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マルフィに起きた大異変
62話 アリシャの変貌した容姿があの人に.....
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アリシャ視点
59話の続き
ヤギミイラ戦、直後
ナルバを殺めたのは正当防衛だと思いつつ、やはり、人間を手にかけた事に戸惑っていた。
洞窟を先に進もうとしたのは私の意志。全ての責任は私にあるのだ。
ナルバの空いていた半目を手で瞑らせる。
ただただ恐怖の対象であった相手だが、目を瞑ると仏のようである。
うぅ......涙が滲んできた。
このまま立ち尽くしていても仕方がない。
私はナルバの肉体を穴に埋め、先に進もうと思う。
この辺りの地面は堅そうだけど、埋葬用の穴は作れるかしら。
私は涙を手で拭い、近くの地面に穴が空いたイメージを浮かべる。
その瞬間、穴を空けようとした箇所に魔法陣が出現し、地面が割け中の岩が小さく砕けながら、ゴボゴボと外に溢れだした。
そして、丁度良く遺体を納められそうな穴が完成した。
それを見て、ナルバへの串刺し攻撃が発動した理由を何となく理解した。
距離が近ければ、大きな質量のものでも操作する事ができるのかもしれない。
確認のため、10m以上先の地面にも穴を空けてみようとしたが、やはり無理そうだった。
私はナルバの遺体を抱え上げると、穴の中に寝かせた。
次に、先ほど地面から出てきた細かい石が遺体に被さるようイメージする。
魔法陣が出現した後、ズザザザ....と細かい石が盛られナルバの遺体が隠れていく。
最終的には少し地面が膨らんだ形で埋葬された。
埋葬を終えた瞬間、私の視界の隅で、何かが光った気がした。
周囲を見渡すが何も無い。
まあ...いいか。
さて、先に進まないと........
あ!!ムスカリ君は別の場所に隠れてるんだった。
あたしはムスカリ君を隠した場所へと走っていく。
「ムスカリ君、大丈夫だった?」
「........?う.....うん....」
ムスカリ君の反応がおかしい。
戸惑いながら、あたしの顔と体をジロジロ見ている。
ふと、自身の身体を見てみた。
ええ!?あたしの服装が変わってる.......
赤いTシャツとジーパンだったのが、女性スパイのような格好になってた。(私のスパイに対するイメージだけど)
深紅色のジャケットに中は黒いシャツ。
動きやすそうなフィットした黒いズボン。
走りやすそうな純白色したローファーのような靴。
少し踵の部分が上がってる。
深紅色のジャケットや純白色の靴には黒く輝く刺繍のようなものが入っている。
その刺繍は、黒く輝く黒曜石のような印象を受ける。
これ、どういう意味があるんだろう。
服装だけ見ると、明らかに前よりも洗練されたデザインだ。
ただ.......どこか血なまぐさい感じがするのは気のせいだろうか。
さっきの光は、あたしの服装と顔が変わった事によるものかも。
顔も変わってるかもしれない。
鏡で自分の顔を見てみたいな....でも、この辺りには顔を映せるものは何も無いし.....
と、思った瞬間、瞬時に鏡が出てきた。
それは空中に静止している。
あれ?今、魔法陣が出なかったような......
周さんがやったのだろうか?
あたしは鏡を覗き込む。
うわっ!!誰!?
そこには以前のあたしは映っていなかった。
スパイ映画のヒロインを神格化した感じ.....という表現が適切かもしれない。
容姿がどこか現実離れしていて、ファンタジー感が漂っているからだ。
金に少し赤が混じったような髪色である。
髪の長さは以前よりも少し短くなり、ボブカットぐらいになった。
麗しいが、気の強そうなつり目である。
丸みのあった鼻は全体に合わせて調整されたかのように、鋭角が際立つ感じになっている。
アザラシの時とは比較にならないほど容姿が変貌してしまった。
これは、成長したということなのだろうか。
あたしは一体どこに向かっていくのか.......
