必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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 荒れ狂う感情を鎮めようとするように、弥生はギュッと優の手を握る。そんな弥生に優しく微笑んで、優は顔を下げると、弥生の額に口づけを降らせた。
「僕は弥生の側にいるよ。もしも城に走らなければならなくなっても、すぐに弥生の側に帰ってくる。ずっと側にいるって、約束したからね」
 幼き日に、約束をした。それを違えることはしない。
「覚えていたのか?」
 クツリと、弥生は目を閉じたまま笑う。もう随分と昔の話なのに、よく覚えていたものだ。
「もちろん。忘れるわけないよ。あの日に約束してから、違えることなく側にいるでしょ? それはこれからも変わらない。僕は、約束を守る男だからね」
 優しく、しかし強い言葉を聞いて、弥生は無意識のうちに微笑む。その胸に広がったのは、何だったのだろうか。名をつけることもできぬ感情は、しかしとても温かくて、優しく心地よい。
「眠って良いよ。後は任せて。ちゃんと寝ないと、出来ることもできなくなる。頭が働かなくなっちゃうからね」
 だから、おやすみ――。
 耳元で囁かれ、髪を撫でる温もりの優しさと相まって、弥生の思考はどんどんと沈んでいく。小さく吐息を零して、弥生は促されるまま深い眠りについた。

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