筋肉執事とヤミの聖女〜筋肉を愛する執事は魔王の魂を持つ聖女に溺愛される〜

またたび五郎

文字の大きさ
5 / 11

4話 調査とスラム街の主

しおりを挟む
 あれから数日経ったが事態は特に進展は無かった。
 
 あったとすればカルト教団と思わしき痕跡を教会騎士達が見つけてきた事ぐらいだろう。
 
 グレイもミリアリアが教会で聖女としての勤めを果たしている間に独自で調査を進めてはいるが芳しくはない。
 
 そもそも戦女神のアレスが見つけれないモノを普通に捜査して見つけると言う方が無理な事だろう。
 
「しょうがないか......変に巻き込みたくは無かったけど状況が状況だ」
 
 ならば普通ではない道を使うまでだ。
 
 グレイは迷う事なく路地裏へ入って行く。
 
 徐々に人気と活気が無くなっていき陽の差さない陰気な場所へと変わって行った。
 
 いくら聖女の住む街でも、いくら善政を布いた場所だとしても必ずこう言う場所は存在する。
 
 スラム街。
 
 かつてグレイが産まれた忌まわしき場所と同じように世間から弾かれた者の掃き溜めだった。
 
 数年前までは。

 日は差し込まず陰鬱とはしているがそこにある床や壁の汚れは非常に少なく、露店や宿屋など小さいながらも生活に必要な建物が複数見える。
 
 そこに住む人も同様だ。
 
 少し服は汚れてはいるが不潔という程ではなく血色もよい。
 
 何より目が死んでいない。

 其処を自分の庭のように迷う事なく歩を進めると1人の男性がグレイを見つけ駆け寄ってきた。
 欠けた前歯で屈託なく笑う男はどこか愛嬌がある。
 
「おや旦那 今日は休みですかい?」
「お嬢が表教会で祈祷中だから終わるまでの時間潰しさ。ついでに裏教会へ顔を出そうかと思ってな」
「そりゃあナイスタイミングでさぁ! シスターも旦那に用事があると言ってやしたぜ」
 
 コレは来て正解だったな。
 
 グレイは男と別れてスラム街を歩く。
 
 すれ違う娼婦や酔っ払いに絡まれながらどうにか掃き溜めの最奥へ辿り着いた。
 
 スラム街で唯一日差しが差し込む場所であり、比較的治安の悪いスラム街でどんな事があろうとも敵に回してはいけないスラムの支配者の住む場所。
 
 グレイは小さく息を吐き意を決して扉に手をかけた。
 
「あらぁ! いらっしゃい」
 
 其処には漢がいた。
 
 厚い胸板に丸太のような四肢、人を殺せるほどの鋭い眼光。
 厚い唇に短く刈り上げた厳つい髪型。
 
 だがシスターだ。
 
 仕草は上品で女性らしく、聖都で流行の口紅をさりげなく使い修道服を1部の乱れも無く着こなす。
 
 間違いなくシスターだ。
 
「もうどうしたのグレイちゃん! 遠慮しないで座りなさいよぉ」
 
 シスターが近づいてくる。
 
 思わず足が後退りそうになるのを必死に耐える。
 
 グレイ的に仲が良いと思っているし、決して嫌でも苦手な訳でもない。
 
 訳ではないが、この独特な威圧感に慣れるまでに時間が欲しいだけだ。
 
 腕を掴まれた。
 
「今なら懺悔室空いてるからそこでお話ししない?」
 
 耳元で囁かれた、グレイは冷や汗を流しながら有無を言わさないシスターに頷く以外の選択肢は残されては居なかった。
 
 頷いたのを確認したシスターは、鮮やかな手際でグレイを担ぎ懺悔室へ押しこんだ。
 
 其処でグレイが気を取り直して本題に入ろうとするとシスターが先に口を開いた。
 
「それで魔族達のことを聞きたいのかしら?」
 
 流石はシスター、情報が早い。
 
「やっぱりシスターの耳にも入ってたか」
「勿論よぉ、裏じゃ有名よ? 信仰心の薄い人達が各地で行方不明になってるってね。情報が集まらないわけが無いわよ」
「それにコレを見て」
 
 シスターはグレイの手元に2枚の紙を手渡してきた。
 
 そこにはシスターを魔族へ引き抜きたいと書き連ねた手紙。
 
 何処かたどたどしい文章にワームが這ったような綺麗とは言い難い文字。
 
 さらに2枚目には見たこともない魔法陣が描かれていた。
 
 手紙中身を確認しながらグレイは考える。
 
 それにしても、どうしてシスターを勧誘したんだ?。
 
 仮にも教会所属だぞ? いくらなんでも迂闊すぎると思うが。
 
 とグレイが思考に沈んだ瞬間に1つの仮説が私の中に過った。
 
 もしかしてシスターのことを魔族と勘違いしたんじゃ。
 
「おい何考えた」
 
 そんなわけ無いですよね!。
 
 こんな美人なシスターを魔族と勘違いするなんてあり得ませんよね!あははは......怖いなぁこの人。
 
「どうかしたか?」
「なんでも無いわよん! それでね? コレを使えば勧誘に来た魔族に会えるわよ」
「マジで?」
「えぇマジよ! 最初聞いた時に正気を疑っちゃった」 
 
 グレイは敵ではあるが魔族の迂闊さに対して頭を抱えた。
 
 勿論、迂闊な方がコチラとしてはありがたいが......ありがたいが組織としてはどうなんだ?。
 
 とりあえずグレイはシスターと知り合えていた己の幸運に感謝することにした。
 
「こっちで預かっても?」
「全然良いわよ! どうせ持ってても面倒ごとしか無いだろうしねぇ」

 シスターに手紙を押し付けられ、小難しい話はコレで終わりとシスターはニコニコとグレイの肩へ手を置き。
 
「さぁどうせ来たのならお茶していきなさい。最近グレイに会えなくて寂しかったのよん」
「お茶ぐらい何時でも相手するぞ? まぁお嬢が表教会にいる時だけだが」 
 
 グレイは知らない。
 
 今頃、教会では大司祭が聖女の漆黒の魔力に胃を痛めている事を。
 
 世界を通して監視していることを。
 
 そんな事は想像もしないグレイはシスターと時間まで談笑を続けるのだった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...