「へっ!?あたし!!?」
---------------------------
野田周視点
ナルバが包帯に変身したのは、俺がアリシャに張った魔法障壁にグルグル巻かれた何かから衝撃が放たれていた事から分かった。
魔法障壁にセンサーのようなものを付属できるようになったのか?詳しくはよく分からない。
それにしても、かなり危なかった。
ナルバが消滅黒球とやらを上空からアリシャに見せつけた事で、アリシャは恐怖に駆られ、俺からの通信が通じにくい状態になっていた。
俺には、ナルバが包帯の切れ端を意図的に残していった事が分かったので、「隙を見て転移で襲ってくるぞ!」と、アリシャに知らせたが、中々通じなかったようだ。
ただ、俺の中の、切れ端に注意しろ!という思いだけが伝わったようで、アリシャがたまたま振り返ったらそこにナルバが転移してきて、撃退できたから良かった。
アリシャはショックだったようだが、この結末は仕方がない。
襲ってきたのは向こうだし、ナルバもまた転生し新たな肉体を備えることになると思う。
.........ん?アリシャの辺りで何かが光ったな。
ムスカリ君の元にアリシャが走っていく。
何やらムスカリ君が動揺しているようだ。
アリシャが鏡を出した......っておい!?
今、魔法陣が出なかったぞ!俺は何もしてない。
アリシャが創造を行ったのか?
アリシャは神に至ったのか?それとも、アガパンサや俺のように実体の方が神で、神の力を使えるまでに自我が成長したということか?
え....え?でも、神はマルフィには入れないんじゃ??
よく分からん事ばかりだ。
鏡をじっと覗き込むアリシャ。
やっぱりというか、アリシャの容姿が完全に変貌している。
...........新しいアリシャの容姿、めちゃくちゃ綺麗だな。
こんな異様な美人がアースで歩いてたら、どこかの国の大女優だと思ってみんな写メっちゃうよ。(写メって時代遅れ?うわ、俺もオッサンになったな)
っておい!!.....おいおい....
あの顔、何だか荒川恵美主任に似てないか?
つり目にボブカット.....荒川主任を神格化したらあんな感じじゃないだろうか。
主任に似ているといえば、ニンファルで目撃したボブカットでサファイア色の髪をした超絶美女がいる。ただ、アリシャの方がつり目で、主任っぽい部分があるな。
まあ、偶然似てるだけだろう。
ただ俺は主任に似た姿になったアリシャを見て、ドキドキした。
アース時代の俺は主任を怖がってたけど、案外、俺は主任の事が好きだったのかもしれない。
最後のお別れの時も、主任クソ可愛えぇと思ったし。
主任、元気にしてるかなぁ......
うん??アリシャが「あたし、あたし、あたし.......」ってぶつぶつ言ってる。
あたし?.......アリシャって、自分の事を私って呼んでいたような.......
ま.....まさか!!!
あの時のように.....ふおぉおお!!
---------------------------
「あたし....私、あたし....わたし」
うん。あたしって言葉の方が馴染む。
どうやら姿形と共に、自己イメージまでも変わったらしい。
さっきまで、自分に対して平和主義で無害な印象を持っていたんだけど....
今は自分に対して”目的のためなら全てを切り捨ててやる”といった非情な強さを感じる。
私という呼び方はその自己イメージと合わず、結果、あたしという呼び方の方が馴染む。
正直、自身の変化に戸惑っている。
というのも、ナルバを殺めた罪悪感がどんどん薄まっているからだ。
逆に、ナルバを監獄から解放してあげたような、そんな感覚が湧きおこる。
人間を殺めておいてそんな感覚を持つなんて......と感じる過去の自分と比較すると、今のあたしの方が広い視野で物事を判断しているような感じがするのだ。
まあ、自己分析している場合じゃないか。
「さっ、いきましょっ!!」
「お..お姉ちゃん!顔、顔が....」
と、戸惑うムスカリ君を抱え上げ、半ば強引に背負う。
「細かい事は気にしなさんな!!家族が待ってるよ!」
と、走り始めた。
横に聳える雄大な白く輝くピラミッドにチラっと目を向ける。
自身の変化も気になるが、なぜ、このピラミッドは洞窟内に現れたのだろう。
この巨大すぎる空洞はピラミッドを納めるために誕生したかのような形状である。
ナルバがミイラと共に出現した特別な理由もあるのだろうか?
