婚約者に好きな人がいると言われ、スパダリ幼馴染にのりかえることにした

みみぢあん

文字の大きさ
6 / 21

5話 父親

しおりを挟む



 バラスター公爵家から帰宅すると… 自分の部屋にはゆかず、お父様と話をしようと、まっすぐ執務室へむかった。



「他に好きな人がいる? エミール君がそんなことを言うなんて… 信じられないな。 アンリエッタの聞きまちがいではないのか?」
 お父様は首をかしげ、私の言葉をうたがった。

「絶対に、聞きまちがいではありません!」
 イザークお兄様に話したのと、同じ内容を聞かせたのに… お父様の反応はお兄様と大きくちがい私はガッカリした。

「だが… 私にはエミール君がお前に、好意をよせているように見えたが? お前はそそっかしいところが、あるからな…」

「婚… 婚約者だから… 自分の浮気を応援しろとまで、言われたのに? お父様はそれも私が、聞きまちがえたと言うのですか?!」
 すぐに婚約解消はできなくても、お父様もきっとイザークお兄様のように、私の気持ちを理解してくれると信じていたのに!

「だが、お前たちの結婚は、子供のころから決まっていたことだからな」
「すぐに婚約解消はできないと、わかっています。 でも…… 今までと同じではいられません」

「アンリエッタ、少し落ちつきなさい。 たぶん… エミール君の気の迷いだろう。 しばらく我慢して待ってあげなさい」
 お父様はハァ―――…… と大きなため息をつく。

「私は…… エミール様と結婚するぐらいなら… 一生、女神様につかえる神官の道へすすむほうが良いわ!」
「何てことを言うんだ、アンリエッタ!」

「とにかく、絶対に嫌です!」
 イザークお兄様になぐさめられ、せっかく落ちついていたのに、私はまた癇癪かんしゃくを爆発させそうになる。

「お前は言い出したら、聞かないからな。 そういうお前も悪いのだぞ?」
「何がですか?」
「エミール君の気持ちも、私は理解できる。 アンリエッタ、お前はイザークきょうと仲が良すぎるからだ」
「でも、兄と妹以上の親しさではありません」

「本当にそうか? お前の中で婚約者のエミール君とくらべて、幼馴染おさななじみのイザークきょうのほうが、結婚相手として好ましいと、考えたことはなかったか?」

「お父様のほうこそ、イザークお兄様がエミール様よりも、男性として格上だと考えているから… こんな話をするのでしょう?」

「それは……」
 私の指摘してきがずぼしだったらしく、お父様は顔をしかめ、急にだまりこむ。

「私と同じ年齢のエミール様は、イザークお兄様よりも、5歳も年下です。 だからお兄様よりも未熟みじゅくなのはわかります… 5年後にはもっと頼りになる男性になると、今までは信じていましたが……」
 もう、そんなふうにエミール様を信じたり、期待するはできない。

「ど… どちらにしても、すぐに結論は出せない。 とりあえずアップトン男爵と話し合ってみよう」

「はい」
 お父様でさえ、こんな反応なら… きっとエミール様のお父様、アップトン男爵もにたような反応をするだろう。

 本当に私はだまって我慢するしかないの?




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「きみ」を愛する王太子殿下、婚約者のわたくしは邪魔者として潔く退場しますわ

間瀬
恋愛
わたくしの愛おしい婚約者には、一つだけ欠点があるのです。 どうやら彼、『きみ』が大好きすぎるそうですの。 わたくしとのデートでも、そのことばかり話すのですわ。 美辞麗句を並べ立てて。 もしや、卵の黄身のことでして? そう存じ上げておりましたけど……どうやら、違うようですわね。 わたくしの愛は、永遠に報われないのですわ。 それならば、いっそ――愛し合うお二人を結びつけて差し上げましょう。 そして、わたくしはどこかでひっそりと暮らそうかと存じますわ。 ※この作品はフィクションです。

