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決意
心境の変化?
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父の書斎で手紙を見つけた日の夜。父が書いていた日記を胸に抱きながら、布団へと入った。
パパは、私に貴族として振る舞わないといけない“何か”が起こることを想像していた。
それが、今回の仮初の婚約なのかどうかはわからないけれど。
でも、私が自分で運命を選べるように、必要最低限のマナーはしっかり教えようとしてくれていた・・・
まだ、マナーとか自信は全然ないけれど・・・少しは出来ているって思っていいのかな・・・
ああ・・・それよりも、パトリック殿下の気持ちも、自分の気持ちも・・・とにかく、この気持ちの正体を明確にしないといけないわ・・・
モヤモヤとする気持ちに髪の毛をわちゃわちゃとかき乱したくなりながら、まとまりのない気持ちを整理するのにいっぱいいっぱいだった。
私は手紙を見つけて読んだ日以降、時間があれば手紙と共に置いてあった日記を毎日読んでいる。
日記からは、父が王宮に勤めていたことやパトリック殿下とお会いしたことがあったことなど私がしらない父の一面を垣間見ることができた。
「ん~」
キリがいいところで体を伸ばした。
節々に血液が流れるような感覚に、長時間同じ姿勢でいたことを改めて思い知らされる。
“トンットンッ”という軽快なノックのあとに、城から派遣されてきたオーランが、「ルシル様、コーヒーが入りましたので、休憩にしませんか?」と声をかけて来た。
押しかけてきた初日に教えて以来、オーランはすっかりコーヒーの抽出に夢中で、今や私よりも安定感があるコーヒーが入れられるのではないか?と思うほどだ。
「ありがとう。いただくわ。」
オーランが入れてくれたコーヒーを飲みながら休憩するため、部屋をあとにした。
最近、毎日の日課になったオーランとのコーヒータイムは、近所のおじいさんの話や、夕飯の話。オーランの思い人の話しなどいつもだいたいたわいもない話題をすることが多い。
オーランが気を使ってか、私のことを聞くことはあまりなかった。
しかし、今日は珍しく「最近、少しスッキリしているようなお顔ですね。気持ちに何か変化でもありましたか?」と聞かれた。
特に気持ちに変化・・・というのはなかったが、城を出て2週間くらいだが、私にとってパトリックというのは大きい存在なのだと改めて認識していた。
それに、今までは平民だとばかり思っていたが、父の日記によると自分は正真正銘のフローレス家の娘であることに間違いはないようだ。
他にも、父がまさかフローレス家の人間で、伯父だったなんてわかった時には心底びっくりした。
誰もこんな下町の裏通りのおんぼろ小屋に貴族のお坊ちゃんが暮らしていたなんて思うわけはないと思うが・・・。
しかし思い返してみると、しっくりくる点がいくつもあった。
やたら博識だったし、食事マナーや挨拶などやたら口うるさかった。
それを思うと何になって欲しいと思いながら自分を育てていたのか、と少し不安になるが・・・
「す、すみません。焦らせないようにと言われていたのに・・・」
私が黙って考えこんでしまったせいかオーランは、私が気分を悪くしたとでも思ったのか慌てて謝った。
「あ、いや。大丈夫よ。ただ、パトリック殿下に会えないのは寂しいような感じがするけれど、こんな下町の娘が殿下の隣に並んでいるなんて知られたら、ご迷惑になるんじゃないかって不安だし。マナーもダンスも頑張っているけれど、やはり幼い頃から学ばれていらっしゃるお嬢様方は所作もとてもお綺麗で自分がそこまでできるのか心配になるわ。」
「それは、まさに恋というやつですね!」
「は?話聞いてた?」
少し息粗めにワクワクした表情でオーランは恋などと言っている。私の中で男性は色恋など面倒だと思っている人が多いと思っていたが、オーランはその想像の中の男性とは異なっているようだ。
「話は聞いていましたよ。でも、寂しくて、苦しくて。こんな感情は恋以外何があるんですか?」
オーランはキョトンとした表情でいった。
