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第2話
しおりを挟む思えば最初から、見惚れていたのだろう。
店内1番奥の丸い2人掛けのテーブルに1人で座り、珈琲片手に静かに本を読む貴方の姿に。
少しだけパーマがかったふわりとした髪。ちょっと細めで印象的な瞳に黒縁の眼鏡。シャツから覗く色白の肌。
ただそこに居るだけで爽やかな風が吹いてきそうな清潔感漂う貴方に、私は暫く目を奪われていました。
カラン。とカフェの扉が開き、モデル顔負けの美しい女性が姿を現すと、貴方は顔を上げ女性へ微笑みを向けた。女性に、なのにまるで自分に微笑まれたかのように私の心臓は大きく跳ね上がってしまった。一瞬目が合った気がした。
近くに立っていたのでそのままオーダーを伺いにテーブルに近付き、聞こえる会話から2人が恋人同士である事を知りました。
とてもお似合いな2人。
貴方はスマートに彼女を誘導し、店を出て行きました。
「ご馳走様です」
すれ違う時に聞こえた声が、その日私の耳から離れませんでした。
違和感に気付いたのはそれから1週間後の同じ曜日。確か前回も水曜日だった。
同じテーブルに座る2人を見つけた。違うのは、正面に座る女性が前回とは違う人だということ。
テーブルに置いた手を重ね合わせる2人を見て、心の中で首を傾げました。
更に次の日、また別の女性と待ち合わせをして店を出て行った貴方…
浮気?それとも…もしかして詐欺師?
でも、だとしたら同じカフェを使うだろうか?
考えれば考える程わからなくなり、その日もまた、貴方の「ご馳走様です」だけが耳に残りました。
10月に入り暑さも落ち着くまでに、貴方は4人の女性との待ち合わせにこの店を使っているのだとわかりました。
そして、その4人全てとお付き合いをしているということも。
とんでもないプレイボーイだ!
わかっているはずなのに、貴方から目が離せない。
寧ろ貴方の手の体温を、私も感じてみたい…とさえ思うようになっていた。
カラン。
ふわふわ髪に黒縁眼鏡の貴方が入ってきて、いつもの席に座る。
呼ばれてもいないのに私はオーダーを取りに行き、2つ折りのメモをテーブルの上にそっと置いた…
貴方はきょとんとした表情を私に向けた後メモを確認すると、ニコリと微笑んでいつもの珈琲を注文しましたね。
それを早々に飲み干すと、また
「ご馳走様でした」
と言ってお店を出て行ったのだ。
女性は現れなかった。
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