何度時間を戻しても婚約破棄を言い渡す婚約者の愛を諦めて最後に時間を戻したら、何故か溺愛されました

海咲雪
恋愛
「ロイド様、今回も愛しては下さらないのですね」 「聖女」と呼ばれている私の妹リアーナ・フィオールの能力は、「モノの時間を戻せる」というもの。 姉の私ティアナ・フィオールには、何の能力もない・・・そう皆に思われている。 しかし、実際は違う。 私の能力は、「自身の記憶を保持したまま、世界の時間を戻せる」。 つまり、過去にのみタイムリープ出来るのだ。 その能力を振り絞って、最後に10年前に戻った。 今度は婚約者の愛を求めずに、自分自身の幸せを掴むために。 「ティアナ、何度も言うが私は君の妹には興味がない。私が興味があるのは、君だけだ」 「ティアナ、いつまでも愛しているよ」 「君は私の秘密など知らなくていい」 何故、急に私を愛するのですか? 【登場人物】 ティアナ・フィオール・・・フィオール公爵家の長女。リアーナの姉。「自身の記憶を保持したまま、世界の時間を戻せる」能力を持つが六回目のタイムリープで全ての力を使い切る。 ロイド・エルホルム・・・ヴィルナード国の第一王子。能力は「---------------」。 リアーナ・フィオール・・・フィオール公爵家の次女。ティアナの妹。「モノの時間を戻せる」能力を持つが力が弱く、数時間程しか戻せない。 ヴィーク・アルレイド・・・アルレイド公爵家の長男。ティアナに自身の能力を明かす。しかし、実の能力は・・・?

貴方に私は相応しくない【完結】

迷い人
恋愛
私との将来を求める公爵令息エドウィン・フォスター。 彼は初恋の人で学園入学をきっかけに再会を果たした。 天使のような無邪気な笑みで愛を語り。 彼は私の心を踏みにじる。 私は貴方の都合の良い子にはなれません。 私は貴方に相応しい女にはなれません。

殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!

さら
恋愛
 王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。  ――でも、リリアナは泣き崩れなかった。  「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」  庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。  「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」  絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。  「俺は、君を守るために剣を振るう」  寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。  灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

一年だけの夫婦でも私は幸せでした。

クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。 フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。 フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。 更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。

契約結婚の終わりの花が咲きます、旦那様

日室千種・ちぐ
恋愛
エブリスタ新星ファンタジーコンテストで佳作をいただいた作品を、講評を参考に全体的に手直ししました。 春を告げるラクサの花が咲いたら、この契約結婚は終わり。 夫は他の女性を追いかけて家に帰らない。私はそれに傷つきながらも、夫の弱みにつけ込んで結婚した罪悪感から、なかば諦めていた。体を弱らせながらも、寄り添ってくれる老医師に夫への想いを語り聞かせて、前を向こうとしていたのに。繰り返す女の悪夢に少しずつ壊れた私は、ついにある時、ラクサの花を咲かせてしまう――。 真実とは。老医師の決断とは。 愛する人に別れを告げられることを恐れる妻と、妻を愛していたのに契約結婚を申し出てしまった夫。悪しき魔女に掻き回された夫婦が絆を見つめ直すお話。 全十二話。完結しています。

好きじゃない人と結婚した「愛がなくても幸せになれると知った」プロポーズは「君は家にいるだけで何もしなくてもいい」

佐藤 美奈
恋愛
好きじゃない人と結婚した。子爵令嬢アイラは公爵家の令息ロバートと結婚した。そんなに好きじゃないけど両親に言われて会って見合いして結婚した。 「結婚してほしい。君は家にいるだけで何もしなくてもいいから」と言われてアイラは結婚を決めた。義母と義父も優しく満たされていた。アイラの生活の日常。 公爵家に嫁いだアイラに、親友の男爵令嬢クレアは羨ましがった。 そんな平穏な日常が、一変するような出来事が起こった。ロバートの幼馴染のレイラという伯爵令嬢が、家族を連れて公爵家に怒鳴り込んできたのだ。

処理中です...