ピラミッドの中を観てみたい気持ちはあるが、今は先を急ぎたい。
あたしはピラミッドに背を向け、空洞からの出口になりそうな穴へと入っていく......
59話の続き
ヤギミイラ戦、直後
ナルバを殺めたのは正当防衛だと思いつつ、やはり、人間を手にかけた事に戸惑っていた。
洞窟を先に進もうとしたのは私の意志。全ての責任は私にあるのだ。
ナルバの空いていた半目を手で瞑らせる。
ただただ恐怖の対象であった相手だが、目を瞑ると仏のようである。
うぅ......涙が滲んできた。
このまま立ち尽くしていても仕方がない。
私はナルバの肉体を穴に埋め、先に進もうと思う。
この辺りの地面は堅そうだけど、埋葬用の穴は作れるかしら。
私は涙を手で拭い、近くの地面に穴が空いたイメージを浮かべる。
その瞬間、穴を空けようとした箇所に魔法陣が出現し、地面が割け中の岩が小さく砕けながら、ゴボゴボと外に溢れだした。
そして、丁度良く遺体を納められそうな穴が完成した。
それを見て、ナルバへの串刺し攻撃が発動した理由を何となく理解した。
距離が近ければ、大きな質量のものでも操作する事ができるのかもしれない。
確認のため、10m以上先の地面にも穴を空けてみようとしたが、やはり無理そうだった。
私はナルバの遺体を抱え上げると、穴の中に寝かせた。
次に、先ほど地面から出てきた細かい石が遺体に被さるようイメージする。
魔法陣が出現した後、ズザザザ....と細かい石が盛られナルバの遺体が隠れていく。
最終的には少し地面が膨らんだ形で埋葬された。
埋葬を終えた瞬間、私の視界の隅で、何かが光った気がした。
周囲を見渡すが何も無い。
まあ...いいか。
さて、先に進まないと........
あ!!ムスカリ君は別の場所に隠れてるんだった。
あたしはムスカリ君を隠した場所へと走っていく。
「ムスカリ君、大丈夫だった?」
「........?う.....うん....」
ムスカリ君の反応がおかしい。
戸惑いながら、あたしの顔と体をジロジロ見ている。
ふと、自身の身体を見てみた。
ええ!?あたしの服装が変わってる.......
赤いTシャツとジーパンだったのが、女性スパイのような格好になってた。(私のスパイに対するイメージだけど)
深紅色のジャケットに中は黒いシャツ。
動きやすそうなフィットした黒いズボン。
走りやすそうな純白色したローファーのような靴。
少し踵の部分が上がってる。
深紅色のジャケットや純白色の靴には黒く輝く刺繍のようなものが入っている。
その刺繍は、黒く輝く黒曜石のような印象を受ける。
これ、どういう意味があるんだろう。
服装だけ見ると、明らかに前よりも洗練されたデザインだ。
ただ.......どこか血なまぐさい感じがするのは気のせいだろうか。
さっきの光は、あたしの服装と顔が変わった事によるものかも。
顔も変わってるかもしれない。
鏡で自分の顔を見てみたいな....でも、この辺りには顔を映せるものは何も無いし.....
と、思った瞬間、瞬時に鏡が出てきた。
それは空中に静止している。
あれ?今、魔法陣が出なかったような......
周さんがやったのだろうか?
あたしは鏡を覗き込む。
うわっ!!誰!?
そこには以前のあたしは映っていなかった。
スパイ映画のヒロインを神格化した感じ.....という表現が適切かもしれない。
容姿がどこか現実離れしていて、ファンタジー感が漂っているからだ。
金に少し赤が混じったような髪色である。
髪の長さは以前よりも少し短くなり、ボブカットぐらいになった。
麗しいが、気の強そうなつり目である。
丸みのあった鼻は全体に合わせて調整されたかのように、鋭角が際立つ感じになっている。
アザラシの時とは比較にならないほど容姿が変貌してしまった。
これは、成長したということなのだろうか。
あたしは一体どこに向かっていくのか.......
