婚約者を妹に譲ったら、婚約者の兄に溺愛された

みみぢあん

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6話 再会

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 支度したくを終えたジュリーが自分の部屋を出て玄関ホールへと行くと… 窓の外を見ていたエドガーがふと顔を上げる。
 階段をおりるジュリーを見つけ、ほほ笑みかけて来た。


「やっと会えたな、ジュリー!」
 エドガーはジュリーの手を取り礼儀正しくキスをした。

 ジュリーも礼儀正しく挨拶を返す。

「お久しぶりです、ファゼリー伯爵様」
 驚いた。 エドガーはなんて立派になったの? こうしてエドガーと会うのは、2年ぶりかしら… すっかり伯爵様が馴染なじんでいるように見えるわ。 私が隣に立つのが申し訳ない気がするほど。 

 ジュリーが王都で忙しい毎日をおくるエドガーと会うのは、2年前に亡くなったエドガーの父、先代伯爵の葬儀に参列した時以来である。

 そして亡くなった先代伯爵のが明けるまでと、ジュリーとジョナサンの結婚式は2年延期えんきされ、ようやく準備が整ったと思ったら、妹と浮気をされていきなり婚約解消されたのだ。

「やめてくれよ、ジュリー! ファゼリー伯爵様だなんて。 幼馴染おさななじみの君にまで、そんな呼ばれ方をされたくないよ」

「ふふふっ… エドガー様と呼ぶ方が良いのかしら?」
 感慨深かんがいぶかい思いをいだきつつ… ファゼリー伯爵となった幼馴染おさななじみを、ジュリーは首をかしげて見つめた。

「……っ」
 当のエドガーが苦笑を浮かべ、嫌そうに手をふり何かを追い払うしぐさをした。

 そんなエドガーに高慢こうまんそうに見えるよう、ジュリーはわざと腕組みをして、ツンッ… と言い放つ。

「まぁ、エドガー! あなたが伯爵様になったから礼儀正しく、私はそうお呼びした方が良いのかと思いましたの」
 そう言えば… 昔からエドガーは恥かしがり屋だったわね? ああ、本当になつかしいわ。

 おたがいが長男長女で弟と妹の世話をやく立ち位置だったからか、ジュリーは2歳年上の弟ジョナサンよりも、4歳年上の兄エドガーの方がとても気が合うのだ。

「ははははっ… まったく君は。 私を揶揄からかう気か? 子供のころから生意気なまいきなのは変わらないな」 
 楽しそうにエドガーはカラカラと笑いながらも、さりげなくジュリーにエスコートの手を差し出した。

「ごめんなさい、田舎いなか娘丸出しでれしかったかしら?」
 王都暮らしが長いからか、紳士の服装も立ち振る舞いも… エドガーの些細ささいなしぐさ1つ1つが、洗練せんれんされているわ。
 地元の紳士たちとはぜんぜん違う。
 見上げるほど背が高くて、頼りがいもある。 昔から何もかも素敵だったけれど、大人の魅力まで加わった。
 エドガー、今のあなたは怖いモノ無しでしょう?!

 うっすらとジュリーのほほがバラ色にそまる。

「いや… 王都でいならされた、鳥籠とりかごの外を知らない小鳥みたいな、貴婦人たちに囲まれていると… 君のように元気な女性は、かえって新鮮に感じる。 とても魅力的に見えるよ?」

「あら、エドガー。 あなたが私にお世辞せじを言うなんて? そうやって何人の令嬢を泣かせたのかしら?」
 恥ずかしがり屋のエドガーが、お世辞せじを口にするなんて… きっと婚約解消をされた私に同情しているのね?
 
 ジュリーがニヤニヤと笑うと、エドガーはすごく嫌そうな顔をする。

「ジュリー…… その話、ジョナサンに聞いたのか?」

「ええ、あなたが王都で令嬢たちに追いかけ回されているとね」
 王太子の側近をつとめる将来有望ゆうぼうな独身の伯爵なら、令嬢たちが目の色を変えて結婚したがる気持ちがわかるわ。 
 それにエドガーは裕福で魅力的!!

 そんなエドガーを幼馴染の気安さから揶揄からかうことができるジュリーは、会ったこともない王都の令嬢たちに、優越感ゆうえつかんを持った。 


 ハァ―――ッ… とため息をつき、楽しい気分でジュリーは少しだけ瞳を閉じる。






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