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「はい、じゃぁ行きましょうか」
カゴを持って立ち上がる雪也の袖を、周が小さく引っ張る。
「一緒に行く」
小さく呟いて、雪也が何かを言う前にその手からカゴを取り上げる。駄目だなんて言わせないとばかりの態度にクスリと笑って、雪也は男に急かされるようにして庵を出た。
「ん? どっか行くのか?」
男の騒ぎ声が聞こえていたのだろう、由弦が扉の前で首を傾げている。周は怒っているのか口を開こうとしないので、苦笑した雪也が手短に事情を説明した。
「あ、なら俺も行く! 人手はあった方が良いかもだろ? サクラも行くぞ!」
ニカッと笑って言う由弦の声に、サクラも元気よく駆け寄ってきた。そんな全員で行く必要も無いだろうにと雪也は思うが、それにしてはどうしてか心が高揚している自分がいて、雪也は不思議そうに首を傾げる。だが考え込む暇など無くて、男に促されるままに茶屋へ向かった。
茶屋に近づけば異様なほどに人だかりができていて、その中心からは何を言っているのかよくわからない濁声が響いていた。耳を澄ませば女のすすり泣く声が微かに聞こえる。
カゴを持って立ち上がる雪也の袖を、周が小さく引っ張る。
「一緒に行く」
小さく呟いて、雪也が何かを言う前にその手からカゴを取り上げる。駄目だなんて言わせないとばかりの態度にクスリと笑って、雪也は男に急かされるようにして庵を出た。
「ん? どっか行くのか?」
男の騒ぎ声が聞こえていたのだろう、由弦が扉の前で首を傾げている。周は怒っているのか口を開こうとしないので、苦笑した雪也が手短に事情を説明した。
「あ、なら俺も行く! 人手はあった方が良いかもだろ? サクラも行くぞ!」
ニカッと笑って言う由弦の声に、サクラも元気よく駆け寄ってきた。そんな全員で行く必要も無いだろうにと雪也は思うが、それにしてはどうしてか心が高揚している自分がいて、雪也は不思議そうに首を傾げる。だが考え込む暇など無くて、男に促されるままに茶屋へ向かった。
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