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④じいちゃんのいい分
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あさ、じいちゃんと かおをあわせたオレは、さくやのゆめをはなした。
「じいちゃんが、オレのこと【本の虫】なんて 言うから、そんへんなゆめ見ちゃたんだー」
うらみがましく、口にすると
「ふぉ、ふぉ、ふぉ。それはわるかったのぅー」
じいちゃんは、オレのあたまを なでる。
「でもな空、本の空はほめことば なんじゃよ」
「ほめことば?」
ぎわくの目を向けたオレに
「今はあまりつかわんことばじゃから、空がしらなくても しかたないかもしれんが…。
【本の虫】というのは、もともと、本をたくさんよんで ちしきをいっぱいもっている人、頭のいい人、といういみでつかわれとったことばなんじゃ。
今みたいにネットなどない時代じゃったから、何かをしりたいと思ったら、本をよみあさるしかなかったんじゃ。
じゃから、つい、空のことも、本の虫とひょうげんしてしまったんじや
けっしてイジワルで、言ったわけじゃないぞ!」
じいちゃんは、そのばにこしをおろし、あぐらをかいた。
そして そこにオレをすわらせると
「それになぁいも、空はあくむと言うとうたが、ワシはそんなにわるいゆめだとは思わん」
「なんで?」と言うようにふりかえると
「イモムシのじょうたいでかんじた くうふくは、空の向上心のあらわれじゃと思う。
本をよむことで、もっとちしきをきゅうしゅうしたい と思っている空のかくれたいしきが 見せたゆめ じゃと、ワシは思う。
大人になると、きれいなはねを見せるチョウチョや、大きなツノをもつ かっこいいカブトムシやクワガタムシもみんな、さいしょはイモムシじゃ
イモムシのじょうたいで、たくさん食べてたくわえ、サナギになり、セイチュウにしんかする。
それと同じように、 空も小学生の今 たくさんのちしきをきゅうしゅうして、いずれ、チョウのように きれいにはばたこうと、むいしきにかんがえとるのかもしれんぞ」
そう言って、じいちゃんはわらった。
「そうかなー?..」
オレはじいちゃんのひざの上で、なんども首をひねった。
そのたびに、じいちゃんはわらって、あたまをなでれくれた。
この日は、まだ先日の本をよみおわってなくて、ミッションクリアとはいかなかったが、
ごじつ、なんとか とまっているあいだに、本をよみおえることができ
ぶじ、じいちゃんに そのないようをはなすことができた。
そのあとも、ひんぱんに ばあちゃんをおとずれては、じいちゃんに よんだ本のことを はなしてきかせた。
そして、ある日、気がついた。
そのこうどうが、今までにしたどくしょのぶくしゅうになっていることに。
それまでは、ただ ばくぜんと きゅうしゅうしていただけだったものが、
このこういのおかげで、めいかくに【ちしき】として、オレの中に ていちやくされている。
同時に、はじめのころは ひんぱんに じいちゃんのしつもんぜめにあっていたオレのせつめいも、回をかさねるごとに
じょうたつし、キチンとようてんをおさえて はなせるようにかわっていった。
そのご、じいちゃんの体ちょう あっかにより、たびたび オレとの【おはなしかい】は、中止となった。
ところが、みまいにおとずれるたびに、はなしをせがむから。
けっきよく、じいちゃんが亡くなるまぎわまで、それはつづいた。
「じいちゃんが、オレのこと【本の虫】なんて 言うから、そんへんなゆめ見ちゃたんだー」
うらみがましく、口にすると
「ふぉ、ふぉ、ふぉ。それはわるかったのぅー」
じいちゃんは、オレのあたまを なでる。
「でもな空、本の空はほめことば なんじゃよ」
「ほめことば?」
ぎわくの目を向けたオレに
「今はあまりつかわんことばじゃから、空がしらなくても しかたないかもしれんが…。
【本の虫】というのは、もともと、本をたくさんよんで ちしきをいっぱいもっている人、頭のいい人、といういみでつかわれとったことばなんじゃ。
今みたいにネットなどない時代じゃったから、何かをしりたいと思ったら、本をよみあさるしかなかったんじゃ。
じゃから、つい、空のことも、本の虫とひょうげんしてしまったんじや
けっしてイジワルで、言ったわけじゃないぞ!」
じいちゃんは、そのばにこしをおろし、あぐらをかいた。
そして そこにオレをすわらせると
「それになぁいも、空はあくむと言うとうたが、ワシはそんなにわるいゆめだとは思わん」
「なんで?」と言うようにふりかえると
「イモムシのじょうたいでかんじた くうふくは、空の向上心のあらわれじゃと思う。
本をよむことで、もっとちしきをきゅうしゅうしたい と思っている空のかくれたいしきが 見せたゆめ じゃと、ワシは思う。
大人になると、きれいなはねを見せるチョウチョや、大きなツノをもつ かっこいいカブトムシやクワガタムシもみんな、さいしょはイモムシじゃ
イモムシのじょうたいで、たくさん食べてたくわえ、サナギになり、セイチュウにしんかする。
それと同じように、 空も小学生の今 たくさんのちしきをきゅうしゅうして、いずれ、チョウのように きれいにはばたこうと、むいしきにかんがえとるのかもしれんぞ」
そう言って、じいちゃんはわらった。
「そうかなー?..」
オレはじいちゃんのひざの上で、なんども首をひねった。
そのたびに、じいちゃんはわらって、あたまをなでれくれた。
この日は、まだ先日の本をよみおわってなくて、ミッションクリアとはいかなかったが、
ごじつ、なんとか とまっているあいだに、本をよみおえることができ
ぶじ、じいちゃんに そのないようをはなすことができた。
そのあとも、ひんぱんに ばあちゃんをおとずれては、じいちゃんに よんだ本のことを はなしてきかせた。
そして、ある日、気がついた。
そのこうどうが、今までにしたどくしょのぶくしゅうになっていることに。
それまでは、ただ ばくぜんと きゅうしゅうしていただけだったものが、
このこういのおかげで、めいかくに【ちしき】として、オレの中に ていちやくされている。
同時に、はじめのころは ひんぱんに じいちゃんのしつもんぜめにあっていたオレのせつめいも、回をかさねるごとに
じょうたつし、キチンとようてんをおさえて はなせるようにかわっていった。
そのご、じいちゃんの体ちょう あっかにより、たびたび オレとの【おはなしかい】は、中止となった。
ところが、みまいにおとずれるたびに、はなしをせがむから。
けっきよく、じいちゃんが亡くなるまぎわまで、それはつづいた。
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