必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「…………」
 震える吐息を零しながら、幾度か深呼吸を繰り返す。そして深く深く息を吐き、弥生は杜環の瞳をしっかりと見つめた。
「……ッ、まずは、紫呉をここまで連れてきてくださったこと、ありがとうございます。仕方のない、必要なことであるとはいえ、近臣はすべからく蟄居中ですから、私が紫呉を迎えに行くとしても白骨化するまで雨風に晒されていたことでしょう。このように綺麗な姿で再び会わせていただけたことに、感謝は尽きません」
 大切な、大切な友だ。幼い頃からずっと一緒だった。あの快活な笑みに何度救われ、何度背中を押され、何度大切なモノを与えられただろうか。
「予感は、していたのです。あれほどの数を、それも烏合の衆ではなく訓練された武人を相手に一人でなど、無茶以外の何ものでもない。けれど私を生かす為なら彼は譲らず、あの時は彼に戦ってもらう以外の選択肢を私は考えつくことができなかった」
 酷い怪我をして昏睡状態であるとはいえ、月路はこの屋敷に帰ってきた。けれど待っても待っても、紫呉は姿を現さなかった。普通に考えればわかることだ。いくら強くても、あの場に紫呉はたった一人だった。武器を充分に持つ大勢の敵を前に、無事でいるなどあり得ない。
「わかっていて、ほんの微かな希望に縋りついたは、子供のように奇跡を信じたかったは、私の愚かさゆえです」
 捨てきれなかった、きっと帰ってくるという願い。それは叶った。弥生が願い続けた形では、なかったけれど。
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