女児霊といっしょに。シリーズ

黒糖はるる

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女児霊といっしょに。~学校の七不思議~

序章:ななふしぎ 5

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 オレは一人で自室に戻り椅子いすに腰掛けると、でっかい溜息をふ~~っとついた。肺の中が空っぽになる勢いだ。

「駄目だよ~。溜息すると幸せが逃げちゃうらしいよ」

 前言撤回、一人じゃなかった。霊を一名追加で。

「誰のせいだと思ってるんだよ」
「さぁ?悩み事があるならななが相談に乗るけどー?」
「年齢が二桁に到達してるか分からないような子供に人生相談なんかしたくないし、そもそも原因はお前だ」

 来週から小学生と一緒に小学校ライフスタート&初仕事ってだけで緊張しているのに女の子と二人同じ屋根の下、というか同じ部屋で生活だ。いくら相手が霊とはいえちびっ子と一緒だと胸がむずむずする。いや、ロリコンじゃねーぞ。

「ななのせいなの?」
「その通りだよ。早く未練を解消しないとこっちもたまったもんじゃないんだ」

 もう一度溜息をつき、オレはななに背を向ける。

「へー、この漫画面白ーい」
「って、何勝手に本棚漁ってんだよ!」

 目を離した途端に何てことしてくれるんだ。オレの漫画コレクションが本棚から引っ張り出され、ななの周りにぷかぷか浮いている。

「こっちのゲームは何?あ、これってカードゲーム?男の子ってこういうの好きよねー」

 今度は携帯ゲーム機の電源を勝手にオンにしたりカードで紙吹雪をしたりと、ポルターガイスト祭りを始めやがった。
 ただでさえ片付いていない部屋がフィーバータイムで悪化してる。
 まずい。
 このまま野放しにしていたらベッドの下と机の奥に隠した秘蔵本を発見されかねない。それだけは死守しないと本当にまずい。
 ここはひとつ、がつんと叱っておとなしくさせよう。

「いい加減にしろ!ここはオレの部屋だぞ!」
「ひゃっ!?」

 床を思い切り叩き、怒声を放つ。
 ななは身体をびくりと震わせると、空中で浮かせて遊んでいた物をぼとぼとと落としていく。驚きで集中が切れ、ポルターガイストが中断されたようだ。静かになったのはいいが、ゲーム機は落としてほしくなかった。無事だよな?

「断りなく勝手にオレの物で遊ぶな。ここで一緒に生活する以上絶対に約束は守ること。いいな?」
「…………はい」

 先程まで上機嫌で遊んでいたななはうなだれ、縮こまっていく。青菜に塩とはこのことだろうか、土下座よりも深く頭を下げてすすり泣いている。宙に浮く霊だから出来る体勢だ。

「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」

 怯えたように繰り返し謝罪を続けるなな。ちょっときつく言い過ぎてしまっただろうか、罪悪感がちくちくと胸を刺す。

「……もういいって。早く泣くのをやめろ」

 ばつが悪くて頭をきながら、オレはぶっきらぼうに告げる。

「許して…くれるの…?」

 嗚咽おえつ混じりでしゃくり上げながら、ななはゆっくりと顔を上げる。

 黒いあなが二つ。
 そこから赤黒い液体を溢れさせているななの顔が、オレの視界に飛び込んできた。













「うぎゃああああああああっ!」

 ななの瞳は真っ黒に染まっていて、血の涙を流していたのだ。

「うええええんっ!」
「どわあっ!やめろ、血が付く!汚れるぅっ!」

 ななが血涙を撒き散らしながら抱きついてくる。ひらりとかわしてシャツに付くのは回避出来たが、代わりに布団が赤黒く染まってしまった。

「あああっ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
「だからこれ以上泣くな!頼むから!マジで!」

 それから日付を跨ぐまでドタバタは続き、オレの部屋には見事な血の桜が満開になりましたとさ。めでたくねぇ。
 先が思いやられるんですが。

 因みにゲーム機はオシャカになってました。オレも血涙が出そう。



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