必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「ッ――」
 周を庇うよう腕の中に抱き込み、投げられた鍋の蓋を雪也が手で払い除けたのだろう、乾いた音が地面を跳ねる。先程まで手を震わせていた雪也はしっかりと足で立ち、ほんのわずかに眉根を寄せただけで末子に視線を向けた。
「申し訳ないのですが、たとえどんな理由があったとしても周に向けられる暴力を見過ごすことはできないのですよ。必ず守ると、自分に誓いましたから」
 現状を考えれば異常なほどに穏やかな声で雪也は言う。しかし、その瞳は決して笑みを浮かべていなかった。
「これ以上何を話したところでお互い相容れないでしょう。紹介されたので縁していましたが、あなた方は〝気持ちの悪い〟私が煎じる薬など嫌でしょうから、これきりにしましょう」
 いただいた銭はお返しします。先程お渡しした薬も持ち帰りましょう。周をしっかりと抱きながら、淡々と雪也は言う。感情の見えないその声音に、末子も多恵も何も言えないようだった。
 さっさと長屋の中に入って、中から雪也が渡した薬包のすべてを持ってくる。そして代金を末子たちが見える木箱の上に置くと、籠の中身を見せて薬包以外の何も長屋から持ち出していないし、代金もそのまま返したことを示した。

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