280 / 984
279
しおりを挟む
「優、私を含めて、衛府の誰もが読み間違えてしまったようだ。華都はずっと、この隙を狙っていた」
衛府が開かれてより、約二百年。ずっと、ずっとこの時を彼らは待っていたのだろう。息をひそめて。
「〝華衛合体〟、そう唱え続けて此度、姫宮様の降嫁が実現した。傾いている衛府の権威を立て直し、この国を導くに足る力を、武力を使わず平和的に得ようと。そして同じように、華都でも〝華衛合体〟の声があちこちで上がっていた。摂家たちが帝に何度も訴えまでして、華衛合体のため姫宮様を茂秋公にと。だが、華都の言う〝華衛合体〟は全き尊皇のため。今度こそ、すべての政を行う権利を華都に取り戻さんとするためだ。それが今回ことこで痛いほどわかった。彼らはもう、容赦などしない。今こそが千載一遇の好機だ。そしてその大きな波を受け止め、抗うには、上様は――」
――若すぎる。
意図的に呑み込んだ弥生の言葉を、優は正確に理解していた。まだ二十と三年ほどしか生きていない年若い将軍には、荷が重すぎるだろう。まして尊皇に燃える華都側と違い、衛府は決して一枚岩ではない。長く権威を光らせていたが故の代償。光が強く大きいほど、影もまた大きく、濃い。
衛府が開かれてより、約二百年。ずっと、ずっとこの時を彼らは待っていたのだろう。息をひそめて。
「〝華衛合体〟、そう唱え続けて此度、姫宮様の降嫁が実現した。傾いている衛府の権威を立て直し、この国を導くに足る力を、武力を使わず平和的に得ようと。そして同じように、華都でも〝華衛合体〟の声があちこちで上がっていた。摂家たちが帝に何度も訴えまでして、華衛合体のため姫宮様を茂秋公にと。だが、華都の言う〝華衛合体〟は全き尊皇のため。今度こそ、すべての政を行う権利を華都に取り戻さんとするためだ。それが今回ことこで痛いほどわかった。彼らはもう、容赦などしない。今こそが千載一遇の好機だ。そしてその大きな波を受け止め、抗うには、上様は――」
――若すぎる。
意図的に呑み込んだ弥生の言葉を、優は正確に理解していた。まだ二十と三年ほどしか生きていない年若い将軍には、荷が重すぎるだろう。まして尊皇に燃える華都側と違い、衛府は決して一枚岩ではない。長く権威を光らせていたが故の代償。光が強く大きいほど、影もまた大きく、濃い。
2
あなたにおすすめの小説
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
兄の親友と恋人ごっこしています
さくら乃
BL
兄の親友を好きなことを隠して恋人ごっこをする話。
兄優雅の親友陸郎は兄が好き。そして、僕、温は陸郎が好き。
そのことを隠して「兄の代わりにしていいよ」と持ちかける。
恋人ごっこをしながらどうにか自分のことを本当に好きになって貰えないかと画策する。
表紙は自前の写真を加工して作りました。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる