11 / 12
第11話
しおりを挟む
「ライモ。そんなに怒らないでくれ。エルフは元々妊娠率が低いし、発情期で無ければ可能性はゼロに等しい」
初日にライモが洗い、干しておいた服に袖を通しながらユリが話す。
「だが、万が一って事もあるだろう?」
ライモはユリに言い聞かせるように反論した。
発情期中はユリの強いフェロモンに必死に抗い、ユリの中で果てる事はなんとか避けてきた。なのに最後の最後でユリの誘惑に勝てなかった。
「もしその万が一が私に起こったら……」
ユリは小首をかしげてライモを見つめる。
「ライモは、私と腹の子を守ってくれるだろ?」
ユリの発言にライモは絶句する。
オークの雄は子育てをしない。
ヤリっぱなしで産ませっぱなしだ。
だがユリの発言通り、もしもユリが身籠ったら、ライモはユリと子を自分で守りたいと思った。こんな風に思ったのは初めてだが、絶対そうすると断言できる。
ライモは自身の心境にも驚いたのが、ユリがライモの子を身籠っても良いと思っているような言い方にも驚いた。
そして嬉しさがこみ上げてくる。
「ああ、絶対守るよ」
ライモの返答にユリは満足そうに微笑んだ。そして続けてユリはライモに抱き着き、上目遣いで聞いてくる。
「じゃあさ、次の発情期が来たら……また相手してくれる?」
ライモはさらなる嬉しさにユリを抱き締めた。
「ああ、もちろんだ。必ず来いよ」
ユリも嬉しそうに微笑み返し「……良かった」と呟いた。
ユリはライモがそう答えると確信があったようだ。あれだけベタベタに甘やかしてしまったのだ。ライモの想いはユリに筒抜けだろう。
「じゃ、私がいつでもこの結界内に入れるように術をかけさせてもらおう」
ユリはそう言うと自らの髪を数本引き抜き、空中に放つと呪文をサラサラと唱えた。金の髪は光り輝きそのまま消えた。
「良し。これで何処に居てもここへ来られる」
それはライモには到底真似できない高度な魔術だった。ふと疑問に思いライモはユリに聞いた。
「ユリ、エルフの発情期はどれくらいの周期で来るんだ?」
エルフは長寿だ。まさか次の発情期は五十年後です、なんて事になるとライモはこの世に居るかちょっと怪しい。
「んー、どうなんだろうな。私は今回が初めての発情だったから良く知らないんだ」
「そうか……」
ライモはさらりと返事をしてから、ユリの発言を反芻した。
(……ん? 今回が初めての発情……)
ライモは驚いてユリの顔を見た。
「ええっ⁉ ゆ、ユリ、じゃあ……、これまでに誰かと、その、まぐわった事は……」
「そんなの無い。ライモが初めてだ。言わなかったか?」
ライモは驚いては声が出なかった。と言うか物凄く嬉しい。それと同時に浮かぶ疑問。
「ユリ……、お前、今いくつなんだ?」
ライモの質問にユリはニッと笑った。
「んー、ライモよりは、歳上じゃないかな」
初日にライモが洗い、干しておいた服に袖を通しながらユリが話す。
「だが、万が一って事もあるだろう?」
ライモはユリに言い聞かせるように反論した。
発情期中はユリの強いフェロモンに必死に抗い、ユリの中で果てる事はなんとか避けてきた。なのに最後の最後でユリの誘惑に勝てなかった。
「もしその万が一が私に起こったら……」
ユリは小首をかしげてライモを見つめる。
「ライモは、私と腹の子を守ってくれるだろ?」
ユリの発言にライモは絶句する。
オークの雄は子育てをしない。
ヤリっぱなしで産ませっぱなしだ。
だがユリの発言通り、もしもユリが身籠ったら、ライモはユリと子を自分で守りたいと思った。こんな風に思ったのは初めてだが、絶対そうすると断言できる。
ライモは自身の心境にも驚いたのが、ユリがライモの子を身籠っても良いと思っているような言い方にも驚いた。
そして嬉しさがこみ上げてくる。
「ああ、絶対守るよ」
ライモの返答にユリは満足そうに微笑んだ。そして続けてユリはライモに抱き着き、上目遣いで聞いてくる。
「じゃあさ、次の発情期が来たら……また相手してくれる?」
ライモはさらなる嬉しさにユリを抱き締めた。
「ああ、もちろんだ。必ず来いよ」
ユリも嬉しそうに微笑み返し「……良かった」と呟いた。
ユリはライモがそう答えると確信があったようだ。あれだけベタベタに甘やかしてしまったのだ。ライモの想いはユリに筒抜けだろう。
「じゃ、私がいつでもこの結界内に入れるように術をかけさせてもらおう」
ユリはそう言うと自らの髪を数本引き抜き、空中に放つと呪文をサラサラと唱えた。金の髪は光り輝きそのまま消えた。
「良し。これで何処に居てもここへ来られる」
それはライモには到底真似できない高度な魔術だった。ふと疑問に思いライモはユリに聞いた。
「ユリ、エルフの発情期はどれくらいの周期で来るんだ?」
エルフは長寿だ。まさか次の発情期は五十年後です、なんて事になるとライモはこの世に居るかちょっと怪しい。
「んー、どうなんだろうな。私は今回が初めての発情だったから良く知らないんだ」
「そうか……」
ライモはさらりと返事をしてから、ユリの発言を反芻した。
(……ん? 今回が初めての発情……)
ライモは驚いてユリの顔を見た。
「ええっ⁉ ゆ、ユリ、じゃあ……、これまでに誰かと、その、まぐわった事は……」
「そんなの無い。ライモが初めてだ。言わなかったか?」
ライモは驚いては声が出なかった。と言うか物凄く嬉しい。それと同時に浮かぶ疑問。
「ユリ……、お前、今いくつなんだ?」
ライモの質問にユリはニッと笑った。
「んー、ライモよりは、歳上じゃないかな」
52
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
獣人王と番の寵妃
沖田弥子
BL
オメガの天は舞手として、獣人王の後宮に参内する。だがそれは妃になるためではなく、幼い頃に翡翠の欠片を授けてくれた獣人を捜すためだった。宴で粗相をした天を、エドと名乗るアルファの獣人が庇ってくれた。彼に不埒な真似をされて戸惑うが、後日川辺でふたりは再会を果たす。以来、王以外の獣人と会うことは罪と知りながらも逢瀬を重ねる。エドに灯籠流しの夜に会おうと告げられ、それを最後にしようと決めるが、逢引きが告発されてしまう。天は懲罰として刑務庭送りになり――
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話
あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」
トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。
お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。
攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。
兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。
攻め:水瀬真広
受け:神崎彼方
⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。
途中でモブおじが出てきます。
義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。
初投稿です。
初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
隠れオメガの整備士は自由になりたい。なのに暴走する最強騎士を身体を張って止めたら、運命の番だとバレて過保護な専属契約を結ばされました
水凪しおん
BL
※オメガバース設定。激しい戦闘描写や、執着攻めによるマーキング描写、軽度の性的な接触の描写がありますので、15歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
汚染された惑星を浄化する生体兵器『機装(ギア)』。
その搭乗者は優れた能力を持つ『アルファ』に限られ、彼らの精神を安定させる鎮静剤として『オメガ』が存在する世界。
整備士のエリアンは、オメガであることを隠し、ベータと偽って軍の最前線で働いていた。
オメガは道具のように扱われるこの社会で、自由を守るための必死の嘘だった。
だがある日、軍最強のエリートパイロット・クレイドの機装が暴走する事故に遭遇する。
死を覚悟して止めに入ったエリアンだったが、暴走する機体はなぜか彼にだけ反応し、沈静化した。
それは、隠していたオメガのフェロモンが、クレイドと強烈な『共鳴』を起こした瞬間だった。
「見つけた。俺の対になる存在を」
正体がバレたと戦慄するエリアンに対し、冷徹なはずのクレイドが向けたのは、処罰ではなく執着に満ちた熱い視線で……?
孤独なエリート騎士×身分を隠した健気な整備士。
星の命運と本能が交錯する、近未来SFオメガバース!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる