36 / 223
36
ヒバリが身につける物は、自分が選び与えたものだけ。あの泰然自若とした様子を崩さなかったウォルメン閣下にそのような執着心があるのかと凪は内心で驚くが、先程の様子を見るにそれも間違っていないのかもしれないと思いなおす。
そんな、ウォルメン閣下の愛する小鳥が閣下の側を離れてこの宮殿に滞在するだなんて。凪は考えただけでもため息が零れ落ちて止まらない。
どうか極力ヒバリと関わることがありませんようにと胸の内で願う。
しかしその願いも虚しく、凪はヒバリと共に贋金の調査を行うようサーミフに命じられたのだった。
白亜の宮殿。
皮肉なことに、かつて凪が暮らしていた屋敷は近隣の人々からそう呼ばれていた。
まるで物語のお姫様が暮らしていそうな美しい建物に、整えられた広大な庭園。屋敷でお茶会が催される時は、子供であった凪も上等な衣装を着て、胸元には宝石をつけていた。歳の離れた異母兄に手を引かれて、大人の真似事のように夫人たちに挨拶をする。そんなことが頻繁であったから、勉強の他にも言葉遣いやテーブルマナー、ダンスに詩と、数えきれないほどの教養を身につけさせられた。
そんな、ウォルメン閣下の愛する小鳥が閣下の側を離れてこの宮殿に滞在するだなんて。凪は考えただけでもため息が零れ落ちて止まらない。
どうか極力ヒバリと関わることがありませんようにと胸の内で願う。
しかしその願いも虚しく、凪はヒバリと共に贋金の調査を行うようサーミフに命じられたのだった。
白亜の宮殿。
皮肉なことに、かつて凪が暮らしていた屋敷は近隣の人々からそう呼ばれていた。
まるで物語のお姫様が暮らしていそうな美しい建物に、整えられた広大な庭園。屋敷でお茶会が催される時は、子供であった凪も上等な衣装を着て、胸元には宝石をつけていた。歳の離れた異母兄に手を引かれて、大人の真似事のように夫人たちに挨拶をする。そんなことが頻繁であったから、勉強の他にも言葉遣いやテーブルマナー、ダンスに詩と、数えきれないほどの教養を身につけさせられた。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
春野くんち―僕の日常は、過保護な兄弟たちに囲まれている―
猫に恋するワサビ菜
BL
春野家の朝は、いつも賑やかで少しだけ過保護。
穏やかで包容力のある長男・千隼。
明るくチャラめだが独占欲を隠さない次男・蓮。
家事万能でツンデレ気味な三男・凪。
素直になれないクールな末っ子・琉生。
そして、四人の兄弟から猫のように可愛がられている四男の乃空。
自由奔放な乃空の振る舞いに、兄たちは呆れながらも、とろけるような笑顔で彼を甘やかす。
推しの運命を変えるため、モブの俺は嫌われ役を演じた
月冬
BL
乙女ゲームの世界に転生した俺は、ただのモブキャラ。
推しキャラのレオンは、本来なら主人公と結ばれる攻略対象だった。
だから距離を置くつもりだったのに――
気づけば、孤独だった彼の隣にいた。
「モブは選ばれない」
そう思っていたのに、
なぜかシナリオがどんどん壊れていく。
これは、
推しの未来を知るモブが、運命を変えてしまう物語。
裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。
みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。
愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。
「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。
あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。
最後のエンドロールまで見た後に
「裏乙女ゲームを開始しますか?」
という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。
あ。俺3日寝てなかったんだ…
そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。
次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。
「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」
何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。
え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね?
これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
悪の策士のうまくいかなかった計画
迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。
今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。
そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。
これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに??
王子は跪き、俺に向かって言った。
「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。
そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。
「ずっと好きだった」と。
…………どうなってるんだ?
あなたの愛したご令嬢は俺なんです
久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」
没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……