君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。

みみぢあん

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10話 婚姻無効2

 マリエルが初夜をこばんだだけでも腹がたつのに、モルダール家を夜のうちに逃げ出したことを、ギリスは翌朝、使用人に聞いて知り…
 ギリスは使用人たちの前で大恥をかいたと、マリエルへの怒りがおさえられなかった。

そのうえ……
 東部地方で強盗犯を捕まえ、王都へ戻って来ると、ギリスは神殿から届いた、婚姻無効こんいんむこうの手紙を受けとった。
 神官長の嫌味が書かれた手紙を読み、ギリスはますます気分を悪くし、怒りは頂点ちょうてんにたっしてしまう。


「結婚してやったのに! なんて恩知らずな女だ! 美人でもないし、貧乏男爵の娘で、そのうえ嫁ぎ先の無い行きおくれのみじめな女のくせに! なんて生意気なまいきなんだ!」
 ギリスは騎士団の同僚たちの前で、怒りをあらわに暴言ぼうげんをはいた。

「おいおい、ギリス… それは言いすぎだろう? マリエル嬢はかなりの美人だと、私は思ったけどな?」
 年上の同僚騎士は不快そうに顔をしかめて、ギリスの悪口を注意した。
 マリエルの父親タムワース男爵に、年上の同僚はセインと同じく親切にしてもらった経験があり… 恩人の娘の悪口を、聞きたくなかったからだ。

「あんな女のどこが美人ですか?! 私は副団長に頼まれたから… 正直、あいつには不満だらけだったけど、我慢して結婚してやったのに!」
「それはお前が初夜で、彼女に失礼なことを、言ったからだろう?」
「私は本当のことを、言ってやっただけですよ!」 

「とにかくギリス… そんな大声で、悪口を言うのは止めろ! 間違っても、副団長の耳に入ったら、お前の立場が悪くなるぞ?」
 いくら言い聞かせても、子供のように自分の主張を通そうとするギリスに、年上の同僚騎士はあきれてため息をつく。



「・・・っ?!」
 セインは東部から戻って来た、ギリスにも話を聞こうと、騎士たちの待機たいき場所へくると… 
 扉の向こうがわから、大声で話すギリスの暴言ぼうげんが耳に入り、思わずセインは黙って聞き耳を立てた。



 大きく気分を悪くしていたギリスは、マリエルへの不満だけでなく… セインの悪口まで言い始める。

「いくら知人の娘でも… 部下の私にあんな女を押し付けるなんて… 副団長は自分勝手だ! そんなに良い女だと思うなら、自分が結婚すれば良いんだ!!」

「いいかげんにしろよ、ギリス! お前は口が悪すぎるぞ?!」
 あまりにもひどい暴言に、嫌気いやけがさした年上の同僚は、ギリスに怒鳴どなった。

 だが、どれだけ同僚に注意されても、ギリスの暴言は止まらない。

「本当はあの女… すごい尻軽しりがるで、副団長の愛人じゃないのか?!」



 扉の向こうがわから聞こえる、ギリスの暴言の数々に… セインはギリスから話を聞く必要は無いと判断し、そのまま執務しつむ室へ戻る。


「すまない、マリエル… 私が間違っていた! ギリスは騎士としては有能でも… 人として、夫として、まったく信頼できない人間だとわかったよ…!」


 ギリスの本性を知ったセインは、マリエルに結婚相手として、紹介したことを心からやんだ。




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