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妖精界の騒乱
24話 村の残骸にて少年に出会う
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はやる気持ちを抑えつつ、僕は手前に見えた山へと向かっている。
転移しようと思ったが、距離が遠すぎるのか出来なかった。
あと、行った事の無い場所へは転移できないのかもしれない。ただ、エルモンテスなど行った事のある遠い場所に転移してみたことも無い。二人を発見し、妖精界の件が終わったら試してみよう。
二人とも見つかればいいのだが.........
ビュオォオオオー!!ビュワワヮアアアー!!
吹雪は相も変わらず荒ぶっている。
んん......それにしても歩いても歩いても中々辿り着けないな。
イメージを使ってみるか。
僕は高速で移動する自分をイメージした。ズドドドっと漫画のキャラのように残像で足が何本も見える感じで走っている。
ドッドッドドドドドドドドドド!!
瞬時に僕は加速し、肉眼で捉えられないほど自分の足が速くなっている。
冬景色が猛スピードで後方へと追いやられていく。
この世界に来てから肉体的な疲れを感じた事も無い。
無限に走れる気がする!
これ、リアルにやるのは少し恥ずかしいのだが、誰も観てないし気にしている場合ではない。
それにしても、僕の想像力が貧弱なだけで、出来ることはまだまだ沢山ありそうだな。
ただ.................
イメージが実現するのって結構楽しいことのはずなんだけど、どこか虚しさを感じる。
雪が顔についた時、冷たさを感じなかった時に湧いてきた虚しさと似ている。
まるで自分がこの世界の存在じゃないような..........
そんな空虚さがどこかある。
まあ、何にせよ、二人を見つけるために何でも活用していこう。
ズドドドドドッ!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
到着した。
さっき観えた山の木々の無いポッカリと空いた場所はこの辺りだと思う。
目の前には縄文時代にあったような家屋や、その残骸。祭事を行うような石のステージのようなものがあった。ここは村だったのか?妖精の村?
キラキラした妖精のイメージからすると、渋めな外観である。
ひとまず「おーい!母さん、ニルバナさーん!!」と呼び掛けてみる。
仮に大声に反応して龍が襲ってきても、僕一人だけなら対応しやすいだろう。
シーン。
あぁ.....直感任せに来てみたけど、空振りに終わるのか........
一体どうすればいいんだ。
ここから見渡せる広大な大地を観て、僕は途方にくれた。
ガサッ.............何か後ろから音がした。
僕はビクっと体を震わせ振り返った。
草むらから一人の男の子が顔を出している。
「お兄さん.....いい人??」
年齢で見ると7歳ぐらいで、色白の顔で髪は銀色で、体には古代ギリシャの人が着るような一枚の布を巻きつけたような服を着ている。
この吹雪の中、どう考えても寒いだろう。
「君、大丈夫か!?こんな所に一人でどうしたんだい?」
僕はそういいながら、その男の子に魔法障壁をかけた。
男の子の周囲に透明な膜が張られ、寒く無くなったはずなのだが、男の子は無反応だった。
「半年ぐらい前に村が襲われたの。みんな殺されちゃった...............妖精が襲ってきたんだ。恐ろしく強い妖精で、お母さんもお父さんもお姉ちゃんも戦ったけど、殺された.......」
え?妖精が襲ってきただと?
ニルバナさんからの話だと、妖精は一方的に龍に襲われてるだけだと思っていたのだが、違うのか?
僕は心に黒い渦が巻くような嫌な思いがした。
「生き残りは君一人なのか?」
「うん、たぶん......」
少年は俯いて答える。
「ずっと一人でこの辺りにいたのか?」
「そうだよ。どうしたらいいのか分からないし」
まじかよ。この世界では食べ物が要らないとはいえ、この子一人で半年以上この辺りで過ごしていたのか。
「そうか.....辛かったな。良かったら僕と一緒に来るか?今、はぐれた仲間を探している途中なんだ。」
少年は少し戸惑った様子だったが......
