あわてんぼう パパ

hanahui2021.6.1

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④ ママって あったかいんだね!

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お弁当の時間。
やっぱりひなちゃんのお弁当は、いつもと同じく キャラ弁だった。
にんじんのお花が たくさん咲いている中に、うさぎさんのいる 可愛らしいものだった。
そしてーーーふたを開けて ビックリ‼
なんと!
あたしのお弁当も…ひなちゃんと同じものだった。
「わぁ!おそろいだねー」 
ひなちゃんは、手元のお弁当をのぞいて、呑気に はしゃいでいる。
しかし 当事者のあたしは、それどころではなかった。
「こんな可愛いの…あたしにまで…。
おばさん、すごく大変だったんじゃないかな?」 
顔を青くして つぶやくあたしに 
「イヤ ワリと、ノリノリだった 気がする…」
りちぎに 返事するひなちゃん。

++++++++++++++

お弁当のお礼を言うために、
帰り道 ひなちゃんの家に たちよることになった。
迎えにきた おばあちゃんに連れられて、ひなちゃんと一緒に 幼稚園を出る。
そして ひなちゃん家で、そろって おやつを食べていると、おばさん(ひなちゃんママ)が帰ってきた。
あたしとひなちゃん、2人そろって
「「おかえりなさい」」 出迎えると、
おばさんは 一瞬 おどろいて固まり、
でも、そのすぐ後には ニッコリとほほえんで
「あらー! 可愛い子たちに出迎えられて
私って 幸せ者ねー」 うれしそうに、私たちを ギュッと腕の中に抱え込む。
案のじょう。
「もぉ~ ママ 苦しいよ~」
すぐさま ギブアップしたのは、ひなちゃんだった。
「グスン…ひなは、冷たいなー」 
口を くちばしみたいに とがらせて、腕のチカラをゆるめる おばさん。
その眼差しは、文句を口にしながら とっても 優しい。
一方の あたしは、
ママっていうのは、いい匂いで、フワフワって やさしい。
ポッカポカしていて、まるで お日様みたいに あったかくて安心するもんなんだな!って感動していた。
だから つい、離れたくなくて、そのまま おばさんに ひっついたままでいた。
「あれ? さくらちゃんは、そのままでいいの?」 声 かけられて、
『あっ!他人のクセに なれなれしかったよね?…やっぱり…』
そう思って、少し 体を離そうとして、それでも これだけは言わなきゃ と
「あっ! お弁当ありがとうございました」 お礼を言ったあたし
そんなあたしの様子に、おばさんは やや顔をしかめながら。
「大丈夫だった? 嫌いなものとか、入ってなかった?」
なおも あたしの心配をしてくれるから
「大丈夫です。 あたし、好き嫌いしないように って いつも言われてるんです。
それより、あたしの分まで あんなに可愛く作ってくださって、おばさん 大変じゃなかったですか?」
「うんん、私は楽しかったわよ。
それより さくらちゃんは、好き嫌いしないなんて エラいわねー。
ひな なんて…好き嫌いばっかりよ‼ …まったく…」
苦笑まじりに ほほえんで、再び あたしを 胸に引き寄せた。
「さくらちゃんは、もっと わがままになって良いと思うよ!
そんなに、いつもガマンばかりしてたら、そのうち爆発しちゃうよ」
あたしを 腕に閉じ込めたまま、あやすように ユラユラと ゆれはじめた。
「もっと まわりの大人に、自分の気持ち 打ち明けて良いと思うよ。
今回は、たまたま おばさんが気づいたけど、お弁当のことだって おばあちゃんに言ってみたら?
それで もし、おばあちゃんがムリそうだったら、
毎回 おばさんが、作るようになっても かまわない。…」
そんな! そんなのダメです!
これ以上の迷惑は…」
おばさんの言葉をさえぎり、思わず声を上げる。
そして またしても、エンリョしようとしたあたしに。
「こら! さくら‼
さっき、もっと わがままになって良いって 言ったばかりじゃない!」
おばさんは、ちょっと怒った顔を 崩さないまま
「それにね、自分の気持ちは、
ちゃんと 言葉にしないと、他人には 伝わらないんだよ。確かに さくらちゃんはいい子だけど、
いつも我慢のしすぎで そこの部分が できてないんじゃないかな?
少し キビシイ言い方になっちゃうけれど、
さくらちゃんには、ママがいなくて、かわいそうだなって確かに思う。
それに、そのために、自分がしっかりしなきゃって、
いつも さくらちゃんが頑張ってることも 知ってる。
だからって、【できなくて良い】って ことにはならないよね?」

「それに これでも おばさんは、
【さくらちゃんの第2のママ】 のつもりで居るんだけどな。
だから おばさんには、なんでも話してほしい…って思ってる」

「それとも、おばさんじゃ ダメなのかな?
もっと 他の人の方が良い⁇」
「そんな…」
それきり、下を向いて だまりこんでしまった あたし。
「じゃあ、お願いします。 
私を さくらちゃんのママにしてください‼」
その言葉を耳にした途端、あたしの目から ツゥーと、涙がこぼれ落ちた。
それを かわきりに、次々と 涙があふれ出してきて、
あたしは、コクンと 返事の代わりにうなづくことしかできなかった。
おばさんは、そんな あたしをヨシヨシと なでながら
「あー良かったー!」
安堵したように つぶやいた。
「それじゃ、まず今日は、お夕飯、ウチで食べていこうか!」
と言ってから「また今度、抱っこしてあげるから。腕はなしても いいかな?」
耳元でささやいた。
あたしは今度は、恥ずかしくて、またコクンと首を縦にふるのだった。。


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