「へっ!?あたし!!?」
---------------------------
野田周視点
ナルバが包帯に変身したのは、俺がアリシャに張った魔法障壁にグルグル巻かれた何かから衝撃が放たれていた事から分かった。
魔法障壁にセンサーのようなものを付属できるようになったのか?詳しくはよく分からない。
それにしても、かなり危なかった。
ナルバが消滅黒球とやらを上空からアリシャに見せつけた事で、アリシャは恐怖に駆られ、俺からの通信が通じにくい状態になっていた。
俺には、ナルバが包帯の切れ端を意図的に残していった事が分かったので、「隙を見て転移で襲ってくるぞ!」と、アリシャに知らせたが、中々通じなかったようだ。
ただ、俺の中の、切れ端に注意しろ!という思いだけが伝わったようで、アリシャがたまたま振り返ったらそこにナルバが転移してきて、撃退できたから良かった。
アリシャはショックだったようだが、この結末は仕方がない。
襲ってきたのは向こうだし、ナルバもまた転生し新たな肉体を備えることになると思う。
.........ん?アリシャの辺りで何かが光ったな。
ムスカリ君の元にアリシャが走っていく。
何やらムスカリ君が動揺しているようだ。
アリシャが鏡を出した......っておい!?
今、魔法陣が出なかったぞ!俺は何もしてない。
アリシャが創造を行ったのか?
アリシャは神に至ったのか?それとも、アガパンサや俺のように実体の方が神で、神の力を使えるまでに自我が成長したということか?
え....え?でも、神はマルフィには入れないんじゃ??
よく分からん事ばかりだ。
鏡をじっと覗き込むアリシャ。
やっぱりというか、アリシャの容姿が完全に変貌している。
...........新しいアリシャの容姿、めちゃくちゃ綺麗だな。
こんな異様な美人がアースで歩いてたら、どこかの国の大女優だと思ってみんな写メっちゃうよ。(写メって時代遅れ?うわ、俺もオッサンになったな)
っておい!!.....おいおい....
あの顔、何だか荒川恵美主任に似てないか?
つり目にボブカット.....荒川主任を神格化したらあんな感じじゃないだろうか。
主任に似ているといえば、ニンファルで目撃したボブカットでサファイア色の髪をした超絶美女がいる。ただ、アリシャの方がつり目で、主任っぽい部分があるな。
まあ、偶然似てるだけだろう。
ただ俺は主任に似た姿になったアリシャを見て、ドキドキした。
アース時代の俺は主任を怖がってたけど、案外、俺は主任の事が好きだったのかもしれない。
最後のお別れの時も、主任クソ可愛えぇと思ったし。
主任、元気にしてるかなぁ......
うん??アリシャが「あたし、あたし、あたし.......」ってぶつぶつ言ってる。
あたし?.......アリシャって、自分の事を私って呼んでいたような.......
ま.....まさか!!!
あの時のように.....ふおぉおお!!
---------------------------
「あたし....私、あたし....わたし」
うん。あたしって言葉の方が馴染む。
どうやら姿形と共に、自己イメージまでも変わったらしい。
さっきまで、自分に対して平和主義で無害な印象を持っていたんだけど....
今は自分に対して”目的のためなら全てを切り捨ててやる”といった非情な強さを感じる。
私という呼び方はその自己イメージと合わず、結果、あたしという呼び方の方が馴染む。
正直、自身の変化に戸惑っている。
というのも、ナルバを殺めた罪悪感がどんどん薄まっているからだ。
逆に、ナルバを監獄から解放してあげたような、そんな感覚が湧きおこる。
人間を殺めておいてそんな感覚を持つなんて......と感じる過去の自分と比較すると、今のあたしの方が広い視野で物事を判断しているような感じがするのだ。
まあ、自己分析している場合じゃないか。
「さっ、いきましょっ!!」
「お..お姉ちゃん!顔、顔が....」
と、戸惑うムスカリ君を抱え上げ、半ば強引に背負う。
「細かい事は気にしなさんな!!家族が待ってるよ!」
と、走り始めた。
横に聳える雄大な白く輝くピラミッドにチラっと目を向ける。
自身の変化も気になるが、なぜ、このピラミッドは洞窟内に現れたのだろう。
この巨大すぎる空洞はピラミッドを納めるために誕生したかのような形状である。
ナルバがミイラと共に出現した特別な理由もあるのだろうか?
ピラミッドの中を観てみたい気持ちはあるが、今は先を急ぎたい。
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