女児霊といっしょに。シリーズ

黒糖はるる

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女児霊といっしょに。~学校の七不思議~

第三章:異なる理 4

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 放課後になり、オレは誰もいなくなった三年生のフロアを歩き回っていた。
 反対側――北側の校舎は六年生のフロアのため子供達の声が聞こえるが、こちらはとても静かだ。
 さて、ななの浄霊に役立ちそうな物がないか探してみるか――と思ったその時、オレの目の前を誰かが横切った。
 背丈はななと同じくらい。だが、なながここにいる訳がない、母さんと買い物中なのだから。

 じゃあ、今のは誰だ?

 横切った何者かが向かった先へと、視線を向ける。そこにいたのは肌の白い一人の少女。切り揃えられた前髪と大きな黒い瞳、そして桜柄の和服。

 物置の日本人形そっくりの少女が、廊下の上を舞っていた。

 そんな馬鹿な。
 あの人形からは一切霊力を感じなかった。間違いなくただの人形だ。ちょっぴり不気味なだけの普通の人形。
 それならオレの前にいるこの少女は何者だ?
 この子は霊、それは確実だ。霊力をしっかり感じ取ることが出来る。
 どういうことなんだ?

 不可解さで頭の中がこんがらがっているオレを見て、少女は可笑しそうにくすくすと微笑ほほえむ。












「……お前は、あの人形なのか?」

 オレは質問をするが、少女は答えることなく長い袖を伸ばして手招きをした。
 どこかに誘っているのだろうか。
 少女はオレに思案の時間を与えることなく、ふわふわと飛んでいく。
 向かう先は物置部屋。やはりあの人形が関係しているのか、そう思ったら少女は急に方向転換。隣接した教材庫の中へぬるりと扉をすり抜けて入っていった。

「そっちかよ!」

 教材庫は子供に悪戯されないように鍵が掛かっている。鍵と言っても扉の高い所にあるつまみを回せばすぐ開けられるのだが、いい具合に錆びていて開けにくい。

「ふんっ……ぬぅっ!」

 バギンッ、とへし折ってしまったかと錯覚するような音を立てて解錠。教材庫の中へ飛び込んだ。

「……いない、か」

 埃とカビの臭い。
 乱雑に積まれた書籍。
 だが、肝心の少女の姿はない。

「ここに入ったってことは、それなりに意味があるってことだよな?」

 少女が聞いているかどうか分からないが、一応声に出してみる。
 当然、返答はなかった。

「仕方ないな。じゃあ好きにやらせてもらうぞ」

 目的不明で危険だが、ここは少女の意図に乗っかってやろう。
 日本人形似の少女が何者なのか、絶対暴いてやる。
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