君のためだと言われても、少しも嬉しくありません

みみぢあん

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20話 衝撃

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 晩餐ばんさんの席で私のお父様、スリンドン子爵が継母のローザ様と離婚し、私に会いたがっているとアルフレッド様から聞き… 私は困惑こんわくしていた。


「今さら私に会って… お父様は何がしたいのかしら?」
 もしかして… 私への仕打しうちを反省して謝罪したいとか? そんなモノはいらない。 何もかも遅すぎる。 私はもう、お父様を家族だとは思っていないから。

「マリオンはお父上に会いたいか?」

 心配そうに顔を曇らせたアルフレッド様にたずねられ、私は首を横にふった。

「できれば会いたくないわ。 お父様の顔を見たらうらみごとをならべて、見苦しくののしってしまいそうだから」
 そんな自分はみにくくて嫌い。 心が真っ黒に汚れてしまう気がする。 できれば綺麗な心でアルフレッド様と結婚したい。

「それなら… これからもマリオンがスリンドン子爵と、顔を合わせずに済むようにしよう」

 アルフレッド様とよく似たするどい眼差まなざしを私にむけて、お義父様が自分に任せなさいと力強くうなずいた。
 お義母様や長男夫妻も同じようにうなずき、ニコリと笑う。

「ありがとうございます、お義父様」

 私はホッ… とため息をつく。 そんな私を見たアルフレッド様も、ため息をついて笑う。
 
「それにしても、アルフレッド様… なぜお父様はローザ様と離婚したのでしょうか?」

 私がたずねると、アルフレッド様の顔からスッ… とえみが消えて、けわしい表情が浮かぶ。

「ああ、それは……」

「アルフレッド様…?」
 やっぱり、お父様の離婚の理由を知っているのね?

「……スリンドン子爵の話では、奥方が子供の父親が子爵だといつわって結婚したからだと聞いた」

「何ですって…?!」
 弟のティエリーがお父様の子ではないということ?!

「奥方… いや、ローザ嬢が昔の恋人にそのことで脅迫きょうはくされて、金を払っていたことを子爵が知り、追及したことで嘘が発覚したということだ」
「昔の恋人? まさか、その人が弟の父親だと…?!」
「子爵にはそう聞いた」
「そんな… ティエリーが?!」

「スリンドン子爵邸の近くにある宿に元恋人が泊まり、ローザ嬢と定期的に密会していた。 宿の主人と親しくしている使用人がそのことを聞き、スリンドン子爵に報告したらしい」

 …そしてお父様は元恋人がローザ様と会うために、宿に泊まりに来た時をねらい、元恋人を捕まえて聞きだしたのだ。


「あのティエリーが?」
 信じられない。 あの子は私の弟ではないなんて……

 衝撃を受けてぼうぜんとする私の身体は震えだし、ガクリと力が抜けた。 アルフレッド様が支えてくれなければ、椅子から転げ落ちていただろう。


 そのままアルフレッド様に抱きあげられ、私は自室へとつれて行かれた。





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