必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「雪也さんのせいではありません。雪也さんが悪いわけでは絶対にない。だから――」
 兵衛が必死になって雪也を守ろうとしてくれている声がどこか遠くに聞こえて、雪也は小さく己を嗤った。
 雪也のせいではない? いいや、これはすべて、雪也のせいだ。不穏な気配に気づいたその時に、周を連れて着の身着のままでいいから裏口を使って逃げればよかったものを。
 彼らを倒せると、少なくとも周を逃がすだけの時間は稼げるなどと己の力を過信した結果がこれだ。周が雪也を置いて逃げることなど無いと、少し考えればわかっただろうに。一緒に逃げていれば、もしかしたら由弦や蒼の元へ間に合ったかもしれないのに。馬鹿正直に敵と対峙し、退けようなどと愚策を弄した。
「どうして……ッ」
 どうして彼らがいないのだろう。どうして彼らがこれほどに冷たくなっているのだろう。どうして、間違いを犯した己が生きているのか。
「雪也さん」
 大切な家族を失って、さぞつらい事だろうと兵衛は理解するが、若衆はチラチラと扉の外を気にしている。兵衛も若衆も、表に転がっている男達の息があることは、僅かに上下する肩や胸でわかっていた。いくら強い衝撃で眠らされていたとしても、いずれは目を覚ます。ここに長居をすることは、それだけ危険に身を浸すことになるだろう。このまま雪也が動かないというのであれば、気絶させてでも兵衛の店に連れて行くしかない。兵衛の店は民家や店に囲まれた場所にある。そこならば、この庵のように襲撃することは難しいだろう。
 恩ある雪也に手をあげることは本意ではないが、今は仕方がない。兵衛が覚悟を決めて拳を握った時、ゆっくりと雪也が振り返った。虚ろな瞳が兵衛に向けられる。
「……二人を連れてきてくれて、ありがとうございます。ここはもう安全ではありませんから、お二人は逃げてください」
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