必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「雪也さん?」
 行こう、と手を差し伸べた兵衛にゆっくりと瞬いて、雪也は周を抱きしめたまま立ち上がった。ボタボタと血が溢れるが、そんなものはどうでもいい。一歩、一歩と鉛のように重い足を動かして、畳んだ布団を引っ張って敷くと、そこに周をゆっくりと横たえた。それを見て、何をするのかわからないままに兵衛と若衆の者も周の横に由弦と蒼を横たえる。
「雪也さん、ここから離れたくないのであればそれで構いませんから、まずは手当てをしましょう」
 外に男達が転がっている以上、この庵にいることはとても危険だ。しかし、雪也にとってこの庵は特別なもの。傷の手当ができるのなら今は譲歩して、彼が落ち着いた後で兵衛の店で保護しても良いだろう。あるいは、雪也が一番安心している春風の屋敷に送っても良い。だが雪也は何を言うこともなく、兵衛の手をとることもないままに、薬棚から薬包を取り出して懐に忍ばせ、柔らかで綺麗な布を手に取った。周が食事の用意のために汲んでいたのだろう水に布を浸し、絞ってから周たちの元へ戻る。
 周、由弦、蒼と、その顔についた血糊と煤をゆっくりと布で拭いとる。汚れが落ち、綺麗になったその頬を撫でれば、雪也の手に変えられぬモノだけが伝わった。
「ごめんね……」
 あんなにずっと一緒にいてくれたのに、護ってあげることすらできなかった。まだ三人とも、こんなにも若く、幼いというのに。
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