「いいの!?うん、一緒に行く!」
救いが得られた様子で口にした。
「君の名前を聴いていいかな。僕はメグルって言うんだ」
「僕はムスカリ」
僕はムスカリ君を連れて、母さんとニルバナさんを探すことに決めた。
身寄りも無さそうだし連れていってもいいだろう。
「メグル、メグル.......」
と、ムスカリは一人でぶつぶつ言っている。
それにしても、この少年、妖精では無いのかな?羽も無いし。
普通の人間に見える。
「君は妖精ではないのかい?」
「うん、違うよ。人間....だと思う」
何だか含みのある言い方だな。まあいいや。
ミストラス大陸の事はよく知らない。
人間も妖精族の近くで一緒に住んでいてもおかしくないな。
「よし!ムスカリ君、早速出発しよう!!」
「うん!!」
ムスカリ君は元気よく答える。
あ.................どこに行こう。
行く場所が全くもって思いつかない。
こんな時には瞑想だ。
ちょっと待ってて。今、女神様に行き先を聴いてみるから。
と、ムスカリ君に言い、僕はそこにあった平らな岩に腰を下ろした。
眼を閉じる。
それから4分後..............
何だか心の底がムズムズしてきた。
落ち着かなくなり周囲を見渡してみると、正面にある一番高い山の山頂に何かがあるように思えた。母さんとニルバナさんがいるのか分からないけど。
それにしても、あのノッポの山....エベレストの2倍以上は高そうだぞ。
しかし、自然と、足がそっちに向かおうとするのを感じる。
目的地は決定した。
ん?何かムスカリ君がこっちを観て驚いている。
「どうした?」
「メグルが眼をつぶってる途中、体から金と赤が混じったみたいな綺麗な光が出てたよ」
おお!まじかよ。金と赤......それは黄金の深紅色じゃないか?
黄金の深紅色と言えば..........
瞑想の答えに対し信憑性が高まる。
それにしても、あの高い山まで、そもそも距離があるな。
ムスカリ君に歩かせるのは辛かろう。
僕はムスカリ君を背負い、漫画走りにて走破する事に決定した。
ひょいとムスカリ君をおんぶすると、漫画走りをイメージしズドドドドッと駆け出し始めた。
「うわっ!!!」
と言い、ガシっとムスカリ君は僕に掴まった。
あれ、この子、見た目7歳ほどにしては随分、力が強いように感じる。
鍛えたのかな。
まあいいか、出発進行!!
転移しようと思ったが、距離が遠すぎるのか出来なかった。
あと、行った事の無い場所へは転移できないのかもしれない。ただ、エルモンテスなど行った事のある遠い場所に転移してみたことも無い。二人を発見し、妖精界の件が終わったら試してみよう。
二人とも見つかればいいのだが.........
ビュオォオオオー!!ビュワワヮアアアー!!
吹雪は相も変わらず荒ぶっている。
んん......それにしても歩いても歩いても中々辿り着けないな。
イメージを使ってみるか。
僕は高速で移動する自分をイメージした。ズドドドっと漫画のキャラのように残像で足が何本も見える感じで走っている。
ドッドッドドドドドドドドドド!!
瞬時に僕は加速し、肉眼で捉えられないほど自分の足が速くなっている。
冬景色が猛スピードで後方へと追いやられていく。
この世界に来てから肉体的な疲れを感じた事も無い。
無限に走れる気がする!
これ、リアルにやるのは少し恥ずかしいのだが、誰も観てないし気にしている場合ではない。
それにしても、僕の想像力が貧弱なだけで、出来ることはまだまだ沢山ありそうだな。
ただ.................
イメージが実現するのって結構楽しいことのはずなんだけど、どこか虚しさを感じる。
雪が顔についた時、冷たさを感じなかった時に湧いてきた虚しさと似ている。
まるで自分がこの世界の存在じゃないような..........
そんな空虚さがどこかある。
まあ、何にせよ、二人を見つけるために何でも活用していこう。
ズドドドドドッ!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
到着した。
さっき観えた山の木々の無いポッカリと空いた場所はこの辺りだと思う。
目の前には縄文時代にあったような家屋や、その残骸。祭事を行うような石のステージのようなものがあった。ここは村だったのか?妖精の村?
キラキラした妖精のイメージからすると、渋めな外観である。
ひとまず「おーい!母さん、ニルバナさーん!!」と呼び掛けてみる。
仮に大声に反応して龍が襲ってきても、僕一人だけなら対応しやすいだろう。
シーン。
あぁ.....直感任せに来てみたけど、空振りに終わるのか........
