだが。ふとユリがその美しい顔を歪ませた。
「……お前、クサイ」
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「あぁ?」
ユリは鼻と口を手で覆いつつ、さらに続けた。
「け、獣臭くて敵わん。……今日は引く」
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唖然として固まる。
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「ライモが匂いだけでエルフを追い払った!」
「流石、兄貴だぜ!」
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「うるせぇ! お前ら殴られてぇのか!」
ライモは子分達に怒鳴り、やり場の無い怒りをぶつけた。
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