悪魔と呼ばれ捨てられたけれど、王子に愛される運命を手に入れてみせます!

なごみ

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心臓の高鳴りと後悔

後悔と違和感

 ルシルの部屋の前に立ち、ドアをノックしようとしたとき、

『ご、ごめんなさい・・・』とすすり泣く音が聞こえてきた。

この時まで、この婚約が自分勝手なものであったことに気付かなかった。いや、気が付いていたが自分の都合のいいように気がつかない振りをしていたことを認識した。

 すすり泣く声は、止むことなく続いており、扉をノックをしようとしていた手は、ドアをたたくことができず、そのまま下ろされた。

 いくらフローレス伯爵令嬢だからといって、ルシルは全くの無関係。そこを無理やり連れてこさせ、嘘でも婚約させるというのはあまりのことだったと反省しつつ、ルシルへ話をできる訳もなく執務室へ戻った。

 

 








ガチャッ。

 主は、ものの数分で戻ってきて執務室の椅子に、どかっと座った。雰囲気に少し苛立ちが感じられる。

「殿下、ルシル様はいかがでしたか?」

「・・・部屋の前まで行ったのだが、泣いていて部屋に入ることさえ出来なった。」

 パトリックは、少し間をあけて悔しそうに言った。

「俺は、ルシルを・・・何といっていいかわからないが、まるで人として扱っていなかったんだな」

 この言い方はいつもの快活なパトリックではなく言いよどんでいた。

 初めてこの様な落ち込む殿下を見ることになりひどく驚いた。殿下はこの様に人に関心を持つような人であっただろうか。

 パトリックは国を動かすためにも、毎日、感情に流されず決めなければならないことが多い。そのため、冷徹、冷酷などと言われることはたくさんあったが、この様な少女一人に振り回されている姿は珍しいだろう。

 珍しいものを見たと思いながらパトリックを見ていると

「今日のルシルを見てどう思った?」

 突然、パトリックがルシルについて聞いてきた。

 どうと言っても、報告の通り瞳の色は薄く、一般的な髪であった。

しかし、彼女に違和感を覚えていた。

最初にであったカフェでもそうだが、下町で育ったという割に言葉遣いなどマナーがしっかりしている点だ。知識の面ではわからないが、少なからず下町では使うことがないはずの正式な挨拶の方法を彼女は知っていて、緊張の中でも完璧にやってのけたのだ。

 しかし、違和感をなんと言葉にすれば良いか分からず回答に困っていると、

「そういえば、あのルシルの挨拶はお前が教えたのか?」

 今ちょうど疑問に思っていて殿下に伝えなければと思っていた内容であったため、とても驚いた。

「私は一切教えておりません。」

 予想していない答えだったのかパトリックは左のこめかみをピクつかせこちらを見た。

「では、ルシルは・・・どこであの様な挨拶を学んだというのだ?」

 私たちはルシルへの違和感を拭うことができなかった。

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