なんでも 1ばん

hanahui2021.6.1

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なんでも一ばん。  1

さいきん、みなとは【一ばん】にハマっていた。

かけっこが、一ばんはもちろんのこと、【うた】も【おえかき】でも、かならず先生にほめられる。
だからといって、いばってるつもりはないのだが…
【あそびのじかん】に、すきなおもちゃをゆうせんてきに、とることができた。

この日も、お気に入りの【せんたいヒーローの人ぎょう】をもって、友だちのまさひろとあそぼうとおもっ
ていた。
ところが、
「いつも、みなとばっかりズルイ!!ぼくもヒーローやりたい!!」
まさひろと、言いあいになり、
「コレ、みなとのじゃないじゃん!!」などと、やりあっているうちに、おたがい、ばくはつした。
しまいには
「ほんとうは、いつもいっしょにあそぶのイヤだったんだよね」という
さいしゅうせんこくのようなことば までとびだし【ぜっこう】ということで、おちついた。 

まさひろとわかれてすぐのことだった。
見たことのない子どもに うでをつかまれた。
「ちょっといいかな」
うむを言わさず(よいもわるいも、かくにんすることなく)きょうしつのすみに引っぱっていかれる。

..*+☆.**+☆+*..

すうふんご、ボクはいくども、またたいていた。
目の前にペンギンがいる。
さきほどの見しらぬ子どもは、きょうしつのすみまでくると、すがたをかえた。
【はね】のはえた赤ペンギンに。
『コレどーなってるんだ?』
きょうみをかきはたてられたボクは、ペンギンのまわりを見て回ろうとして
「あのさ…このままでいいペンか?」
とめられた。 
かんぜんにあたまの中を ペンギンでうめつくされていたボクは、
はなしかけられたとき、なんのことかわからず、しゅんじに はんのうすることが出来なかった。
「トモダチとぜっこうしたままでいいのか?ペン」
あらためて してきされ、ボクはぎゃくギレする。
「オマエにかんけいないだろ!!」
どなるボクに あわれみの目をむけたあと、
「かんけいあるペン。そのためにきたんだペン」
どうだ!?とばかりに小さなむねをはり、ことばをつむぐ。
「かんけいある!?」
いぶかしげに、くりかえすボクに
「みなとは、どういう大人になりたいペン?」
しつもんされ
「どういう大人って…エライ人!?かな」 

とつぜんきかれ、なにもおもいつかなかったボクは、とりあえず、そうこたえた。

「えらいって【みぶん】ペンか?【せいじか】とか【おいしゃさん】ってことペン?」
ぐたいてきに、しょくしゅをしぼりたずねてくる。
「そーいうんじゃなくて、【とく】のある人っていうのかな!?【おぼうさん】みたいな人だよ!!」
「なら…人のこと、オマエってよんでるばあいじゃないペン!」
ボクのことをうらみがましく見たあと
「とりあえず、しゅぎょうがひつようだな…【しゅぎょう】」
いじわるく、ほほえむ。
しかし、しゅぎょうということばを耳にしたとたん、あたまの中で【たきにうたれるおぼうさん】のえがひろがり、

 
「もしかして、しゅぎょうって、たきにうたれるのか!?」
とびつくように、たずねたボク。

ペンギンはそんなボクを、ジトーッと、あざわらうような目で見たあと
「なわけないだろ!」
すかさずつっこんだ。

コホン…

ばを しきりなおすように、いちど せきばらいすると

「ことわざに【わがみつねって人のいたさをしれ】ってことばがあるペン。
その人になってみないと、どのくらい いたいのかしることはできないっていみだけど。
こんかいは、このだいざいにちょうせんしてみようと おもってるんだペン」
ゆっくりと口をひらく。 

「このままいくと、きみは かくじつに【おぼうさん】どころか、人のいたみのわからない大人になってしまうペン」
「だから!それじやイヤなんだっていってるだろ!!」
げっこうしたボクに
「人のはなしは、おとなしくきく!!ペン。だからそうならないための、しゅぎょうなんだペン!!
ちなみにぼくは、サラダっていうペン」
サラリと、じこしょうかいもはさむ。
「しゅぎょうといっても、なにもむずかしくないペンよ。だいして【かわりみのじゅつ】だペン!!」
「かわりみのじゅつ!?」
くりかえし、つぶやくと。
「そぉ!にんじゃみたいで、カッコイイだろペン!!」
サラダは、【どうだ!!】と ばかりに、むねをはり、はなをならす。

 
「そうだな!…おわりに【ペン】が、つかなければな!!」
わずかでもやりかえそうと、ボクはいじわるを、くりだす。そんなボクのいやみを、サラリと【むし】し、サラダは、つづきをはなしだした。
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