女児霊といっしょに。シリーズ

黒糖はるる

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女児霊といっしょに。~学校の七不思議~

第五章:ミステリー・オブ・ミッドナイト 2

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 その後のプールでも変質者扱いをされ、通常の授業でも近づくと気味悪がられ、挙げ句厳格そうな女性の担任教師に呼び出されて問いただされる始末。

「あなた、まさかロリータコンプレックスと呼ばれる特殊性癖をお持ちではないでしょうね?」
「はいは~い、ロリコンで~す!」
「断じて違います。むしろ年上派です」

 オレはふざけているななを完全無視してはっきりと答える。性癖を勝手に誤認されたら困ることはこの一ヶ月で嫌というほど味わったので正直に話したのだが、口にしてからやってしまったと後悔。

「そ、それは私への愛の告白と捉えてもよいのでしょうか……っ!」

 担任教師は顔を真っ赤にしている。違う、そういう意味じゃないから。

「先生は対象ではないですからご安心を――」
「そ・れ・は、私が年増過ぎるということですかっ!ムキーッ!」
「あ~……もういいです。そういうことで」

 五年生担当になって初日。もうオレはボロボロだ。
 だが倒れている場合じゃない。怪異の解決に向けてまだ一歩も踏み出していない。
 泣きたくなっている自分をふるい立たせて、オレは怪異について聞き込みをする。
 五年生にまつわる七不思議、勝手に開く女子トイレの窓。

「はぁ?トイレのこと?」
「まさか女子トイレのことまで聞いてくるなんて」
「変態なんてレベルじゃないわね」
「何か持ち出そうって魂胆でしょ。私の目は誤魔化せないわよ!」

 昼休みに女子達に質問したのだが、お察しの通りフルボッコです。着替えを覗いた疑惑のせいでまともに聞き込みが出来ない。それでも心優しい子から有力な情報を得られた。

 この怪異の特徴は、
 ・前日に施錠しても次の日の朝までには必ず窓が開いている。
 ・開いている窓は一つだけ。ただし全開になっている。
 ・夜中、学校に誰もいない時に怪異が発生している。
 ・怪異を引き起こしている存在を実際に見た子はいない。
 以上である。

 怪異の分類としては“謎の現象タイプ”だろう。霊が実際に姿を現すことなく不可思議なことが起こる、邪怪がずっと完全体にならないままでいる状況と表現するのが一番近いだろう。ただし起きる現象が不幸なことだけではなく、物の移動や変化のしやすさなどもある。多くの場合霊が目的を持って行っており、例で言うなら特定の物を移動させてほしくないから元の場所に戻している、花の色は赤にしてほしいから変えてしまうなどが挙げられる。
 さて、今回の場合はどんな目的で窓を開けているのか。霊が出てきてくれるなら直接聞き出してやろう。駄目なら念導札をべたべた貼ってとっ捕まえてやる。

「ねーねー、駆郎にぃ。すごーく気になることがあるんだけどさー」
「気になること?」
「うん。勝手に開いちゃう窓ってさー、なんか……」
「なんか?」
「ショボいよねー。前回と比べると」
「だよな。完全に同意」

 さてさて、続きましては現場検証。

「きゃーっ!覗きに来たの!?」
「こっち来ないでよエッチ!」
「男子トイレはそっちでしょ!ハウス!」

 予想はしていたけど、物凄い量の罵倒がオレのズタボロの心に追い打ち辻斬つじぎ滅多切めったぎりを食らわしてくる。自分、血涙いいっすか?

「ひどーい。こんなロリコンの駆郎にぃでも、おトイレするところなんて好きじゃないよ!」

 なな……ありがとう。
 でも彼女達には聞こえてないし、フォローになってないよ。

 罵倒するのに飽きたらしく女子達が去ったので、改めて現場検証をしようとしたが――やめた。
 別に「いくら仕事のためとはいえ女子トイレに入るなんて間違っている」と思った訳ではない。単にわざわざ状況を確認する必要がない、ということが分かったからだ。
 女子トイレに、悪しき気配はなかった。
 クリーンな空気。いや、トイレだからちょっと臭うけど。
 霊の残り香は一切感じられない。

「どういうことだ……?」

 女子トイレだけで起こる怪異だからてっきり常駐する地縛霊かと思ったが、どうやら違うらしい。それなら浮遊霊がいちいちここに来て開けているのか……?
 う~む、分からん。
 一先ひとまず様子見か。まずは実際開いてしまうのかどうか確かめよう。
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