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女児霊といっしょに。~晩出霊獣伝説~
第四章:眠り姫達のパーティー 2
しおりを挟む会議が終了した後、オレとなな、そしてミサキちゃんは奥部小に向かっていた。
「あたい以外の生け贄だったヤツらがそこにいるんだよな」
「一旦、な」
「どうしてその、学校?とかいう場所にいるんだよ」
「晩出市の中心部だからか、霊みたいな怪異現象が集まりやすいんだよ」
と、道中で晩出市の不思議現象を説明をしたりオレとななの出会いとか事件解決の話とかをしたり。
この一年のことを語っている間に奥部小に着いてしまった。
「ちょっと駆郎」
で、校舎に入って早々つぼみちゃんが不機嫌そうな顔で出迎えてくれた。……ずいっと、睨みをきかせた瞳をオレの顔にぶつかるギリギリまで近づけて。
「まさかと思うけど、霊が増えた?」
「増えたわよ、しかも二人も……ってまた一人連れてきたの!?」
つぼみちゃんはへなへなと崩れ落ちる。
後ろで浮いているミサキちゃんを見て、また厄介な霊が増えると思って力が抜けてしまったのだろう。
「いや、もう大丈夫だ」
「ぜんっ……ぜん大丈夫じゃないわよ!これで合計七人よ!?」
「うん、全部で七人だからこれで霊シリーズオールコンプリートだよ」
つぼみちゃんが保護してくれていた四人に加えて新たに増えた二人。そしてミサキちゃんを入れて合計七人。
霊獣伝説で捧げられた生け贄の数と同じ、これでぴったり揃った。
「こいつがななの言っていたつぼみって霊か?」
「そうそう、可愛いでしょでしょ!?しかもこの学校を守っているんだよ、凄いでしょ~♪」
にっこにこでななは友人を紹介している。一方つぼみちゃんはガタガタ震えている。それもそうだ、こんな柄の悪い霊に会ったら……と、思ったら。
「嘘、この霊しゃべれるの!?」
「そっちかい!」
今までの白装束の霊はみんな呆然としていたから、しっかり意識を持っていることに驚いているだけだったようだ。
「ガールズ霊トーク中に悪いんだけど、みんな物置部屋に来てくれないか?」
さすがに学校の入り口でずっと立っている訳にはいかない。しかも端から見ればオレ一人が立っていて独り言アンドツッコミをしている、所謂不審者案件なのだ。
通報されるのだけは勘弁してもらいたい。
「で、移動してきたのはいいものの……」
オレは物置部屋の前で頭を抱えていて、なな達は楽しくおしゃべり中。
別に女子の中に入れず困っている訳じゃない。むしろそっちで盛り上がっている分には問題ない。勝手にやっていてくれ。
頭を抱えている真の原因は、保護した残りの六人の霊をどうするかということだ。出来れば彼女達を正気に戻してあげたいし、気持ちよく浄霊してあげたい。もしかしたらミサキちゃんみたいに澱神無を倒したいって考えているかもしれないし……。あと、可能なら当時の出来事など、情報も欲しい。
しかし、方法が分からない。
精神崩壊した霊の戻し方、なんて勉強したことがない。そもそもそれを研究した念導者っているのか?普通未練があるから霊になるのであって、それの判別すらつかない精神状態では霊にはならない。澱神無という特殊な存在に取り込まれたか故に発生してしまったイレギュラーな霊なのだから、方法を知っている念導者なんているとは思えない。
「あぁぁ……」
漸く生け贄にされた人が全員揃ったというのに、手も足も出ない。
コンプリート出来て舞い上がっていて、未練解消というハードルを越えるために一番大事なことを忘れていた。
完全に、お馬鹿。
ああ、どうしたものか……。
「駆郎にぃ、頭痛いの?」
「違うわい」
心配をしてくれるななだが、頭痛を疑うなら頭を叩かないでくれ。しかもノックするみたいなのは割と効くからやめろ。
「あの人達をどうしたら元に戻せるかって悩んでいるんだよ」
「あら、それなら簡単な話じゃない」
そこにつぼみちゃんも加わってくる。
「……いや、無理だろ」
「まだ何も言ってないわよ!?」
言わなくても分かる。というか念導者界隈でも困るレベルのことをただの子供、しかも霊に解決されたら大恥だ。
でも、聞くだけ聞いてやるか。
「んじゃ、どうしろって言うんだ?」
「ふふ、奥部小のヌシであるこの私に任せなさい」
スイッチが入ったのか、急に役作りを始めたぞ。こんな時でも女優気取りですか、そうですか。
「って、コラコラコラ!」
ぼーっとしていたらつぼみちゃんが勝手にポルターガイストを使ってオレの黒烏を持ち出した。
オレの大切な浄霊道具で一体何をする気だ!?
ぽかっ、ぽかっ、ぽかっ、ぽかっ、ぽかっ、ぽかっ。
あろうことかつぼみちゃんは、黒烏の先端――龍鎧石の部分で白装束の霊達の頭を殴っていった。しかも右斜め四十度くらいで。
「どっ、どどどどうして殴った!?」
「壊れたテレビとラジオは叩くに限るでしょ?」
「霊と家電を一緒にするな!」
とんでもない考えをしているな、つぼみちゃん。あとその発想は絶妙に古いぞ。最近の家電製品は精密機器だから、叩いたら確実にオシャカになるから。
まったく、物理的な方法でいくなんて。それで済んだら念導者はいらないぞ……と思ったら。
「……あれ?」
「ここ、どこなの?」
「……部屋、でしょうか」
「ふわ~……眠い」
「おめめすっきり~」
「目覚めの時のようですね」
まさかのまさか。
白装束の霊達が全員正気に戻った。
「嘘でしょ……」
しかも一番驚いているのがつぼみちゃん自身だ。絶対思いつきアンド適当に彼女達を殴っただろ。
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