女児霊といっしょに。シリーズ

黒糖はるる

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女児霊といっしょに。~学校の七不思議~

第四章:撃鉄と焔―フレイム・アクション― 6

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 家では母さんが歓迎の準備を済ませており、食卓には普段では絶対並ばないだろうご馳走が勢揃いしていた。しかも大量に。ましろはもはやタワーレベルに積まれたエビフライに大喜びしており、テンションが上がりまくっているようだ。

「張り切り過ぎだろ……母さん」
「だってぇ、今まで駆郎に内緒でいつもましろちゃんやこがねちゃんにおもてなし出来なかったんだもん。ママだって頑張っちゃうよ」
「そーですか……」

 内緒もなにも、そもそも仕事を頼んで呼ぶこと自体が普通にアウトなんですが。ただのパーティとかで呼べばいいんじゃないかな。

「あ、そういえばこがねちゃんは元気?」
「こがねなら今頃別件の仕事済ませたくらいですねー。こっちに来る前に一件依頼があったんで」
「あら、忙しいのにごめんね~」
「いいですよ。このはさんにもこっちの仕事手伝ってもらってますから」

 さらっと、ましろの口から爆弾発言が飛び出してきた。
 オレの知らない間に越権行為が平然と行われていることに衝撃なんですけど。

 そんなこんなでパーティが始まったのだが……すげー居づらい。
 母さんとましろ、あと食事はしてないけどななの三人が大盛り上がり。しかしそんな女子会のノリにオレがついていけるはずなく、今すぐ家に帰りたい気分になる。ここが家だから帰るも何もないが。
 オシャレの話とかスイーツの話とか、全然分からん。オレには全部暗号にしか聞こえないぞ。何語ですか、ソレ。
 誰か、ヘルプミー。

「大変そうだな」

 オレの肩に、ぽんと大きな手が置かれた。父さんだった。
 あ、いたんだ。気付かなかったわ。平日にいるなんて珍しいな。

「駆郎、飲み会って分かるか?」
「何だよ急に。大人が飲んで騒ぐはた迷惑な行事のことだろ」
「その通りだ。だが、参加している大人にだって迷惑している人もいる」
「はぁ……そうですか」
「それが父さんだ。あとお前も同じタイプだ」
「切ねぇよ」

 父さんは一般人だ。このパーティに参加している中で唯一ななが見えておらず、最も蚊帳かやの外の人間だ。
 紛れもなくただの一般男性。
 どうして母さんは父さんのことを好きになって、しかも「醒果会」の仲間がいる県ではなく父さんの地元の晩出市に店を構えたのか分からなかった。
 そして念導者と一般人のハーフであるオレは、幼少期から優秀だったらしい母さんとは違って凡才。それで昔は父さんのことを恨んだこともあったが、今なら分かる。
 母さんは、父さんの……陰から優しく支えてくれるところが好きになったのだろう。
 女子会から取り残されたオレのことを気遣ってくれたように、若い頃苦労していた母さんを気遣い、心の支えになっていたんだろう。二人の馴れ初めなんて欠片も聞いたことないけど。
 頼りないように見えて実はしっかりしているんだな、とちょっとだけ見直した。

「ところで、父さんはいつ帰ってきたんだ?」
「今日は休みで一日中いたぞ」

 影は薄いけど。
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