一体どうすればいいんだ。
ここから見渡せる広大な大地を観て、僕は途方にくれた。
ガサッ.............何か後ろから音がした。
僕はビクっと体を震わせ振り返った。
草むらから一人の男の子が顔を出している。
「お兄さん.....いい人??」
年齢で見ると7歳ぐらいで、色白の顔で髪は銀色で、体には古代ギリシャの人が着るような一枚の布を巻きつけたような服を着ている。
この吹雪の中、どう考えても寒いだろう。
「君、大丈夫か!?こんな所に一人でどうしたんだい?」
僕はそういいながら、その男の子に魔法障壁をかけた。
男の子の周囲に透明な膜が張られ、寒く無くなったはずなのだが、男の子は無反応だった。
「半年ぐらい前に村が襲われたの。みんな殺されちゃった...............妖精が襲ってきたんだ。恐ろしく強い妖精で、お母さんもお父さんもお姉ちゃんも戦ったけど、殺された.......」
え?妖精が襲ってきただと?
ニルバナさんからの話だと、妖精は一方的に龍に襲われてるだけだと思っていたのだが、違うのか?
僕は心に黒い渦が巻くような嫌な思いがした。
「生き残りは君一人なのか?」
「うん、たぶん......」
少年は俯いて答える。
「ずっと一人でこの辺りにいたのか?」
「そうだよ。どうしたらいいのか分からないし」
まじかよ。この世界では食べ物が要らないとはいえ、この子一人で半年以上この辺りで過ごしていたのか。
「そうか.....辛かったな。良かったら僕と一緒に来るか?今、はぐれた仲間を探している途中なんだ。」
少年は少し戸惑った様子だったが......
「いいの!?うん、一緒に行く!」
救いが得られた様子で口にした。
「君の名前を聴いていいかな。僕はメグルって言うんだ」
「僕はムスカリ」
僕はムスカリ君を連れて、母さんとニルバナさんを探すことに決めた。
身寄りも無さそうだし連れていってもいいだろう。
「メグル、メグル.......」
と、ムスカリは一人でぶつぶつ言っている。
それにしても、この少年、妖精では無いのかな?羽も無いし。
普通の人間に見える。
「君は妖精ではないのかい?」
「うん、違うよ。人間....だと思う」
何だか含みのある言い方だな。まあいいや。
ミストラス大陸の事はよく知らない。
人間も妖精族の近くで一緒に住んでいてもおかしくないな。
「よし!ムスカリ君、早速出発しよう!!」
「うん!!」
ムスカリ君は元気よく答える。
あ.................どこに行こう。
行く場所が全くもって思いつかない。
こんな時には瞑想だ。
ちょっと待ってて。今、女神様に行き先を聴いてみるから。
と、ムスカリ君に言い、僕はそこにあった平らな岩に腰を下ろした。
眼を閉じる。
それから4分後..............
何だか心の底がムズムズしてきた。
落ち着かなくなり周囲を見渡してみると、正面にある一番高い山の山頂に何かがあるように思えた。母さんとニルバナさんがいるのか分からないけど。
それにしても、あのノッポの山....エベレストの2倍以上は高そうだぞ。
しかし、自然と、足がそっちに向かおうとするのを感じる。
目的地は決定した。
ん?何かムスカリ君がこっちを観て驚いている。
「どうした?」
「メグルが眼をつぶってる途中、体から金と赤が混じったみたいな綺麗な光が出てたよ」
おお!まじかよ。金と赤......それは黄金の深紅色じゃないか?
黄金の深紅色と言えば..........
瞑想の答えに対し信憑性が高まる。
それにしても、あの高い山まで、そもそも距離があるな。
ムスカリ君に歩かせるのは辛かろう。
僕はムスカリ君を背負い、漫画走りにて走破する事に決定した。
ひょいとムスカリ君をおんぶすると、漫画走りをイメージしズドドドドッと駆け出し始めた。
「うわっ!!!」
と言い、ガシっとムスカリ君は僕に掴まった。
あれ、この子、見た目7歳ほどにしては随分、力が強いように感じる。
鍛えたのかな。
まあいいか、出発進行!!
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