必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「――ッッ」
 シンと、町中であるはずなのに静まり返る。人の声も、足音も、何も聞こえない。まわりで様子を見ていた者達は、周の叫びに視線を彷徨わせ、無言で顔を背けた。周に糾弾された末子は何を言うこともできず、しかし子供に反論されたという事実を受け入れることができないのか、雪也に投げつけようとしていた鍋の蓋を握る手が震えている。そして次の瞬間、末子は唇を噛み目を血走らせながら鍋の蓋を投げつけようと手を振り上げた。それを見ても、周は身じろぎひとつしない。
 あの時、周が元の主人と相まみえてしまった時、雪也はその背で庇ってくれた。二度と周が過去に怯えることがないように、光の道を歩めるようにと。
 今度は周が雪也を守る。絶対に守る。雪也が過去に囚われないように。苦しまないように。何も諦めなくて良いように。
 ギュッと、強く瞼を閉じる。痛みなんて、慣れている。大丈夫、この程度、何ほどのものでもない。
 爪が食い込むほどに強く拳を握った時、ふわりと熱いほどの温もりに周の身体は包まれた。

 ガタン――ッッ

 鈍い、鈍い音が耳元で聞こえた。慌てて瞼を開く。視界いっぱいの紺に、周は目を見開いた。
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