「はぁ・・・」
頭までお花畑の乙女のような考えのオーランについて行けず、ため息をついた。
パパは、私に貴族として振る舞わないといけない“何か”が起こることを想像していた。
それが、今回の仮初の婚約なのかどうかはわからないけれど。
でも、私が自分で運命を選べるように、必要最低限のマナーはしっかり教えようとしてくれていた・・・
まだ、マナーとか自信は全然ないけれど・・・少しは出来ているって思っていいのかな・・・
ああ・・・それよりも、パトリック殿下の気持ちも、自分の気持ちも・・・とにかく、この気持ちの正体を明確にしないといけないわ・・・
モヤモヤとする気持ちに髪の毛をわちゃわちゃとかき乱したくなりながら、まとまりのない気持ちを整理するのにいっぱいいっぱいだった。
私は手紙を見つけて読んだ日以降、時間があれば手紙と共に置いてあった日記を毎日読んでいる。
日記からは、父が王宮に勤めていたことやパトリック殿下とお会いしたことがあったことなど私がしらない父の一面を垣間見ることができた。
「ん~」
キリがいいところで体を伸ばした。
節々に血液が流れるような感覚に、長時間同じ姿勢でいたことを改めて思い知らされる。
“トンットンッ”という軽快なノックのあとに、城から派遣されてきたオーランが、「ルシル様、コーヒーが入りましたので、休憩にしませんか?」と声をかけて来た。
押しかけてきた初日に教えて以来、オーランはすっかりコーヒーの抽出に夢中で、今や私よりも安定感があるコーヒーが入れられるのではないか?と思うほどだ。
「ありがとう。いただくわ。」
オーランが入れてくれたコーヒーを飲みながら休憩するため、部屋をあとにした。
最近、毎日の日課になったオーランとのコーヒータイムは、近所のおじいさんの話や、夕飯の話。オーランの思い人の話しなどいつもだいたいたわいもない話題をすることが多い。
オーランが気を使ってか、私のことを聞くことはあまりなかった。
しかし、今日は珍しく「最近、少しスッキリしているようなお顔ですね。気持ちに何か変化でもありましたか?」と聞かれた。
特に気持ちに変化・・・というのはなかったが、城を出て2週間くらいだが、私にとってパトリックというのは大きい存在なのだと改めて認識していた。
それに、今までは平民だとばかり思っていたが、父の日記によると自分は正真正銘のフローレス家の娘であることに間違いはないようだ。
他にも、父がまさかフローレス家の人間で、伯父だったなんてわかった時には心底びっくりした。
誰もこんな下町の裏通りのおんぼろ小屋に貴族のお坊ちゃんが暮らしていたなんて思うわけはないと思うが・・・。
しかし思い返してみると、しっくりくる点がいくつもあった。
やたら博識だったし、食事マナーや挨拶などやたら口うるさかった。
それを思うと何になって欲しいと思いながら自分を育てていたのか、と少し不安になるが・・・
「す、すみません。焦らせないようにと言われていたのに・・・」
私が黙って考えこんでしまったせいかオーランは、私が気分を悪くしたとでも思ったのか慌てて謝った。
「あ、いや。大丈夫よ。ただ、パトリック殿下に会えないのは寂しいような感じがするけれど、こんな下町の娘が殿下の隣に並んでいるなんて知られたら、ご迷惑になるんじゃないかって不安だし。マナーもダンスも頑張っているけれど、やはり幼い頃から学ばれていらっしゃるお嬢様方は所作もとてもお綺麗で自分がそこまでできるのか心配になるわ。」
「それは、まさに恋というやつですね!」
「は?話聞いてた?」
少し息粗めにワクワクした表情でオーランは恋などと言っている。私の中で男性は色恋など面倒だと思っている人が多いと思っていたが、オーランはその想像の中の男性とは異なっているようだ。
「話は聞いていましたよ。でも、寂しくて、苦しくて。こんな感情は恋以外何があるんですか?」
オーランはキョトンとした表情でいった。
「はぁ・・・」
頭までお花畑の乙女のような考えのオーランについて行けず、ため息をついた。
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