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トテトテと歩いてきたサクラが、器用に由弦の胡坐の間に納まって眠る。居心地の良い場所を求めてか、太ももに顔を乗せてフルフルと顔を振るから妙にくすぐったい。けれどその温もりが愛おしくて、グルグルと渦巻いていた思考は少し落ち着きを取り戻した。
そう、いつだってサクラは由弦の側にいて、味方になってくれる。
あの時だって、由弦の声に出さない感情を読み取って眠っている雪也に伸ばされた手の下に、柔らかな身体、を……。
(そんなこと、あったか?)
雪也と同居したのは、このルームシェアが初めてだ。この家は二階建てで、なおかつ部屋数もあるから、全員が個室を与えられている。先輩達だって扉を挟んで隣に住んでいるのだから、一緒に眠ったことなど無い。なのに、由弦の脳裏に浮かんだのは眠る雪也に、同じく横たわった紫呉が手を伸ばしている姿だった。自分は何故か、紫呉の隣で同じように横になっている。
そんな、川の字になるようにして寝たことなんて無いというのに。
「由弦~、いる~?」
またも思考の渦に呑まれそうになっていた由弦を、のほほんとした蒼の声が引き戻す。サクラの目は開いているものの動く様子はないので、由弦はそのまま扉に向かって「いる! 開けて良いぞ」と声をかけた。カチャリと小さな音をたてて蒼が顔を覗かせる。
そう、いつだってサクラは由弦の側にいて、味方になってくれる。
あの時だって、由弦の声に出さない感情を読み取って眠っている雪也に伸ばされた手の下に、柔らかな身体、を……。
(そんなこと、あったか?)
雪也と同居したのは、このルームシェアが初めてだ。この家は二階建てで、なおかつ部屋数もあるから、全員が個室を与えられている。先輩達だって扉を挟んで隣に住んでいるのだから、一緒に眠ったことなど無い。なのに、由弦の脳裏に浮かんだのは眠る雪也に、同じく横たわった紫呉が手を伸ばしている姿だった。自分は何故か、紫呉の隣で同じように横になっている。
そんな、川の字になるようにして寝たことなんて無いというのに。
「由弦~、いる~?」
またも思考の渦に呑まれそうになっていた由弦を、のほほんとした蒼の声が引き戻す。サクラの目は開いているものの動く様子はないので、由弦はそのまま扉に向かって「いる! 開けて良いぞ」と声をかけた。カチャリと小さな音をたてて蒼が顔を覗かせる。
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